ものすごくしんどくて最高の42.195km東京マラソン完走記
(2023.3 個人facebookに投稿した文章を転記しています)
※超長文。ご興味のある方向けです。運動音痴40代がフルマラソンを走り切るまでの備忘録。
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「目標をどこに置きますか?」
2019年にチャリティーランナー出走を決めたあと膝の故障で途方に暮れていたときに紹介いただいた、パーソナルトレーナーY先生からの問い。
「無理なく怪我なく完走です!」割と即答した気がしている。また、ゴールそのものではなくその先をゴールにすると、ゴール前で足が止まらないと教えてもらい、「翌日スーパー銭湯に行っておいしいものを食べる」wという欲望だらけの目標を掲げた。
私には運動の素養がない。
特に長距離走が体育の授業の中で最も嫌いだった。だから一生マラソンなんて縁のない競技だと思っていた。箱根駅伝見てはすごいね~ってゴロゴロする正月が定番だった。速く速くと急き立てられる体育の授業が半ばトラウマのようになっていた。
2019年、NPO法人マドレボニータが東京マラソン2020のチャリティ先に決まった。産後に自分のことばと心を気づかぬうちに見失ってた私をすくい上げてくれたマドレ。すごいねー!応援!って思ってたけど、マドレボニータDAY2019で走ってみない?と声をかけられた。完全に勢いで走りたいって言ってしまった。1mも走ったことがなかったのに!
MBD2019実況まとめがあった。なつい!
https://togetter.com/li/1358215
マドレで取り戻した力でマドレに恩返しできたら。ともかく、そこからすべてが始まったのだ。
やるって言ったはいいけど最初どうすればって思ってたら一緒に走ろうって言ってくれたMちゃん。決めた日の翌日、小金井公園を走る。苦しくないあたりで終わっておくといいよと言ってくれて、 キロ9分くらいで wいこいの広場を1周。最初の一歩を一緒に走ってくれた、最初の背中を押してくれたMちゃんとともに東京を走れることは、今思えば、かなり大きなモチベーションになっていた。
【練習のこと】
2019年は練習開始~ひざ故障~練習できずトレーナーY先生を紹介いただき、遅くても悪い箇所があっても走り切れる、楽走り+戦略的に歩く戦法で仕上げてからのコロナ禍。速さにとらわれず自分のペースで走ることの楽しさを知ったからモチベーション落ちてないかもって直後に投稿していた私だけど、緊急事態宣言や長引く行動制限に心の余裕がなくなりモチベーションだだだだだだだだだ下がり。
マドレゆるラン部に入れてもらい、東京マラソン試走イベントへ参加したことはその時だけでなく本番にすごく助けに。リアル大会がなくなる中、みんながやるなら、とオンライン大会に出たり、集いに参加させてもらったりと、何とか心を繋いでた。リアル大会が復活した2022年3月に渋谷表参道を走るも、練習量は月間30kmに満たず、モチベーションがいまいち上がらないまま、2022年秋。
最大の問題点はとにかく、走る時間の確保ができないこと。
当初は朝ランできていたけど、コロナ禍以降私が起きてくると次男も起きてきて遊んでほしいスマホ観たい等々騒ぐことがずっと続き、それを制してまで走りたくない気持ちが勝り走れない。コロナ禍心のよりどころのひとつだった朝活バランスボール部もそれ要因で途中からずっと休んでしまっていた。在宅勤務になってからは、昼休みや夕方も走れるかも?と考えて少しやってみたものの、日々に疲れてしまって休憩中は休憩したい……。
ターニングポイントは、次男の成長だった。
私が起きると起きてくることに変わりはなく。私が朝活BB部でボールをやりたい、走りたい、と伝えると、自分もやりたいと言う。観念してしばらく一緒にやった。そしたら、ボールは一緒にやりたい。でもそのあとのマラソンはかか(私のこと)一人で行ってきていいよ。寝てるから。になった。やった!やりました!ついに朝走れる時間がとれるようになりました!それがたぶん11月。その後朝活BB部へも復帰!(そして一緒に参加w)
