エッ!明日は早帰りっ!? 呟8
放課後、勉強に疲れた小学生が、群れになって口々に「ぶっ殺せ!」などと言いながら集う世界がある。
その世界の名は、「フォートナイト」
そう、ゲーム中のバーチャル空間である。
フォートナイトは、なんと無料でダウンロードできるスイッチのゲームだ。無料だがゲームを進んでいけば課金はある。そこは大人の都合。オンラインで友だちはもちろんのこと、見ず知らずの人とも繋がれて、一緒に戦ったり何かを構築したりできる。
長男が4年生になった頃からだろうか、ぼちぼちとそのフォトナをやり始める子が、クラスで出てきた。自宅では禁止されているのか、わざわざウチにスイッチをもって遊びに来て、長男や他の友だちがマリオパーティなどを和やかにやっている中で、その子だけはずっと自分のスイッチでフォトナをやっていた。
私はこのフォートナイトを、ど~しても長男にはやらせたくなかった。普段はそれほど子どものやることに口出ししないが、フォトナだけは遠ざけていたのだ。
理由はシンプル。
ゲームに夢中になると、口から出てくる言葉が汚いから。
ぶっ殺せだの、死ねだの、殺してやるだの、ママ友の子がゲームをやっている様子を見ていると、とにかく穏やかでない言葉のオンパレードなのだ。
なので、フォートナイトだけはダメだと、ずっと長男には言い続けていた。
し・か・し、である。
ついにそのフォトナを解禁する時が来てしまった……。
というのも、実は長男は学校ではなかなかの人気者。長女とはうってかわって、友だち100人クラスの人望といっても過言ではない。どうしてそのコミュニケーション能力を、生まれる前の空の上で長女と同等に分け合ってこなかったのだろうかと悔やまれる。きちんと話をつけてくればよかったのに神様め!
長女のことはさておき、どうしてもうちの長男と一緒にフォトナをやりたかったクラスメートのKくんが、長男に家に帰ったらすぐにフォトナをダウンロードしオンライン上で自分と繋がってくれと、スイッチのフレンドコードを紙に書いて、わざわざ持たせてきたのだ。
前々からやろうやろうと誘われてはいたみたいだが、ついにKくんにフレンドコードまで渡されては、私も引き下がるしかない。仕方なく、解禁することにした。
しかし、フォトナでの長男の登場を待っていましたとばかりに、たくさんの友だちがそれぞれ自分のチームに長男を誘ってくる。まるで花いちもんめ状態である。その中から誰かを選ばなくてはいけない。この状況が、リアルの人間関係でトラブルを生まないのだろうかと、日々ヒヤヒヤして見守っている。
今の時代、子どもとゲームは切っても切れない。コロナになってからなおさらその感じは強まったと思う。
3年生の頃、長男は放課後、毎日みんなが集まる公園に遊びに出かけていた。長男「ただいま~。…行ってきま~す」私「帰ったの~?宿題は?」長女「もう行っちゃったよ」と、本当にこんな感じだったのだ。
しかし、4年生の途中で、その長男たちが集まる公園の近くに住んでいる住人から苦情が出た。「小学生がうるさい」と。長男は泣いて残念がったけど、それで公園に遊びに行くことはなくなってしまった。
代わりに家で遊ぶようになり、友だちがよく来るようになった。しかしコロナになって家にくることも無くなり、オンライン上に集まるようになってしまった ← イマココ である。
しかもフォートナイトはイヤホンマイクというのをつけ、オンライン上の友だちと会話しながらゲームを進める。時々、長男もやはり言葉が荒くなる。ある時には、ケンカしているらしいチームメイトを「まぁまぁこれゲームだから」などと言ってなだめたりもしている。
そして彼らは明日、学校で会うのだろう。
今どきはこうやって人間関係を構築していくのかもしれない。ゲームが人と人を結ぶツールなのだ。親として、ゲームをやらせないとか言ってる場合ではないし、その考えはもう古いだろう。どうやってやらせるか、の時代なのだなぁとファミコン世代の自分は思う。
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