槌谷 昭人 Akito.Tsuchitani

卓球メディアRallys編集長 | 15年以上TV・映画界で働いた | 多趣味 | 愛媛県出身 これまでのRallys執筆記事→ rallys.online/writer/tsuchit… twitter→https://twitter.com/tsuchito

槌谷 昭人 Akito.Tsuchitani

卓球メディアRallys編集長 | 15年以上TV・映画界で働いた | 多趣味 | 愛媛県出身 これまでのRallys執筆記事→ rallys.online/writer/tsuchit… twitter→https://twitter.com/tsuchito

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最近の記事

卓球と「地鶏と焼きネギのペペロンチーノ」

(ラリーズ メルマガ4月配信分) 昔話をさせてほしい。春だもの。 私が人生で、もっとも卓球から離れていた時期の話だ。 20年以上前、都心のパスタ屋で学生バイトをしていた。 細身で柔らかな物腰の雇われ店長は、店が閉まった後や休憩時間には「いいね、槌谷くんは夢があって」と優しく接してくれたが、殺人的な忙しさのランチタイムには、私の盛り付けミスに、持ち芸かなと思うほど鋭い舌打ちを差し込んでくるジキルとハイド型店長だった。 私がそこで覚え、今なおずっと自分の得意な料理が「地

    • インタビュ−原稿のまとめかた

      (Rallysメルマガ3月配信分) 薄目で机の上をぼんやり見てみるに、私はいま、インタビューを終えた文字起こし原稿を6本抱えている。 つらい。 つらくて、このメルマガのまえがきに逃げ込んできた。 その前には、牛すね肉カレーも作って食べた。美味だった。 でも、相変わらず6本の文字起こし原稿は、目の前にどしんと鎮座ましましている。 インタビュー記事を作るプロセスの中の、どこにやりがいを感じるかは人によって違う。 没頭できるパートでなるべく没頭できるように、その直前パー

      • アイスブレイクとは何か

        (Rallysメルマガ2月配信分) 本題に入る前の前置き、みたいなことです。 私はこの言葉をラリーズに入って知りました。 「この後の打ち合わせは、最初に槌谷さんにアイスブレイクして頂いて、その後私の方から先方にご説明する流れで」みたいな使われ方をしています。 落語における“マクラ”のようなものでしょう。 居酒屋における“突き出し”も、そうなのかもしれません。 いまこの瞬間に話したい“旬”の気持ちや話題。 このメルマガのまえがきも、言ってみればアイスブレイクのようなものか

        • いま、インタビューの聞き手は。

          (Rallysメルマガ2月配信分) インタビュー取材をしているときに、自身の話を短くするときがあります。 「僕の話で言うなら、大学5年のときの半年ほど、部屋から出られなくなって」 例えば、そんな思い出話を軽くした後、「どうでしたか、あの挫折のとき」と聞いてみると、 「いや、私もやっぱり、つらかったです。一つずつ、できることから」 実感のこもった言葉をぽつりぽつりと話してくれたりします。 かつて、たくさん下調べすることがインタビュー準備だと思っていました。 でも、それは興

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        • Rallysメルマガのまえがき
          22本
        • 雑文
          15本
        • 演劇のはなし
          2本

        記事

          自分がとてつもなくちっぽけに見えることが

          (Rallysメルマガ1月配信分) 「自分がとてつもなくちっぽけに見えることがあるよね」 9歳の娘が帰宅するなり、ランドセルを放り出して裏声で言いました。 何ごとだ。いや、まだ君はちっぽけと言えばちっぽけなんだよ、などと逡巡していたら、 「自分だけが悪者みたいに思えるときがあるよね」と言うので、あ、そうかと思いました。 「smile again」という唱歌の出だしなのでした。 案外大人になってもそんなもんだよと言うと、「パパのお腹は、でっぷりんだけどね」と不思議な励

          自分がとてつもなくちっぽけに見えることが

          餃子とビールの方が楽しみな

          (ラリーズメルマガ1月配信分) 「練習会の定期開催、辞めようと思うんです」 ある卓球好きの友人から相談を受けました。 「コロナ以降、月1回の練習会も集まりが悪くて」 まさにコロナ以降その練習会から足が遠のいていた私は、自らの不義理を隠すように、穏やかに答えました。 「コロナの状況を見ながらさ、不定期開催にしてさ、で、数人が行けるときにみんなに案内しようよ」 「そうですよね。毎月皆さんにお声がけして成立しないのが申し訳なくて」 「いや、申し訳ないのはこっちです、ホ

          餃子とビールの方が楽しみな

          川で、お魚が釣れるくらいに。

          (Rallysメルマガ1月配信分) 東京に雪が降りました。 かれこれ使っていないベランダのダンベルが、ひときわ叙情と反省を誘います。 私の4歳の娘の今年の目標は「髪を伸ばすこと」らしいです。 「ちなみに、どれくらいまで?」 「川で、お魚が釣れるくらい」 「ほぅ」 私も、私の娘も含め、みなさんの目標に向かう今年の1日1日が、ご自身が納得のいくものでありますように。 いまいちな時期も、どうかそれなりに良い1日を。 おしまい。 Rallyの無料メルマガ登録はこち

          川で、お魚が釣れるくらいに。

          すぐそこだから

          (Rallysメルマガ1月配信分) 「すぐそこだから」 帰省した地元で、二十年以上会わなかった中学時代の卓球部の同級生の車に後ろから付いていくと、どんどん山の中に入っていきます。 (いや、卓球場、こんなところにあるか......?) (崖の上で、なあ、あの話覚えているか、とか聞かれて、中学時代の恨みを晴らされたりする展開なのか...?) (そもそも野菜の収穫に誘われていたのか...?) 一抹の不安を覚えつつ、さらに15分ほど山道を登ると、小さなブレハブの農機具置き場に、