ここから巻き返せるだろうか?再度Y先生に連絡し、あらためて完走目標の確認、そして3年前より少し走るのに慣れてきたことから、月間100km走の目標と10km、15km、20km走をどこで時間を確保して走るかを決めた。年明け、フロストバイトでハーフを走ることも決めていた。平日朝5km走って週末朝長い距離を走る計画。そこにかぶるマド研の場には耳で参加させてもらったり、Mちゃんと多摩湖ランしてもらったり、イベントに走れるタイミングがありそうならと狙い、友達の3人展や朝活の集いに走って行ったりw15kmくらいなら走っていけるな、という謎の感覚が身につく。自分の足で行きたいところにいけるってすごいなって思いながら。あとは制限時間の緩い彩湖のマラソン10kmに出たり。最後のロング走は大会3週間前がよいとアドバイスを受け、本番3週間前の産後記念日に休みを取って28km走った雪の日。毎年晴れてたからこの日を休みにしたのになぜ雪wwwでもあの雪の日を走って、どんなときでも走れるなと自信がついたのは間違いないかも。歯は痛くなったけど(また別の話……)
私は走っている間音楽を聴かない。走り始めの頃は聴いていたんだけど、朝の静けさと少しずつ増える喧騒、走る場所によって変わる音、景色、においが楽しくて、いつからか素の耳で走るようになっていた。妄想や今日の予定を頭で整理するのも楽しいし時には天然ジュークボックスになる脳内。体力と足が持つならば、多分ずっと走ってらいれるなって思ったことも何度もあった。そういえば20代のころは歩いてどこまでも行ったのだ。
何度も書いているけど、長距離が嫌い=速さを求められてたから であって、長距離走じたいに罪はなく、自分のペースで走り続けることはむしろ楽しいことだと気づいたことは大きかった。
【ということであらためて掲げた目標】
・怪我なく制限時間内にゴールする
↑つまり歩いてもよい。大事なのは「怪我無く」「制限時間内」にというセット。
・帰ったら会津のお酒(NEW)、翌日スーパー銭湯に行って美味しいものを食べる
↑さらに、予約いっぱいで諦めていたJちゃんのメンテを入れてもらえることになりテンションUP!
・サブ6をめざす(NEW)
↑脚力的にはもともと制限時間ぎりぎりを想定。少しだけ走ることに慣れてきた私にとってストレッチした目標を追加
・後半にスパートをかける(NEW)
↑ラストに抜くのは気持ちよいよ!と背中を押されて追加。ラストに脚を残せるようなマイペースの順守
そして本番!
【食と気持ちでふりかえる】
ハーフまでは補給なくても乗り切れちゃうけど、フルマラソンはうまく補給しないとガス欠で終了するという話を受けて、走り途中でもしっかり補給しようと決める。
《ふだん》
たんぱく質ファーストごはん。ダイエット時より米多めで。気にすべきは体重でなく体脂肪量と教わり、増量より筋肉が減ってないかなどをこまめにチェック。ビタミンC、マルチミネラルを常用。
《1週間前くらいから》
アミノバイタルプロを朝晩に飲み始める。そういえばフジロックで疲れた身体にはアミノバイタルだった。ライフハック。
《前日》
カレーライス(→当日夕飯が作れないことを加味したリクエストw)
おかわりもした。アミノバイタルプロ。
▼気もそぞろ前日ポスト
《当日》
■朝
朝ごはん 6:00すぎ 月見カレーうどん、アミノバイタルプロ。
着替えて関門時間を左腕に全部書く。最も危うい前半3か所は手の甲に。とかやってたら次男がおねしょ。あるあるだ。片づけ~
手荷物預かりのない私は8時前位に会場につければいいかなと思って家を出発。最初1両につき4~5人ほどいたランナーたち(足に計測チップつけてるからわかるw)は山手線で1両20人レベルに。新宿南口を降りたらランナーしかいねぇ!東京すげえ!38,000人伊達じゃねえ!
■スタート前
早めに会場入りしてるはずのMちゃんを探すもすでにすごいひとで全然見つけられない
ゆっくりストレッチとかする間もないまま人の流れに乗ってトイレ行って…Hちゃん発見!すぐ見失うww
配布されてたお水とアミノバリューを摂取。アミノ酸摂りすぎ!?
