20240505 イラストエッセイ「北国の春11」 雪形 飯豊連峰朳差岳
ぼくが住んでいる新潟県、胎内市から、飯豊連峰が見えます。
特に、日本一小さい山脈「櫛形山脈」の山頂から見る飯豊連峰は絶景です。
胎内市の田んぼを潤す水は、飯豊連峰から流れてきたもの。
ほとんどが伏流水になって地下を流れていますが、湧き出てくるものは「どっこん水」と呼ばれています。とてもおいしい水です。
ところで雪形というのをご存知でしょうか?
高山の残雪の形から田植えの時期を知る、というもの。
昔の人は、残雪の形を人やモノに見たて、それが現れると田植えを始めたんです。
胎内市では飯豊連峰朳差岳(えぶりさしだけ)に鯛の頭が現れるのが田植えの合図。だいたい、五月の連休の頃です。
面白いことに、もう少し北の山間地にある関川村では、同じ朳差岳の雪形、が「えぶり爺や」になったら田植えの時期なのです。
朳(えぶり)とは、クワのような形をした農機具のことで、鯛頭の雪がもう少し解けると、朳をかついだおじさんが目玉の辺りに現れるのです。こちらは雪の形ではなくて、山肌の形になります。
関川村は胎内市より寒いので、田植えの時期も少し遅くなるわけです。時期が遅くなれば、雪が溶けて雪形の形も変わるんです。