映画『瞳をとじて』
映画館を後にする時のこと
同じ映画を観た年配の男性客が発した言葉が
いまも記憶に残っている
「若い時に『ミツバチのささやき』を観たけどよくわからなかった。
でも、こんなに素晴らしい作品をつくるんだね」
ビクトル・エリセ監督の最新作『瞳をとじて』
映画の中の映画『別れのまなざし』では依頼者の娘を探す
そしてこの『瞳をとじて』では元映画監督ミゲルが出演者であるフリオを探す
まるで両者の映画が呼応しているかのよう
整体観念の域である
‘最大の難題である
老いること‘
‘ーーー恐れも希望も抱かないこと‘
中国語の「老」という字には熟練さという意味合いが含まれている
老師、老医などがそれにあたる
決して、ただ老いていくだけでなく、体験を経験に昇華させている
‘すべてを見て すべてを聞いて 何も言わない 賢い人‘
『別れのまなざし』の中に出てくる中国人リン・ユー
まさに「老」を極めた人の姿であろう