人の量的にもう並び始めないとまずそうだったので並んでエネモチくるみ味を食べる。そうこうしてるうちにバーッてヘリが飛んでトップ選手スタートのアナウンス。ちょっとずつ進んで…百合子!(しかしスタート前のごみの多さはちょっともやったなぁ……みんなが寒さ対策に着てたものたちの山。ごみは持って帰ろうが原則で、それでもなお捨てる人たちのためにあんなにたくさんゴミ箱も用意してくれていたのに。転びそうで危なかったし何よりごみを公道に捨てるなよ……という気持ちが働く謎のスタート)
私のスタートは9:36:49
■1~10km
いよいよ始まった高揚感がヤバい。もう超テンションが高い。知っている道のど真ん中を走れるのがすごい。
最初の長い下り坂で飛ばしたらあとが持たないから抑えて、という言葉を胸に、とはいえ私は飛ばそうと思っても飛ばせないんだよどんなに速くても7分/kmを切ることないし。
飯田橋、神保町で続けて友人の応援で超テンション高くなる。元気。
今日は補給でマグネシウムとか甘いやつけっこう摂取するから気持ち悪くならないようにポカリではなく水で全給水。だいたい5kmごとに飲む。
序盤にして「また走りたい!」って思っちゃってる私の脳内には多分麻薬物質出てた。
■10~20km
10km手前くらいから折り返しの人たちと会えるポイントに、誰かいないかな~と沿道&折り返しを探しながら走る。全然自分に集中してないw
でもこのときは誰も見つけられず、上野~!アキバ~!とか思いながらウキウキ走る。元気。
12kmくらいでメダリストエナジージェル
日本橋あたりで10.7kmはこちらの表示が見え、今日ここでボランティアしていると言っていたNちゃんを思う。反対側からはもはや30kmを走った人たちがどんどんすれ違ってく。はえ~
こちとら、とにかく、マイペースなのだ。とかいってたらこのへんでTちゃんとすれ違い声をかけあいまたテンションUP!!颯爽と走る猫耳かっこよすぎた!!はえー!
あ、そうだ、このあたりのどこかでスカイツリーがにょっと出てきてすごいテンション上がる。なんでしょうねあの力は。
そんで、19kmあたりで、すれ違いの人が「あと少しで雷門ですよ~」と言ってくれてまた超テンションあがる。元気。給水はわすれず5kmごとくらいに水をのむ。元気。
■20~30km
ひたすら淡々と、沿道の人に手を振ったり、すれ違いの人とハイタッチしたり(ひたすら淡々としてねえじゃんw)走る
21kmくらいでマグオンエナジージェルグレープフルーツ味
しかしハーフを超えたあたりからやや様子が違ってくる。私は今まで大会はハーフまでしか走ったことがなく、練習もMAX28km。ここまでわりとテンションと勢いでうきうきってきたけど、だんだん足が上がらなくなってくる感じが迫ってくるのを感じる。ぎょぎょぎょ・・
でも門仲、門仲にはマドレ応援団と家族がいるはず!そこを目指すのだ。がんばれ私。
だいぶしんどい!しかしながら門仲で数々の応援を受ける!エアサロ、コーラ、チョコ、おにぎり、アフロ…ここのあたりで確信する。私はキャーキャー言われるのが嬉しい人なのだとw
幸福な気持ちで門仲を後にしたけど直後の清澄庭園で、あ、これやばい、を感じる。両股関節が痛くなって足が上がらなくなってきた。ここまで止まらず歩かずできたけど一度止まったほうがよさそうだと直感して脇に寄り、屈伸、少し体操。そしたら軽くなった!無理して走り続けなくてよかった。また前に進める。
しっかしここから1kmが長い!ハーフ走ってまだハーフあるのかって気持ちにもちょっと負けて、この辺りは本当に無で走ってた気がする。
上り坂は嫌いじゃないけど橋のアップダウンも地味にダメージがくる。前半混んでたトイレにやっと並ばず行けたのもこの頃。
■30~40km
で、30km。沿道のボランティアさんから「楽しいのもあと12kmで終わっちゃうよ!」と声を掛けられて、えっ!てなる。
12kmならいつもの練習で走ってる距離。多摩湖往復より少ない。それくらいで終わってしまうのか。あれ、それなら走れる気がするな。
そんな気持ちになって、少し立て直す。その絶妙なタイミングで朝活仲間が!!!Kちゃーん!!めちゃテンションあがった!!なんというタイミングなのー!うれしすぎた。
32kmくらいでマグオンエナジージェル レモン味
そうかそうか、もう10kmとかだぞって思ってさらに持ち直す。こっから先はもはや疲れも全部同じ感じw
35km地点でWSDインクルラボ仲間が「つ」「じ」「っ」「こ」って紙もって待っていてくれた!!!これはやばい。アイドルの気持ち!しんどいけどテンションあがるー!
