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マーケもいないBtoBスタートアップが初めての展示会を振り返る

2019年4月に入社し、すぐに待っていたのはITweek展示会への出展。

プロダクトは2月にリリースしていたとはいえ、ほぼ営業活動はしていなかったので、実質初めてのお披露目。

実は、リリースしてからITweekへの出展日数が史上最短と言われていたほど、チャレンジングな出来事です。

さらに、小間数がめちゃくちゃ大きい。大手が出すレベルの広さ。
それを全社員12名でまわすという、、、もちろんエンジニアチームもフル稼働ですよね。

もっというと、残り1ヶ月を切り、入社したときはほぼ何も準備していという状態でした(笑)でも何だろ、あの時のみんな何とかなるだろう精神。これ、スタートアップの大切な精神ですね。

小間の広さを伝えたいですが、分かりづらい・・・

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展示会のKPI

よくKPIとして設定されるのが「名刺獲得数」。当時も最初は「名刺獲得数」に設定していました。が、これ本当にいいの?とめちゃくちゃ疑問でした。

だって、うちには名刺を獲得した後にナーチャリングするインサイドセールスやたくさんのアポを取れてもその対応をするフィールドセールスのリソースが無いから。

であれば、興味ありそうな人に確実に刺さる準備をした方が良いよね。
ということで、KPIは「デモ数」にしました。名刺交換はデモに寄ってもらった人だけ。つまり、デモ数=ブースに寄り、サービスデモを見てもらった数=名刺獲得数。

これに思い切って振り切れたのも、
・小間数が大きいし場所も良いから人通りはあること
(人通りが無いところでデモ数だと、低いKPI目標を設定しないといけないし、もともと低いKPI目標だとチームのテンションも上がりませんしね。)
・まだ世の中にないサービスでプロダクトで差別化ができているので、生で見てもらえれば興味を持ってもらえる自信があったから。

KPI達成に向け準備したこと

まずやったことは「カスタマージャーニー」を描くこと。
(マーケティングについては素人です)

具体的には
・KPIに至るまでの行動の分解(例、目の前を通る。足を止めてもらう。ブースの中に入るなど)
・展示会に来る顧客像がどのような心理状態で、その心理状態に対し、どのような知覚刺激を与えれば、求める行動を取ってもらえるか
・そしてKPIを達成するためには、分解した各行動でどれくらいの目標数字を設定する必要があるか
(デモ数が200だとすれば、足を止めてもらう必要がある人は1000など)

どんな知覚刺激を用意したか

【足を止めてもらうために】
・掛け声
→数秒の間にどれくらいわかりやすくインパクトあることを言えるか。専門用語言ってもピンとこないですし、ありきたりなこと言っても興味ひかないので、これが結構難しかった。。。ただ結果的にはほぼ掛け声で足を止めることはなく、どれくらい大きな身振り手振りかつ笑顔で対応できるかだと僕は思っています。
・ブース装飾&キャッチコピー
→これが大変。なんかCMみたいなキャッチとか色々考えちゃいますし、よくあるビッグワード「働き方改革」とか「デジタルトランスフォーメーション」とか使いたくなりますが、シンプルにプロダクトは何ができるのかを伝えるメッセージが良いみたいです。これは3回くらいやって気付きました・・・
・パンフレット
→スタッフも手持ち無沙汰では声をかけづらいので、パンフレットかチラシは必須。あと、表紙がシンプルでキャッチコピーだけだと何のこっちゃわからないので、できるだけ顧客から見る魅力を押し出したものがいいですね。ただ、歩きながらそれで足を止めてもらう人はごく少数だと思うので、この展示会以降、メインの役割は展示会後にサービスを検討してもらうツールに変えました。
・サクラ
→小間数が大きいだけに、閑散としたブースにはやっぱり人は入りづらいですよね。
 なので、数少ない社員でスーツ組を作り、サクラを演じました。
・プレゼン
→足を止めやすいコンテンツNo.1な気がする。誰か一人でも足を止めてくれれば、芋づる式で足を止めてくれ、そのあとは囲い込んでブースに流れる必勝パターンが出来上がりました。
・サービス動画
→映像というよりは、ナレーターの声が流れてることで賑やかで入りやすくなるようです。
・コンパニオン
→正確に収集したデータではないけど、30代~50代男性が多い展示会ではやっぱり目に付く格好でにこやかに対応してくれる女性がいると違いますね。
【ゆっくり話を聞いてもらうために】
・ペリエ(高級感のある水)
→オペレーション煩雑になるし、水飲むタイミングわかんないし、逆に荷物になるのででいらなかったかな。
【会社を印象付けるために】
・ロゴ入りモバイルバッテリー
デモに寄ってくれた方への御礼として用意しましたが、正直どうだったかわかりませんが、まぁあまり効果はなかったという印象。

