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坪内隆彦「大御心を踏みにじった維新の会の梅村みずほ議員」(『維新と興亜』令和5年7月号)

 平成三十(二〇一八)年十一月二十七日、天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)は静岡県袋井市をご訪問され、ベトナムの独立運動指導者ファン・ボイ・チャウが日本滞在中の支援に感謝して建立した「浅羽佐喜太郎公紀念碑」をご視察された(四十一頁参照)。
 天皇皇后両陛下が浜松市外国人学習支援センターをご視察になったのは、翌二十八日のことである。浜松市には現在、約二万七千人の外国人が在住しており、同センターは、「互いの文化や価値観に対する理解と尊重を深めるのが大切」という理念のもと様々な取り組みを推進している。
 両陛下は、インドネシアやブラジルなどの外国人が学ぶ日本語教室を視察され、天皇陛下は「どうです、日本の生活は?」「大変でしたでしょう」などと声をかけられた。皇后陛下は、インドネシア人女性に「どうぞ日本で幸せにお過ごしくださいね」と語りかけられた。
 同年十二月二十日、天皇陛下として迎えられる最後のお誕生日に際して、天皇陛下は次のように述べられている。
 「近年、多くの外国人が我が国で働くようになりました。私どもがフィリピンやベトナムを訪問した際も、将来日本で職業に就くことを目指してその準備に励んでいる人たちと会いました。日系の人たちが各国で助けを受けながら、それぞれの社会の一員として活躍していることに思いを致しつつ、各国から我が国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています」
 ところが今回、入管法改定案審議の過程で、この大御心を踏みにじるような事件が起きた。五月十二日の参議院本会議で、日本維新の会の梅村みずほ参議院議員が、令和三(二〇二一)年に名古屋出入国在留管理局で亡くなったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんについて、遺族の目の前で「詐病の可能性」があるなどとの暴言を吐き、死者の尊厳を傷つけ、遺族の心情を踏みにじったのだ。
 ウィシュマさんは、DV被害者であり、本来はDV防止法に基づいて保護されるべきだった。にもかかわらず、名古屋入管に収容された挙句、健康状態の著しい悪化に対し、名古屋入管が具体的な治療を受けさせなかったため、非業の死を遂げたのである。根拠のない発言によって人権を蹂躙し、結果的に大御心を踏みにじった梅村議員は、直ちに議員を辞職すべきである。
 現在の入管には根深い差別意識が充満しているのではないか。入管は特別高等警察(特高)の流れをくんでいるともいう。高千穂大学の五野井郁夫教授によると、敗戦後、特高は占領軍によって解体されたが、官僚たちの多くが公職追放を免れたため、出入国管理業務に携わる部署の一員として引き続き雇用されることとなった。
 国際法学者の故大沼保昭が、敗戦直後に出入国管理に携わった人々にインタビューした結果、彼らは在日朝鮮人らに対する強い偏見や差別観を持ち、入管業務対象者に対しては常に「公安的な発想」で接していたことが明らかとなったという。さらに日本人の差別意識の淵源を辿れば、明治時代に、白人社会から文明国として認められるために欧化政策を推進した結果、有色人種を見下すようになったのではなかろうか。
 入管法の改正よりも、こうした明治以来の歩みを省みた上で、入管職員の意識を改革することが先決なのではなかろうか。
 最後に一言申し述べる。入管が「入国管理は主権の問題である」と強調しているのは、当然のことである。だとするならば、入管法を犯した外国人に断固たる措置を必要とするのと同様に、わが国の入管法を犯して米軍基地から入国したバイデン大統領にも断固たる措置をとるべきではないのか。バイデンは不法入国者だ!

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