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シロが教えてくれたこと

「#シロとの出会い」「#シロのお世話」「#子ねこ」「#子どもの成長」「#パワーストーン」

6.みさの出発

季節は春。
動物たちが冬眠からさめるように、私たち人間も新たな出会いを求めて活動し始める。

「シロ、行ってくるよ。」
「もう、シロってば〜。まだ寝ているの。」
「ご飯たべてよ〜。」

私がシロに少し怒って話しかけていると、お母さんから逆に私が叱られちゃう。

「みさちゃん、もう時間だから早く。」
「シロは寝ているからそれより自分のことよ。」

お母さんも、朝からよくあんなに高くて大きな声が出せるものだ。
あのブレスレットのパワーのせい?
そのせいならもう少しパワーダウンして欲しいくらい。

私はこの春から幼稚園に通いだしていた。
シロが来てまだ数ヶ月なのに、随分時計の針が大きく進んだよう。

そうこうしている間に、今も時間は動いている。

家の前に、幼稚園バスが到着しているから、バスを待たせるわけには行かない。

「先生、おはようございます。」
「みさちゃん、おはようございます。」
きちんと挨拶してバスに乗り込む。

礼儀に関してはお父さんがとても厳しかったから、こういうお辞儀や挨拶は私にとってはおてのもの。
お父さんに感謝しなきゃ。
でも、シロを誰よりも真剣に探してくれたのはお父さんだから、本当はとっても優しいの。

お父さんのことばかり話していると、お母さんがすねてしまうから。
最近のお母さんの話を少し。

以前のお母さんは、私の言葉や体調のことがあって、近所のお母さんたちとも関わりを避けていて、きっと、お母さんなりに幼稚園ママの輪に加わることを躊躇していたと。

それが今では普通に輪の中に溶け込んでいるから、不思議。
人は変われるものだ、とお母さんを見ていてそう思う。

そんな私にも新たな変化が。
なんと、シロ以外の友達ができたのだ。

紹介するね。
ももちゃんと、はなちゃん。

二人ともとってもおしゃべりが大好きで、いつも好きなテレビの話をしたり、飼ってるペットの話をしながら、キャッキャ笑っているよ。

二人とも大切なペット、いや家族がいるんだよ。

ももちゃんは、大きなゴールデンレトリバー。
はなちゃんは、シロみたいなふわふわのうさぎ。

幼稚園では、3人でよく遊ぶけど、家に帰ればみんなには、大切なパートナーがいるんだ。
その話題もあってか、知らず知らずのうちに友達になっていた。

私のこころは充たされていた。
幼稚園は先生も可愛くてお母さんよりずっと若くて優しいし、楽しかった。

たまに、早起きが嫌な朝は、シロと入れ替われたらどんなに良いかと思うこともあった。

でも、バスに乗ってしまえば、ブルーだった朝のことは全て吹き飛んでしまう。
シロはこんな楽しい世界があることを知らないから少しかわいそうとも思っていた。

今日は、園庭の桜の木の下で、おままごと。
まだ、毛虫はいないから大丈夫。

いつも誰がなんの役をするのか、なかなか決まらず、結局遊べる時間が短くなってしまう。
それはそれで、楽しいけど。

どうやら、今日の私はお父さん役。

うちのお父さんのいつもの真似をしたら、ももちゃんとはなちゃんに、
「お父さん厳しいよ。」
とバッサリ言われてしまった。

やっぱり、お父さんは他のおうちと比べてしつけが厳しいのかな?

私が、
「ももちゃん、靴をしっかり揃えなさい。」
とお父さん口調で話したら、
「揃えたよ。」
て、ももちゃんは言ったんだけど、ピタッと揃っていなかったから、
「もう少しきちんと揃えなさい。」
ともう一度お父さん口調で注意したら、
「お父さん厳しいよ。」
てさっきの話になったの。

どうやら、そんな時はお母さんがみんなの靴を揃えてくれるみたい。

うちはうち、みんなはみんなだけど。

でも、そんな厳しいお父さんのことも私は大好き。だから、へっちゃら。

毎日、話すことがいっぱい。
今日も帰ったら、シロと一緒にたくさんお話しするぞ、と意気込む私。

「ただいま〜」

この声をきいたシロは、これから始まる私の自慢話が長くなるから嫌なのか、最近は静かに身を隠す。

隠れてきいているのかもしれない。

そして、お腹が空くころ何事もなかったかのように現れるのだった。

私はしっかりと歩きだしていた。



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