亜鉛と銅の不足と過剰についてのメモ:あくまで個人的なメモですので、ご自身の健康相談は、担当のDrと相談してください。
亜鉛低値の人の治療。
ポラプレジンク(商品名: プロマック®)1日2回、1回150 mg(ポラプレジンクとしての量)を食後に内服します。消化管の潰瘍治療薬ですが、亜鉛補給の目的でも使用されます。
薬価は1日30円くらいですみそう。
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*レセプト病名として胃潰瘍をつける必要がありそう。
プロマック®(ポラプレジンク)**の内服方法とフォローアップ: 通常、1~3か月後に血液検査を行って、亜鉛値や治療効果を確認します。
血清亜鉛濃度を測定して、正常範囲(約80-130 µg/dL)に回復しているかを確認します。
治療期間: 治療期間は亜鉛欠乏の原因と重症度によって異なりますが、数か月程度は補充治療を継続することが一般的です。慢性的な亜鉛不足の場合は、長期にわたる治療が必要になることもあります。
フォローアップでの留意点
亜鉛が過剰になると銅欠乏症を引き起こすリスクがあるため、フォローアップ時には亜鉛値だけでなく、必要に応じて血清銅濃度も確認することが推奨されます。
他の微量元素や栄養状態を確認しながら、患者の症状や全体の健康状態を考慮して治療を調整します。
なぜ亜鉛が過剰になると銅欠乏症を引き起こすのか?亜鉛が過剰になると銅欠乏症を引き起こす理由は、亜鉛と銅が体内での吸収過程において競合関係にあるからです。このメカニズムについて詳しく説明します。
亜鉛と銅の吸収メカニズム
亜鉛と銅は、主に小腸で吸収されますが、両者は**同じ輸送タンパク質(メタロチオネイン)**に結合して吸収されます。
亜鉛の過剰摂取によって、小腸内でメタロチオネインが大量に産生されます。このメタロチオネインは銅よりも亜鉛と結合しやすいため、亜鉛が優先的に吸収されます。
その結果、銅の吸収が抑制され、銅欠乏症が発生します。この現象は特に、長期間にわたって亜鉛を過剰に摂取した場合に起こりやすくなります。
銅欠乏症の症状
銅欠乏は、さまざまな身体機能に影響を与えます。主な症状としては以下のものがあります。
血液系
鉄欠乏性貧血に似た貧血(銅は鉄の利用に関与しているため、銅欠乏が鉄の利用障害を引き起こします)
疲労感
息切れ
頭痛
好中球減少症(銅は白血球の生成や機能に影響を与えます)
神経系
末梢神経障害
四肢のしびれや感覚異常
筋力低下や歩行障害
痺れや疼痛
脊髄後索障害(脊髄の一部が影響を受ける)
バランス障害、運動失調
深部感覚の低下(振動や位置感覚の感知が難しくなる)
骨や結合組織
骨粗鬆症や骨形成不全
銅はコラーゲンやエラスチンの合成にも必要なため、銅欠乏によって骨や結合組織の強度が低下することがあります。
長期の亜鉛過剰摂取における影響
亜鉛を長期間高用量で摂取し続けると、銅欠乏による慢性の健康障害が発生する可能性があります。
特に、50 mg/日以上の亜鉛補充を行う際は、銅の欠乏に注意し、銅補充が必要になることもあります。
予防と治療
亜鉛の補充治療中に、定期的に銅の血中濃度をモニタリングすることが推奨されます。
銅欠乏が確認された場合、銅のサプリメントや食事中の銅摂取を増やすことで対応します。銅を含む食品としては、レバー、シーフード、ナッツ、種子類が良い供給源です。
このように、亜鉛の過剰摂取が銅欠乏を引き起こし、さまざまな臨床症状が現れるため、亜鉛補充を行う際には適切なモニタリングが重要です。
これまで、ポラプレジンク(商品名: プロマック®)を漫然と処方しているケースを何例も見たことがあるが、銅不足のことを気にしていなかったのだろうか??