じいちゃんの、うんだらべ
80歳のじいちゃん(わたしの父)は
埼玉の山のほうの出身だ。
じいちゃんは時折
明らかに標準語ではない言葉を
口にする。
埼玉って標準語じゃなかったの?
埼玉方言ってあったの!?
「そんな机のへちに置かないでね〜」
とじいちゃんは言う。
へち???
フチ
の言い間違いじゃないのか?
確認しても
たしかにへちだとじいちゃんは言う。
ヘリでもなく
フチでもなく
へち
なんだそうな。
「このうんだらべはうまいね〜」
とじいちゃんは言う。
うんだらべってなんだらべ?
どうやら
熟れて柔らかくなった柿のことを
指しているらしい。
ならば
熟れて柔らかくなったバナナやイチゴは
バナナのうんだらべ
イチゴのうんだらべ
と言うのか??
ところが
じいちゃん曰く、
うんだらべは
柿限定の言葉で
バナナやイチゴのうんだらべは
存在しないらしい。
だから
うんだらべ
と言った時点で
柿を指しているのが確定なんだそうな。
じいちゃんの言葉は
ほんとに埼玉の方言なのか…
それとも
じいちゃんが独自に発達させてきた言葉なのか…
さっぱり分からないが、
80歳にもなると
まぁなんでも許される気がする。
ちなみにわたしは
かためよりも
うんだらべが好きだ。