結果、KPIの達成率248%。
もともと設定していた数字が小さいんじゃない?と言われればそこまでですが、元のデータが無いから、とにかく全員で目標を達成したという事実が一番の成果。より一層チームワークが良くなった気がします。

デモで獲得した名刺はどうしたか

デモ中に収集した情報でスコアリング。
スコアリングをするために、各スタッフにはデモ中に①従業員数②サービス利用用途を聞いてもらいました。この①②をもとに点数化し分類しました。

点数の高い人からメールを送り、限られたリソースの中で、できるだけホットな顧客にアポを取得し、できるだけ早く受注できるように。

本当はその場で、すぐにナーチャリングメールとか送れれば良いんでしょうが、そんなリソースはないですからね。(アウトソースとか、バイトを雇うとかの選択肢はありましたが。)なので、点数の高い顧客からその日中にメールを送りました。

結果的に、これが自身を救う施策でした。。。
そう、獲得した名刺へのメール、追っかけ電話、アポ取得、訪問は僕がやることでしたので。

ちなみにメール送る人を絞ってよかった理由はもう一つ。
名刺読み取りソフトはすぐに全てを読み取ってくれないので、結果的に手打ちでアドレスを入力し、メールするということが起きます。僕の経験上、その日中に読み取ってくれるのは50%程度。これが結構辛い仕事。。。ただ良い思い出です。笑

KPIは達成したが、売上にはすぐに繋がらなかった

アポもたくさん入るし、顧客の反応も上々。ただイマイチ売上に伸び悩みました。

なぜなら、ABMの設計ができていなかったから。

もちろんデータがないので、どんな顧客に売れるかがわからないですけど、僕たちのサービスがどういう会社のどんな人たちの課題を解決できるのかを定義できていなかった。

これが定義できていれば、出展する展示会もスコアリングの項目も、打ち出すサービスの特徴も変わってきます。

なので、展示会前に、というよりは営業活動開始前にABMの設計は必須です。

BtoBスタートアップは展示会出展はオススメ

当然資金のこともあるし、ABM設計は絶対だし、プロダクトがユーザーインタビュー等を通してイケるという実感があることが前提ですが、BtoBスタートアップはプロダクトリリースしてすぐに展示会に出展することをオススメしたいです。

・エンジニアが顧客の生の声を聴き、これは売れると実感でき、自信がついたこと。そのおかげでプロダクトに必要な機能もわかりました。

・Bizチームとプロダクトチームで一つの目標に向けて取り組め、会社としての一体感を醸成できたこと。人が増えてくれば中々こういう経験はできないし、会社の核となるメンバーの絆を深められたことはどんなに大きな壁も何とか乗り越えていけるという気持ちにさせてくれました。

・確度の高い顧客の獲得ができること。マーケもインサイドセールスもいないからこそ、確度の高い顧客を効率よく獲得できるかがスタートアップの段階では求められます。ある程度課題感を持っている顧客に対してサービスを紹介できる場であるオフライン施策は優先度の高い検討事項だと思いました。

では、次回は反省点のABMの設計について書きます。