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20240802 イラストエッセイ「私家版パンセ」0039 神について 自分の望まぬことこそ神のみ心である。

 ぼくはキリスト教学校で30年間、教えました。
 神は苦しめるときの慰めでした。
 色々な願い事をすることもありました。でも、「御心のままになりますように」と祈る方がずっと心の平安を得られることを学びました。我欲は自分を苦しめることの方が多いからです。あるいは人事を尽くして天命を待つと言っても良いかもしれません。
 大きな仕事を為さねばならぬ時、危機にあるとき、神は心の支えになりました。そういうとき、私利私欲、自己保身が一番危険なのです。神の前に正しくあろうとする方がずっとうまく行くのです。
 失せ物を捜すとき、聖アントニウスの助けを借ります。運転するときには聖クリストファーの守りを求めます。飛行機に乗るときには聖空飛ぶヨハネの、大切な娘達には童貞の守護聖人である聖アグネスが守ってくれると信じました。カトリックにはさまざまな守護聖者がいるんです。笑
 でもぼくにとって神の存在が一番大切だと思うのは、神がしばしば自分の望まぬことをなすように促される時です。エゴイストで傲慢で、自己絶対化に傾きやすく独善的なわたしは、この神の命令がなければ、自分に凝り固まり、たくさんの人を傷つけたことでしょう。
 自分の人生で起こった全てのことが、とりわけ自分の望まなかったことが、今の自分を作っています。だから、自分の望まぬことが起こる時こそ、それが神の御心だと思うのです。

手塚治虫 「きりひと讃歌」 模写





私家版パンセとは

 ぼくは5年間のサラリーマン生活をした後、キリスト教主義の学校で30年間、英語を教えました。 たくさんの人と出会い、貴重な学びと経験を得ることができました。もちろん、本からも学び続け、考え続けて来ました。 そんな生活の中で、いくつかの言葉が残りました。そんな小さな思考の断片をご紹介したいと思います。 これらの言葉がほんの少しでも誰かの力になれたら幸いです。

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