見出し画像

日記|1218-1224 ソクラテス、こっちきてみぃ




12月18日(水) フィクションのルールで

 『自分とか、ないから』を読み終える。東洋哲学を分かりやすく説明してくれる本。それはそれはとても分かりやすかった。

 この世界はフィクション(空)で、全ては繋がっていて(道)、お前も世界の一部なんだから、自分とかないから(無我)。ならば、この世界を大きく自分だと思って(大我)、フィクションを楽しめ、と解釈した。自分も割と「社会って誰かが作ったフィクションなのに、なんでこんなに必死にならなきゃならないんだろ」と悩んだことがあり、欲望とかもフィクションに対して生じるものだから、捨てた方がいいのかななんて思っていた。けれど、『死にたくなったら電話して』を読んで、この世界のフィクションを全部暴いてしまったら、それこそ僧侶でもなきゃ虚無になってしまうことを知り、欲望とは命綱なんだなと思った。

 現実はフィクションだと心のどこかで思いつつも、現実がフィクションでしかないのならば、フィクションのルールで、思いっきりフィクションを楽しんでやればいい。そう思ったことを思い出した。


12月19日(木) ぐったりしている姿も

 夕方、保育園から息子の発熱の電話。私がお迎えに行き、そのまま近くの小児科クリニックへと行く。息子、ぐったり。他にも子どもを連れた親御さんが複数組来ていて、やっぱり風邪が流行っている季節なんだと悟る。発熱者用の小さい部屋でしばし待つ。しばしと言っても、結局1時間くらいは待った。待っている間、私の膝で息子は寝てしまう、時折、私の手を手探りで探してギュッと握る。あったかい、というよりはやっぱり熱い手。人としてダメだけど、ぐったりしている姿も可愛いと思ってしまう。薬をもらって帰る。妻がゼリーを買ってきてくれており、「ゼリー食べる?」でコクリと頷く。笑顔はない。それでも食べてくれるだけで、我々はうれしい。薬を飲んで、息子は寝室で就寝。息子が寝た後に、妻と二人で昨日の残りのカレーを食べる。食後、二人ともマスクをオン。


12月20日(金) 傍をかすめるだけで人が溶ける

 映画会。課題映画は『ゴジラ-1.0』。『シン・ゴジラ』や過去のゴジラ映画との比較が面白かった。初期のゴジラの設定や作りをリスペクトしているらしく、それが評価されていた。個人的には爆発の時の音響やVFXが大好きで、爆発で建物などが吹っ飛び、吹っ飛びすぎて真空になった爆心地に再び空気が戻って、建物の瓦礫などが一気に引き寄せられる、という細かい描写が好き。ある考証によると、『ゴジラ-1.0』におけるゴジラの熱線は、これまでのゴジラの中で最も熱いらしい。5000℃だとか(傍をかすめるだけで人が溶ける)。


12月21日(土) 文芸の天才

 スタバで読書。コーヒーを飲みながら芥川賞候補作『ゲーテはすべてを言った』を読了する。これめっちゃ好きだったなぁ。弱冠20代前半の方が書かれているらしい。すご。紅茶の袋に書かれた出典不明のゲーテの名言が、実在するのかを探求する話なのだけれど、名言、意味、良い言葉、捏造、引用、参考、訂正可能性など、いろんなことに言及されていて、とてもよかった。なんとなく村上春樹の匂いがした。

 図書館へ。ここでは文芸誌が読み放題。芥川賞候補作『ダンス』を読む。歌人、詩人でもある竹中優子さんの著作。面白かった。が、まだ読解できていない。恐らく今回の候補作の中でも、最も平易に書かれているが、その平易さの奥に深みがありそうな行間がある。行間がある小説は読み手の想像をくすぐるから良い。この小説はその行間が、広くて深そうな予感がある。詩も短歌も賞を取られている竹中さん。この作品が芥川賞を獲ったら、ほんと文芸の天才だなぁ。

ゲーテおもしろかったです。


12月22日(日) ソクラテス、こっちきてみぃ

 夜は、ひとりM-1を視聴。始まりから終わりまで全部見た。今回の出演者みんなレベル高くない⁉︎ 令和ロマンがさすがすぎた……2.5次元好きだった。あとくるまさんって、何気に演技? 顔芸がおもろいんだよなぁ。笑った。あと真空ジェシカのアンジェラアキが最高だった。セリフなしの無言時間をあれだけもたせられる度胸がすごい。ピアノがデカくなっても指摘しないでおこう。そして、何よりもバッテリィズ。めちゃくちゃ爪痕残した。めちゃくちゃ楽しそうだったし、それだけで好感が持てる。哲学者達が言っている、よく分からない言葉を一蹴するスタイルも好き。自分も割と考え込む方だとは思うのだけれど、言葉で真実っぽいものを語るということに、たまに虚しさというか滑稽さを覚える。だから、「笑わせてやるから、ソクラテスってやつこっちきてみぃ!」とか、「生きることに意味なんかいらんねん!」って言葉がとても爽やかだった。エバースはM-1で初めて見たのだけれど、町田さんが好きだった~。注目のコンビ。トムブラウンの独自世界、好きすぎ。大体バキュンッて撃ってる。


12月23日(月) うるせぇ、けど

 息子はすっかり解熱。だけど、昨日から全身に発疹ができていた。ぎゃ。まさかアトピー……? 自分も一部だけどアトピーっぽい気質があるから、ドキドキする。ネット調べてみると、アトピーの遺伝率はめちゃくちゃ高い。妻が小児科に連れて行ってくれるみたい。ありがとう。どうかそうではありませんように。

 仕事から帰宅。医師からは高熱による突発性湿疹と診断されたらしい。ひとまずほっとする。が、油断はできない。塗り薬をもらっていて、妻が塗り塗りとする。息子は、だいぶと元気になっていて、きゃっきゃっと家中を走り回っていた。うるせぇ。けど、それくらいの方が安心だ。


12月24日(火) まだまだモラトリアム

 今日はクリスマス・イブってことに訪問中に気がつく。利用者さんとメリークリスマス~なんて言いながら、リハビリをする。リハビリにはちょいちょい迷いが出る。もうちょっと研鑽したいような、これ以上時間を割きたくないような、でもやっぱり勉強したいような。自分のしたいことの優先順位がわからない。若い頃は、24時間のうちになんでもできるって思っていたけれど、妻もいて子どももいて、仕事もあって趣味もあると、どれにどう時間を割いてよいのかよく分からなくなる。全部やりたいって思うのはわがままなのだろうか。で、全部やってみると、どれもが中途半端になって支障がでる、みたいなことを繰り返してる。踏ん切りがつかない。まだまだモラトリアム。



★お知らせ
ユニットで作成した歌集『小夜更けて』をメルカリSHOPで販売中です。
以下のリンクから購入できます👏
ぜひ手に取ってもらえると、嬉しいです☺️‼︎

*メルカリSHOPでの販売です🏬
*匿名配送です🚚
*送料込みの値段表示になっています🙇

有難いことに拙書『日記散文集 駆け出すことができるかよ』は、完売いたしました。

次回、2025年1月19日京都文学フリマにて再販予定です!!

出店名: 今宵はここまでに
ブース: す-80 (1F 第二展示場)
イベント詳細: https://bunfree.net/event/kyoto09/

ZINE販売 #メルカリShops

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集