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土浦一高と"noblesse oblige"

目の前しか見えない高校時代

高校時代を振り返ってみると、授業と部活で精一杯で、
キャリアや仕事について考える機会はほとんどなかった。
しかし、学年が上がるにつれ、
「進学先」というものを意識せざるを得なくなり、
学力と照らし合わせながら消去法的に進学先を決めていった。
その時の進学先を選ぶポイントは、
「今興味があること」、「教員になれるか」という2点だった。
「可能性」や「どんな仕事か」という視点はなかった。

「スポーツ」に興味をもったのは、小・中・高で野球をやっていたから。
「教員」に興味をもったのは、両親が教員をやっていたこともあり、
将来はなんとなく「教員になろうかな」と考えたから。
自分でいろいろと調べることもできたかもしれないが、
当時はそんなモチベーションもなく、
毎日の学校生活(主に部活)に熱中していた。

接点のある大人は先生と親ぐらいなので、
「仕事」や「ビジネス」について考えることもなかった。
親に相談しても「やりたいことをやりなさい」と言われるだけ…。
「それがわからないんだけどな…」と思いながら、聞き流していた。

狭い世界。社会を知らない大人たち…

担任の先生と定期的に行われる面談も、
こちらに進路に関する知識も意欲もないので、
「〇〇大学いきたいのね」「そうですね…」で終了。
先生からすると、ある意味、
進路がしっかり決まっている生徒だったのかもしれない。

土浦一高で生徒と教員は「仕事=資格」という認識で動いていて、
「キャリア」という概念すら存在しなかった気がする。
「大学名」「進学先」が最重要ポイントであり、
それ以外で話題に上がるキャリアの話題と言えば
「医学部」「医者」くらい。

「なにをやりたいか」「どんな道に進みたいか」というコミュニケーションはほぼなかった。
地方の進学校はどこもこんな感じといってしまえばそれまでなのかもしれないが、今思うとなかなか癖のある状況だったんだなと。とても狭い世界に生きていたんだなと。

また、大人になって教員側の視点に立ってみると、生徒のキャリアまで一緒に考えていく余力もなかったのかなと思う。
土浦一高ではとにかく授業をどんどん進める。さらに難関国立を意識した授業なので求められる指導のレベルも高い。
教員は毎日授業準備に追われて、とても忙しいと聞いたこともある。
そのため、教科指導以外に時間を割くことはなかなか難しい状況があった(今もある)のかもしれない。
地頭の良い生徒たちなので、教科指導を充実させ上位1/3の100人程度を東大や難関国立・私立・医学部に合格させ、「残り200人は自分で勝手にやってくれ」(実際にどうにかなってしまう)の状態。教員は教科指導だけをやっておけばいいという論理が通用してしまう・成立してしまう世界だともいえる。(このあたりは現場の方に話を聞く機会があれば、ぜひ聞いてみたい)


一高生がもっと輝くためには

上記の状況をふまえ、「土浦一高の進路指導はうまくいっているの?」と聞かれれば、「まぁまぁそれなりにうまくいっている、うまく回っている」と言えるのだろう。
自分自身の高校生活はあんなもんだったと思うし、まわりにも不満をもっている人が多い訳ではない。
でも、まわりの一高卒業生にしてみると、
「わかる!!」「そう思ってた」とみんなが口をそろえた(よかった、自分だけがもっている課題感ではなかった…)。
学力上位陣もそれ以外の人たちも、
やはりもう少し進路やキャリアに納得感をもった上で、
進学先を選択し、勉強に取り組みたかったということだ。
一高生のキャリアをもっともっともっと解き放つことの可能性を感じた。


「キャリア」「仕事」と一高生をつなぐ

まず挙げられるのは、キャリア教育により「仕事」や「キャリア」について理解を深めることで、学業に向き合うモチベーションがより一層あがることだ。
つまり、いわゆる東大合格者数や医学部合格者数のような数字がよくなるのではないだろうか。
なんとなく「偏差値の大学を目指す」勉強よりも、「やりたいことを実現する大学に入る」ための勉強の方がモチベーション高く取り組めるのは、みなさんも経験ある。
そうなれば、それぞれにとって「良い」大学に進むことができ、そのあとのキャリアへの選択肢も多くなる。
また、思い通りの大学に合格することが叶わなかったとしても、高校時代にキャリアについて考える機会を得ることで、納得感のある選択ができる割合が増えるのではないか。
人材紹介会社で多くの方のキャリアに関する相談を受ける中で、「情報」「伴走者」を得ることで、思った通りのキャリアを歩めるようになったり、キャリアを軌道修正したりした人をたくさん見てきた。その2つがあれば、個人のキャリアがレベルアップしたり、修正できたりする。
キャリア教育の充実により、そんな効果があると考えている。


一高生一人ひとりのキャリアを変え、日本を変える

優秀な学力を持っている一高生を「仕事」「キャリア」と一高生をつなげ、もっともっと勉強に取り組み、将来的にそれぞれが描くキャリアを実現しながら、社会に貢献していく。
今以上にもっともっと、一高生は活躍できる、日本や世界を前進させられると思う。
少子高齢化や国としての成長鈍化など日本の未来は、決して明るくはない。だからこそ、こんな状況を嘆くのではなく、「何ができるか?」を考えて、少しずつでも行動に移せる人材が一人でも増えればと考え、私は動き始めた。少しずつだけど、前に進んでいきたいと思う。


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