『夜空ノムコウ』
家に居る時間、ほとんど日の光というものを見ていない。
朝早く家を出て、夜遅くに帰宅してくる。
朝は陽が昇る前に家を出るせいで、
途中のコンビニで、タバコを吸っているときに、
ようやく太陽が顔を出す。
そのままぶっ通しで、夜中まで身を粉にして働く。
もちろん太陽が沈んだことにも気づかないうちに……
やっと仕事を終え帰宅するころには、
帰宅ラッシュの渋滞もすっかり収まっており、
地元の大きめの国道も、道はガラガラで、
どの車も、まるで深夜の高速道路のように、
車をかっ飛ばして走らせていく。
信号にさえ掴まらなければ、
下手すれば、朝の通勤時間の半分の時間で帰れることもある。
家に帰って、まずベランダでタバコを一服するのだが、
そのときに思う。
「あと、数時間後には、また出勤するのか」と……
ため息混じりに吐き出されたタバコの煙が、
見上げた「夜空ノムコウ」に薄く消えていった……。