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いつかの寂しさを溶かす
苦しい苦しいってじりじりしてた
よし聴いてあげようと思って
紅茶を淹れにキッチンに行く。
お湯が沸きそうになった時、
我が家の一等地、西の窓のいつもの夜景がとってもキラキラしていることに気づく。
茶葉を淹れて待機してた象印の水筒にお湯を注いで
すぐ外に出る。
こんなに星が見えると思わなかった
今年は大晦日が新月
オリオン座のなかに、3つ並んだの以外にも4つくらい見えた
おお゛んとせきばらいして、弟くらいの歳っぽいお兄ちゃんが
街灯のなかちゃりんこでゆるい坂をのぼっていく。
うっすら聴こえる音楽。
きらきらと空気。
こういう時はもう、見てるとか感じてるんじゃない。
ほんとうに、そのなかにいる。一緒にいる。溶けてしまってるみたいな。
思い出すと幸せな感覚
息してる。
なにがどう変わったかなんて言えないけど
でもなんだか大丈夫。
1年目の仕事を納めて帰ってきた弟はりんごジュース
お母さんにも紅茶を淹れて、
おしゃべり。
こうやって生きている。
わたしにはずっとわたしがいたじゃないか。
どんなに苦しくても、誰かといて寂しくなってしまう自分に嫌気がさしても、いつも一緒にいるじゃないか。苦しい苦しいってときも、空見て紅茶飲んで息できるようになったときも。
ずっと戦ってきた不安や孤独が、ほんとうに少しずつ、氷が溶けるみたいにちょっとずつ薄れはじめたのを感じる。
いつか抑え込んだ悲しみや寂しさは、瞬間冷凍したみたいに、そのまんま残ってるんだって。
それを溶かすにはあたたかさが必要で、それにはやっぱり誰かにいてもらうということが必要だと聞いた。
でも、いちばんは、わたしにはわたしがいるじゃないか。
その氷は、わたしが溶かしてあげたいと思う。
強がりじゃなくて、それがいちばんうれしくて。
その氷を溶かしている温度は
ちょうどさっきゆっくり紅茶を飲んだときくらいのあたたさだった。
しずかで、ゆっくりなあたたかさ。
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