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【悲報】食い尽くし系生物ホモサピエンス、石油の枯渇で絶滅するらしい…
衝撃的なレポートを読んだ。
レポートは1~8頁まで跨っているが、長さを耐えて読者の皆さんも読んでほしい。バイオ燃料や原子力、再生可能エネルギーまで俯瞰して言及された論文だが、これを読めば「それらは石油燃料の代替となるはずがない」という学術界の趨勢が手に取るようにわかる。つまり、我々ホモサピエンスは一年で、地球が回収する太陽エネルギーの数十年分を消費する。それは、3.5億年前の石炭紀に蓄積され保存された太陽エネルギーを、石油と石炭という形で消費しているからだ。しかし風力や太陽光という太陽からもたらされた1次エネルギーを回収する効率は極めて劣っており、今人類が消費するエネルギーを到底賄える代物ではない。ということだ。
換言しよう。つまり、化石燃料を使い果たした時点で、今の我々の産業社会は崩壊するのだ。量子コンピュータだのAIだの核融合発電だの騒がれているが、とんでもない。SFに登場するような、車が空を飛びホログラムで通信する未来は来ない。我々が生きているのは、産業社会の頂点なのだ。我々がこれから経験するのは、明るい新技術ではない。人類に残された道は、ひたすら”衰退”という名の下り坂を、混乱を耐えながら降りていく道しかない。
北村雄一さんの動画がわかりやすく編集されている。
なかでもこのレポートにおいて衝撃的だったのは、経済学的見地を覆すこの部分である。
いま、世界的な経済不況が言われるなかで、何とか成長を維持している新興・途上国だけでなく、工業先進諸国までもが、この世界的な不況感を脱するための成長継続の必要性を訴えている。しかし、経済の成長にはエネルギーが必要である。このエネルギーの主役を担ってきた地球上の化石燃料資源に、その枯渇が迫っている(本稿(その1)参照)ことに対して、どうやら、各国のエネルギー政策の担当者は目をつぶっているように見える。どこの国でも、経済成長を訴え続けることが、政治権力の維持にとっての欠かせない要件だからであろう。日本でも、失われた20年と言われるデフレ不況対策を進める政権党によるアベノミクスだけでなく、野党までもが経済成長を訴えている。
このまま、世界のエネルギー消費の増大が継続すれば、やがて、現在のエネルギー源の主役である化石燃料は、本稿(その1)~(その3)で述べたように、今世紀中に費消尽されることになる。いや、その前に、本稿(その4)に記したように、化石燃料の国際貿易価格が上昇し、使いたくとも使えない国が出てくる。
産業革命以降続いてきた現代文明社会は、有限な化石燃料(エネルギー資源)に支えられて成長を続けてきた。その化石燃料資源が枯渇に近づいている今、次稿(その7)に述べるように、化石燃料枯渇後の社会でも、再生可能エネルギーを用いれば、経済成長を図ることができるとするのは、科学技術力の限界を知らない人々の妄想であると言ってよい。先進諸国の一員として、今までのままの経済成長の維持を目的として、化石燃料消費を増大させた時に、真っ先に先進国の地位を捨てなければならなくなるのは、化石燃料のほぼ全量を輸入に依存している日本であることを私どもは厳しく認識すべきである。
近頃ネットでは減税とリフレ派経済学者がブームである。しかし彼らのロジックは、この200年以内に石油が枯渇し、我々が爺婆になる頃石油の高騰が視界に入ることになるという現実を全く無視している。久保田宏さんはこうとすら指摘する。
本稿(その4)で述べたように、化石燃料資源量の制約から、その国際市場価格は、今後、確実に上昇する。したがって、先進諸国から、世界の経済成長の役割を引き継いだ新興・途上国(非OECD)諸国での経済成長も、やがて、終焉を迎える日はそう遠くない。これに対して、化石燃料に代わって、再生可能エネルギー(再エネ)や原子力を用いることで経済成長を継続できると主張する人も多数いるが、それは、科学技術万能を信じる人達の幻想に過ぎない。
以上が、科学技術者の眼で見た、成長のエネルギー源としての化石燃料資源の枯渇がもたらす成長の終焉、すなわち資本主義の終焉である。
結局、マルサスの罠は正しかったのだ。世界人口が80億に達してなお食料が欠乏しない現状を見て、マルサスの罠はもはや大昔の外れた推論のように扱われてきた。しかし、外れたのは反論者の方だった。地球は低地定住民を養うだけの太陽エネルギーが偶然蓄積していただけで、その例外が枯渇すれば、エネルギーと食料を食い尽くして滅びるしかなかったのだ。
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さてこう考えたとき、我々の未来は2通りある。まず一つ目は、何らかの方法で各国政府が共同で化石燃料を管理し、経済成長を放棄して緩やかな人口減少を誘導する。もう一つは、ある日石油価格が急騰し、市井は大混乱をきたす。そして近代的農場が立ち行かなくなり食料生産が急減、略奪が全国規模で発生するほか、人口の多い国が石油と食料を求めて、食料自給率の高い鎖国した国や資源国を侵略し、全世界に紛争とテロが飛び火して、人類の半数が人為的に死に追いやられる。