少し走っていくと見えてきた東京タワー。最高。序盤にスカイツリー、後半に東京タワー。最高。
観るだけでなぜこんなにテンションが上がってパワーをもらえる感じがするのかしら。地元のセブンの交差点から富士山見えたときみたいだよ
そしたらHちゃんが逆側に!Hちゃーん!大声。速くて気づかれずwでもきょろきょろしてたと思うので、惜しかったw
って走っているうちにあと少しで田町折り返しー!ここもまた1kmなげー!!このあたりで声をかけてもらった気がするけど脳がうまく働いてなくてちゃんと認識できなかった……
逆側のマドレ応援団第二ポイントから声がかかり元気に。その時家族の姿が見えずどうしたって思ったけど、折り返して立ち寄った時には到着していて安心。ここでもエアサロと激励とアフロで上がる!!絶妙ポイント38km!天才!送り出されGO。そのあとにも、なんとKちゃん!なんと先輩!
■40km~ゴール
40kmの給水に行けばGさんがいる、それを知ってから、ここまで無事にたどり着きたい、というのもモチベーションのひとつになってた私。
もうほんとすごい。よく走ってるすごいよ私。
41kmくらいでメダリストエナジージェル コーヒー(カフェイン!)
そして二度目のラボ応援団!激励のブーストでもう残りの距離もすくな!脚まだ残ってる、よし、目標にしてたスパートだ~
ラスト1kmの石畳でMちゃん!もう泣きそう。ゴールが見えてきて、、思わず少し泣く。あ、走れた。走れたよ私。
「かか、いちばん好きな気持ちって、どんな気持ち?」
数日前に長男に訊かれた言葉をふと思い出す。なんのけなしに、「達成感かな」とその時は答えたけど、まさに、その涙だったように思う。
速くなくても応援してもらえて、嫌いだった、できなかったことができることに変わっていって、楽しくて、苦しくて、楽しくて、すごかった。(語彙力)
30数年前の私が、40代で42.195kmを走れるようになってることを知ったらどう思うだろう。多分信じてくれない。
私のゴールは15:18:14 ネットタイム5時間41分25秒
■ゴール後
止まらずに~と誘導されるがここで写真取れる機会なんてない~と必死で撮るwドリンクやメダル、防寒シート、ポンチョをうけとりゴール後の国際フォーラムへ向かう。
意外と道のり長いwwwwwww
その間に応援ナビのメッセージやいろんな投稿で応援してくれてることに感動したり。長い道のりをさらにゆるゆると進む
お部屋では、マドレのみなさんとおなじみの赤ボールが暖かく迎えてくれ、てイエーイ!ホカホカな気持ちに!補給で色々摂りすぎたからか胃がいっぱいな感じだったけど、少ししたら落ち着いて、コーヒーやカツサンドをいただく。着替え、撮影などなどしつつ、撤収までのんびりさせてもらえてありがたかった。さいご、チャリティーランナー3人で撮影できて感無量!!
この日歩数は71,993歩。
ゆっくりお風呂に入って放心、飲むの忘れてたアミノ酸飲んで、ごほうびの会津のお酒を少し。(肝臓負担を考慮したw)
■翌日
欲望を満たしてたらあっという間にお迎え時間
当日平気だったのにものすごい筋肉痛。初富士登山の時と似ている……ペンギン歩き。
【おわりに】
立てた目標がすべて叶っていた。要因はマイペース。マイペースつよい。
誰とも比べず自分に合ったペースで自分の立てた目標に向かっていけたこと、ものすごく自信になった。
あと、ゴール後「また走りたい?」と問われて「走りたい!」と即答したけど、それは単に42.195kmを走りたい、というのとは違うかもしれないなと思った。
この東京という、どこをとっても楽しい場所を、たくさんの人の声援を受けながらまた走りたい、そういうことなのだと思う。チャリティーランナーという機会を得ての挑戦だったからこそ、こんなにも応援してもらえて、「また走りたい」が出てきたんだなぁ。
「初めてのフルマラソン」はもう二度とないんだなぁ……。
わたしを走らせてくれて、ありがとうございました!
フルマラソンは最初で最後だと思っていたので、これからどうしていくかはわからないけど、せっかく走れるようになったのだから、これからもゆるく楽しく、ときに少しストレッチした目標に向かって、
走り続けられたらいいなと思う。ホノルルとか行きたいし…w
え、最後まで読んでくださったんですか?すごい!おつきあいありがとうございました!