          抱きしめて、ヒューストン。

          (Rallysメルマガ12月配信分) いや、別に何も抱きしめられなかったわけですが。 世界選手権報道に行ってきました。 その舞台は夢のようでもあり、その報道の日々は地獄のようでもあり、あまりにも没頭しすぎたのか、いま、隔離期間中にゆっくり思い出そうとしても、うまく思い出せないのです。 なので、結局まとめ記事にならなかった、ヒューストン現地メモをここに羅列しておきますね。 ・自動的に引かれるのは、それは日本人的にはチップではない ・1DAYコンタクトが1つずつ減ってい

          抱きしめて、ヒューストン。

          真夏のお化け問題

          (Rallysメルマガ9月掲載分) そういえば、夏だからと言って怪談を見たり聞いたりする機会、減った気がします。 単純に自分の信じるものの範囲が狭くなってきたのかもしれない。 暗闇の少ない都会に住んでいるためかもしれない。 4歳娘の恐怖①「エアコン、ポコポコ音」私の部屋のエアコンはある程度長い時間稼働していると「ポコポコ...」という音がし始めます。 最初にその音を聞いたとき、4歳の娘は見たことのない恐怖の顔で泣きました。 4歳娘の恐怖②「閉まらずのお風呂ドア」私

          「時代は卓球ですね」とLINEが来た

          (Rallysメルマガ8月掲載分) 時代は卓球ですね。 と、一年ほど前に卓球業界を離れていった友人からLINEが来た。 卓球は、楽しい。 もちろん、五輪じゃなくても卓球は楽しいけれど、 でも日本が五輪で初めてメダルを獲得したロンドン以降、五輪での日本代表選手たちの活躍が、“日本の卓球”をここまで日の当たる場所に連れてきてくれたことも、確かな事実だ。 そこに来て、日本卓球史上初の五輪金メダルだから。 この期間中、私たちの速報もたくさんの人に読んでもらっている。 「チ

          「時代は卓球ですね」とLINEが来た

          センチメンタル42歳

          なにかのあてつけだろうか、と思うほど、妻が掃除機をかける。 あなたも子どもと遊びなさいよ、という明確な彼女の意図を込めて、私の部屋のドアを開けると、絶対に閉めない。 結婚して10年が過ぎた。 私は、太ったり少しだけ絞ったり、会社を辞めたりギックリ腰になったり、貯金を崩したり投資信託で微妙に稼いだりしながら、昨日42歳になった。 元気な後期高齢者の仲間入りをした私の両親からは、全ての文末に!のついたLINEが送られてくる。 強調することも、驚くことも少なくなった私の生活だ

          ラッパ屋「コメンテーターズ」を観て

          観劇にさえある種の覚悟と強い動機を必要とする今、数ヶ月ぶりに劇場に足を運んだのは、よりによってラッパ屋の舞台だった。 出所後の最初の食事に、町の食堂でのしょうゆラーメンとカツ丼を選んだ、高倉健 in the 幸せの黄色いハンケチ的なことかもしれない。違うかもしれない。 改めて言うまでもなく、ラッパ屋の舞台は、現代の軽演劇、新喜劇だ。そこには、演劇原理主義や演劇の教育的効果など、微塵も存在しない。 ただ、私たちのような中年が舞台にも、そして客席にも楽しそうに存在しているだけ

          ラッパ屋「コメンテーターズ」を観て

          「調味料ハンバーグって何?」

          8歳の娘は、英会話学校に通っている。 いや、遊びに行っている。 家で私が英語で話しかけると、露骨に「はいはい」という表情でいなした後、日本語で違う話題を振ってくる。 つらい。 そんな娘が昨日、英会話学校から帰ってきて、私に聞いてきた。 「ねえ、調味料ハンバーグって毎回言われるんだけど、どういう意味?」 調味料ハンバーグ。 料理の話を毎回するのかな? 「いや、してない。毎回授業の最初のほう。宿題出すとき」 2分ほど考えて私が出した結論は、これだ。 Show me

          「調味料ハンバーグって何?」

          股関節の硬い人生を送ってきました

          (Rallys7月メルマガ掲載) 迷いが多いので、坐禅を組もうと思った。 どこかに旅すると余計に迷いが深まるこのご時世、ならば自分の内側に深く沈んでみようと思った。 数年前、いくつかのお寺を回って坐禅体験をしたことがある。 宗派によって、手の結び方や呼吸の数え方などの違いはあったが、息を吐ききることの大切さや、見るともなく見る、などの共通点から、坐禅が大切にしている精神はわかった気がした。 早朝、家のリビングで坐禅を組んだ。かつて僧たちは“座る”と表現していた。

          股関節の硬い人生を送ってきました

          十六年前のラブレター

          2005年に自分が書いた、決意表明のような、ラブレターのような手紙が不意に出てきた。 “出さずじまいのラブレター”と言えればカッコ良いのだけれど、コピーなので、間違いなく出す前に念のためコピーを取ってファイリングして、原本は出している。 この奥ゆかしさだ。何がだ。 16年の時が経っていることに経っていることにも驚くけれど、25歳の率直なやるせなさを表現していて、案外楽しく読めた。 もちろん、十六年前の日々の葛藤は、6割思い出せて、4割思い出せない。 でも、書くことで、そし

          十六年前のラブレター