私の見込みでは、後者である。昨年の例を見てみると、温暖化抑制のため石油掘削を調整したバイデン政権は、インフレを咎められ落選した。新政権はとにかく関税で強まるインフレを上回る石油掘削を計画している。そもそも、これだけ少子化を問題視して外国人受け入れに反発する日本において、経済成長を放棄する政党が生まれる余地すらあると思えない。こんな人類の衰退という真実を、民意が受け入れたがるはずがない。勿論、こんな未来は人権が失われるし、避けるために最大限の努力を注ぐべきである。頼むからだれか、この私の見込みをぜひ覆し、未来への楽観を提供してほしい。
では、世界が廃墟に帰したとして、誰が生き残るだろうか。私が思うに、それはゾミアの民族ではないだろうか。ゾミアは今まで一貫して、自らの技術レベルを下げるというコストを払ってまで、国家の包摂から逃れてきた。この石油アポカリプスに際しても、彼らは逃げ遂せるだろう。特に、ゾミアが好む高地には左翼ゲリラや反体制ゲリラも潜伏している。彼らとの接触や参加、制圧、隠匿などを通じて銃器を獲得し、低地民の紛争そのものを追い払うだろう。
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私は低地民の未来に対して悲観的だが、高地民、すなわちゾミアの民に対しては極めて楽観的である。
石油アポカリプスの後、低地からゾミアに合流して逃れた人々の一部などは、空いた低地に再び戻るだろう。あるいは、低地で生き延びた人もいるだろう。彼らは定住を再開する。そのとき、また産業社会の萌芽が芽吹いたとしたら、我々はその芽を貫徹して根絶させなければならない。マルサスの罠に再びかからないためである。
私の夢はこうだ。地球のホモサピエンスの人口は、多くても2億人を上回らない。陸地にはホビット庄のような民主的な村落が点在し、その村々は馬で往来する。高地ではゾミアの民が、採集してもすぐに回復する自然資源を満喫している。
マルサスを産んだのはイギリスだが、ウィリアム=ブレイクが「エルサレム」の詩で産業社会化されるのを嘆いた国もイギリスである。そもそもJRRトールキンの『指輪物語』も古代イギリスの暮らしを称揚する話だ。イギリスは産業革命の際、木材供出によって森林を枯渇した国だ。イギリス人は故郷の森を失ったトラウマを連綿と受け継いでいるのかもしれない。
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ではこのアポカリプス前を生きる我々がなすべきことは何だろうか。
1.道教・社会主義そしてアナキズムを受け継ぐ
久保田宏教授の論文では、資本主義は終わると〆られていた。では社会主義はどうか。社会主義は低地都市の労働者のロジックなのだ。したがって石油の枯渇により食料生産ができない場所は、略奪ののち捨てられる運命にある。今は砂漠で知られる中東だが、2000年前はカバが住む森だったようだ。文明の黎明にあって、軒並み食い尽くされてしまったのだろう。ホモサピエンスのお家芸である。モヘンジョダロなど、同地には数多く打ち捨てられた都市がある。アポカリプスでは東京が真っ先に同様の廃墟になるだろう。
生き残るのはアナキズムだろう。アナキズムは生産手段の民主化を謳う唯一のイデオロギーである。アポカリプス後に残された科学技術、食糧、自然資源の分配を民主的かつ分権的に策定できるフレームワークはアナキズムしかない。
そして、300年の歴史を持つ社会主義、アナキズムよりも歴史の深い考えがある。それは道教だ。道教は2500年前、脱サラして牛で田舎へ向かった老子によって書かれた。それが幾度の技術革新を経て今に伝えられていることを考えると、彼の洞察がいかに洗練されているかがわかるというものだ。そして彼ら道士たちが接触した桃源郷とは、恐らく中国周辺のかつてのゾミアなのだろう。何より、ゾミアはアナキズムの完成された一形態なのだ。父母を覚えることすら拒否し、法を策定せずとも人生を楽しむゾミアは前近代の民俗でありながらアナキズムの夢が現実化した姿なのだ。
2.今から田舎に疎開し、いつでもゾミア流浪できる準備を固める
石油アポカリプスが起こった時、我々がすべきことは何だろうか?日本のために戦うことだろうか。
おそらくアポカリプス後は日本もアメリカもなくなっているだろう。我々は低地民の戦いから遁れるべきなのだ。それには、平家の隠れ里のような高地に籠り、食糧自給率を100%以上にし、戦争が始まればいち早く独立して籠城戦を始めることだ。そしてそこが低地民に制圧されそうになった時、東南アジアのゾミアの民に倣い高地へ移って流浪を始め、銃を執って低地民を撃退していくべきである。
我々土蜘蛛の会は、これを見据えた同調者たちの民主的互助組合である。現在の科学技術を精選して記憶し石油アポカリプスを乗り越え、人類衰退後にそれを伝える。そうすれば、独立的に食糧を自給できる、ホビット庄のような民主的村落が点在する日本列島を実現できるはずだ。
みんなも一緒に土蜘蛛荘でゾミアロハスしようよ。土蜘蛛の会の設立趣旨については、こちらも読んでね
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