コップが割れた日
先日、出社時に鞄に入れたガラスのマグカップが、バキバキに割れた。
ガラスと言っても、耐熱ガラスで、食洗機も電子レンジもオッケーのなかなかタフなもの。
その日、リュックサックを身体の前に待ち、満員電車に乗った。
随分と混んでいた。
思い返せば、私に背中を向けた斜め前のおじさんがいて、電車が揺れるたびに私のリュックに肘を押し付ける形でおじさんの体重がかかっていたんだけど、あるタイミングから、やけに私の方を無理矢理な角度で振り返ってきた。
首が捩れまくりの変なポーズで、私の顔を確認するようなそぶりだったので、その時はなんだこいつと思っていた。
もしかしたら、これは本当に推測でしかないけれど、肘かどこかしらに手応えを感じて慌てて振り返っていたのかな、と思ったりもしている。分からんけど。
もしそうなら、別に怒らないから一言言って欲しかったよな。まあほんまに分からんのやけど。
まさか鞄の中にガラスが散乱しているとも知らず、出社後少ししか開けていないチャックの隙間から勢いよく手を突っ込んだ私。
危なかった。
怪我をしなかったのは相当ラッキーだ。
鞄の中には、ノート、クリアファイル、ハンドタオル、ポーチ、お弁当、マグカップ。
あとはクッキーとか飴とか。
想像より遥かに鋭いものに指先が触れたので、あれ、と思って鞄の中を覗くと、そこには大小様々なガラスのかけら。
大きいものは目薬くらいのサイズ。
小さいものは、砂くらい細かくなっていて、それは鞄の中でシャラシャラと鳴った。
細かく砕いた飴のような、キラキラ光るかけらを、仕方なく会社にあった使い古しの封筒に少しずつ移し、封筒ごと家に持ち帰って処分した。
床に叩きつけても、なかなかあれほどバキバキには割れないよな、と思うほどに割れていた。
丸一年以上出社時に持ち歩いていた。
ヒビ一つなかった。
こういう風に物が壊れることもあるんだな、と思いつつ、今は代わりのものを探している。
危うく怪我をするところだったことが、ほんの少しトラウマだ。
ガラスや陶器は避けようか。
でも口に当たる部分がプラスチックやステンレスなのは、ちょっと味気なく感じたり。
どうせ買うなら長く使いたいし、洗いにくいのは嫌だし、デザインも一応気になるし、お寿司…
まあ気持ちを切り替えて、気長に色々見てみよう。
いい出会いがありますように。