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初めて作る死刑ゲーのすすめ

ゲーム制作って楽しそうだなぁ~
自分も創作したいけど、思いつく企画は作りきれない大作ばっか。
これじゃあ一生ゲーム作れないよ~……

みたいなひと!

初めてのゲ制は死刑囚モノにしませんか!?

死刑囚モノって?

死刑囚とお話しするノベルゲームです!
ノベルゲームなので初心者でもティラノビルダーなどで簡単に作れます。
必要なグラフィックも面会室と囚人一人だけ!

こんにちは。残念だが君は死刑だ。

しかもこの死刑囚モノ、オリジナリティの余地がある!

冤罪の可哀想な囚人を書いてもよし!
極悪犯の更生を描いてもよし!
主人公と恋に落としてもよし!
異端や異種族が迫害されるディストピアにしてもよし!

私は共犯者にしてバディ成分を入れるよ~

治安悪男男バディの死別が見たい
このように死刑囚創作は自由

メインになる教誨シーンも会話さえすれば自由。

教誨……囚人の教育や精神的な救済のために教え諭すこと

可哀想な過去でも長めの独白でも!
構成を無視してキャラクターのトロだけ語りたい放題!

そんなに浸るとボーボボが殴りに来るぞ
どんなに浸ってもボーボボに殴られない、それが教誨の自由

こういう話題選択式の雑談シーンを混ぜると、
なかなか本編に混ぜられない小ネタも無理やり読ませることができます。

なんて創作者に都合がいいんだ、教誨モノ。

メリット

・グラフィックが少なく済む
最悪、面会室とキャラクター1人いれば成立します。
私は立ち絵にポーズをつけるのも面倒なのでLive2Dで動きを稼いでいます。

・自由度が高い
死刑囚と話しさえすればノルマ達成!
刑務所は大抵の文明に存在するので、
現代、ファンタジー、ディストピアなどと好きな世界観を描けます!

・ヘキ詰め放題
死刑囚モノは一人のキャラクターを狭く深く見せることに向いてます。
ゲームの顔になる囚人にはヘキを詰めましょう!

シルエットや配色のバランス調整いりません。一人でいいから。
ショタ多いかな?とかいりません。一人でいいから。

メカクレショタ、人外スプタン、ギザ歯ジト目、地雷系ヤンデレ舌ピ、
好きな呪文は全部詰めましょう。

私はこれを冴えないおっさんにするという勿体ないことをしました。
みんなは超てんちゃんみたいな看板キャラクターを作ってね。

・結末が概ね決まっている
死刑モノのエンディングはだいたい3種。
死ぬ
・脱獄する
・許される
このどれかにすればとりあえず物語を終えることができます。

これは創作初心者にとってはありがたい縛りなんじゃないでしょうか。
いきなりファンタジーとか描いちゃうと、風呂敷を広げすぎて終着点を見失いますからね。

この縛りを設けてもまだ話を広げてしまう私みたいな人は、
死ぬまでの日数を決めておくといいです。

いつでも死刑にできるゲーム「イツカノヨル」では5日、
自殺する男を見守る「クラブ・スーサイド」は7日でしたね。

拙作は一か月にしました。なげえよ。

デメリット

・展開が持たない
教誨室さえ作ればゲームとしては成立するんですけど、
実際にずっと教誨だけしていると間が持ちませんでしね……

私が作ってる間も世間では何本か死刑囚教誨モノのノベルゲームが出たんですけど、プレイ時間が5分以内と短いか、外出パートが挟まれるかのどっちかだった記憶があります。

尺が長くなる場合は素材を借りて、屋外パートを挟んでもいいのではないでしょうか。

死刑を巡る壮大な陰謀!血みどろの奪還劇!とか描けたらいいんですけど、今回は予算と時間がないことを前提に書いています。

自分は展開に困って他の制作者さんに相談したところ
「暴力!」と言われたので、ところどころ人が死にそうなピンチシーンを混ぜることにしました。

・面白くするには努力がいる
作りやすいっていうだけで、面白くなるかは別問題だと思いました。

グラフィックが少なく済むとは言いましたが、用意できるならスチルなどあった方がいいです。
刑務所の外を描いた方が話に広がりも出ますし、動きがあるシーンではイラストがあった方が親切だと思います。

それから前述の展開の話とも重なりますが、教誨シーンだけで話を魅せるには相当な工夫がいると感じました。

死刑映画のデッドマン・ウォーキングでは教誨シーンだけではなく、囚人マシューの主張する冤罪や死刑制度そのものの是非、死刑回避工作を交えて話が進みますし、
本編のほとんどが教誨室で展開される教誨師という映画では、6人のバラエティ豊かな死刑囚でメリハリをつけています。

このように、教誨シーンだけで長時間話を回すのは多分……いや相当辛いです……。

拙作では囚人二人の教誨と並行して、二人の死刑回避工作を描いています。
ベタだけど、死ぬのかい、死なないのかい、どうなんだい!?という葛藤で尺を埋める作戦です。

今回は「最初の一作を完成させるために死刑囚を書こう!」という志の低い布教なのでなんでもいいんですけど、面白い話を書きたいなら
・尺をめっちゃ短くする
・教誨をめっちゃ面白くする
・教誨以外のストーリーラインを設ける
などの工夫が必要だと思います。

・大作病は治らない
死刑囚モノは自由度が高いがゆえに、詳細な設定や壮大な世界観を許容してしまいます。
これと大作癖が重なると、辞書や雑談コマンドなどの本編に絡まないサブテキストを無尽蔵に追加してしまいます。

こういうの書いてる時が一番楽しい

多分コレが企画に対して開発期間が延びまくった原因だと思います。
架空の宗教を練って、30種を越す雑談にストーリー進行差分を追加していたら開発が2年目に突入しました。
せめてこれが作品の深みにつながっていると信じたいです。

・舐めたこと言ってすみませんでした
当たり前だけど、「これ書いたら絶対面白い」みたいなテンプレはないんだなって思いました。
フォーマットが決まっていれば簡単に一本書けると思いましたが、実際はめちゃくちゃ苦労しました。
今でこそ制作2年目に突入していますが、制作開始時は1か月で作れるとか思っていたんですよ。

キャラクターの死と人生に向き合うの、辛いです。

まとめ

舐めたことばかり言ってしまい後悔しています。
ただ、死刑という題材は型が決まっているがゆえに、
便利なテンプレであることも確かだと思います。

事実として拙作、刑死のためのカウンセルはまだ完成こそしていませんが、メインストーリーを全て実装するところまで進めました。

この短い作品にさえ2年という歳月を犠牲にしてしまいましたが、
それまでの自分は広大なJRPGばかりを構想して何も作れずにいたわけです。
そういう日々と比べれば、実際に手を動かせたというだけでも遥かに価値がある企画だったと思います。

あと、純粋にみんなの死刑囚創作が見たいです。
今から作り始めたとしても、多くの人が私より先に完成すると思います。
広げよう、死刑囚の輪。

以上制作の息抜きに、見せられるものはないけれど何かを語りたい気持ちになって書いた駄文でした。

これを読んだ皆様が、次の創作の選択肢に教誨モノを入れてみることを願っています。

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