鎌倉秘密の花園と最奥地の秘境へ
先日、12月に開催される少人数制のアルコールインクアートワークショップ "風の匣" の共創場である Garden&Space くるくる さんへ現地下見に鎌倉・由比ヶ浜へ。
🔻アルコールインクアートワークショップ "風の匣"🔻
昨年もアルコールインクアート×カタカムナ を組み合わせた #鎌倉アートリトリート を魂アーティストである ちえ(@chie_spi_channel)と共に共創させて頂いた際に、鎌倉の景観重要建築物にも指定されている伝統的な古民家・旧村上邸を舞台に鎌倉の地とご縁があり、色々なスポットを巡りに巡ったのだけれども、こんなにも素敵な空間がまだ鎌倉にあるとは… 実はこの場所は、今回のワークショップにお問い合わせ頂いた方がお勧めして下さったんです。
🔻旧村上邸にて開催された #鎌倉アートリトリート🔻
そんなGarden&Space くるくる さんはまさに 知る人ぞ知る 鎌倉秘密の花園と呼ばれるのも頷けるほど、普通に歩いていては気が付かずに見逃してしまいそうな森の隠れ家のような門構えからすでに異世界への入口の匂いがぷんぷんと漂ってきていました。
もはやここに辿り着くまでの間がくるくるしてしまうほど、何回もGoogle Mapとにらめっこしながら… そんな異世界への入口の奥へとおそるおそる足を運んでゆくと、小さい頃によく秘密基地をつくりに人気のない山の中へと木々や草花の茂みを掻き分けて遊んでいた過去の記憶とリンクして、未知の世界を開くようなワクワク感が芽生えてくるようでした。そんなワクワク感を胸に見えてきた景色が…
神秘的な広いお庭とどこか懐かしさをも感じさせる2階建てのウッドデッキ付きの風情のある古民家。ここが鎌倉ということを忘れてしまいそうになるくらい、現世とはどこか隔離されているような、風も息を潜め、静寂の中に妙妙たる自然の生命力を感じる緑のエネルギー。
ここにいると時間を忘れてしまいそうになるくらい、いつまでもいられそうなほど心地よいクリアな空氣。人気があまりないからこそ、混じり気のない透き通って循環してゆく流れに何の抵抗もなく全身全霊をゆだねられるのかもしれない。と、本来の目的を忘れてしまいそうになったので、早速、Garden&Space くるくる さんの今回お借りする洋室のレンタルスペースへ。
今回はこの扉からではなく、隣の和室の方の引き戸から入るようにご連絡を頂いていたので、(アルコールインクアートワークショップ "風の匣" では今回は利用しないのですが)素敵な和室の空間にも入らせていただきました。
そして、こちらが今回、利用させて頂くことになった洋室の一室。この空間に触れた瞬間に、以前ここの景色をどこかで見た憶えのあるような既視感に全身が鳥肌が立って、まだ何もしていないけれども、「この景色を観れてよかった」と思わず感謝が口から零れ落ちていきました。最近、やたらと以前夢で見たことあるような景色が現実に現れることがある。
当日は、素敵なこのGarden&Space くるくる さんの洋室を一室お借りして、この空間だからこそ叶えられるアルコールインクアートワークショップ "風の匣" を参加された皆様と一緒に共創できればと思っています。アルコールインクアートは風で描く自由なアート。くるくる という螺旋氣流を描いて上昇してゆくような場になることは予感しているのですが、その場の瞬間の流れで自然と運ばれてゆく先に、思いもしなかった、だけれども本当はどこか深いところで感じていた 一人一人にとって 大切な絵(景色)があらわれるのだろうとそんな意図を一滴垂らして。
お庭にある木々の葉はまだ紅く染め上げられていませんでしたが、ワークショップを開催する12月はじめにはおそらくもうすでに紅葉しているのではないか、とその時までどのような景色が広がっているのか想像出来ない、ということにも未来へのワクワク感が芽生えました。当日は、アルコールインクアートワークショップ後もお時間があれば、鎌倉の素敵な場所でお茶でもしながら生まれた絵について色々と共有できればと思っています。
「基本的にアートやカルチャー、何か新しいことや面白いことを始めようとしている人たちのイベントスペースです。ここが文化の発信地の一つにでもなれば嬉しいです。」とGarden&Space くるくる さんのホームページにはとても丁寧なお人柄と想いが伝わってくる文言が。担当して下さった方もとても事細かに真摯にやり取りをご対応して下さいました。この地にご縁があることに心から感謝です。
その後は、限られた時間ではあったけれども、ふとした流れでどうしてもこの日に行けたら行きたい、と感じていた鎌倉最奥地の秘境とも呼ばれるところへ。
実はこの道は、国指定史跡とも呼ばれている名越切道。名越切道は鎌倉と三浦半島とを結ぶ要路のひとつ。この道のもっと細く険しい崖のような道をかつては鎌倉へ向かうための唯一のルートだったと思いを馳せると、今は簡単に電車で鎌倉へ行けたり、自由に動き回れるということは色んな人の努力があったからなのだと思うと、あたりまえは決してあたりまえじゃないんだとよりいっそう今が恵まれていることに気が付かされるのと同時に、良くも悪くも慣れるということにあぐらをかいていてはいけないという教訓のようにも感じました。本当に、ジャケットと革靴で登るのはお勧めしません。
そして、この国指定史跡名越通しを奥へ奥へと歩いてゆくと見えてきたのが、今回のもうひとつの目的地でもあった 鎌倉最奥地の秘境とも呼ばれる「まんだら堂やぐら群」
この場所の存在を知ったのも、鎌倉へ向かう前々日くらい。たまたまGoogle Mapで鎌倉駅付近を飛び回っていたところ、「まんだら堂やぐら群」の文字を見つけて、最初の印象は「なんだそれ」でした。やぐらはなんとなくはわかるとしても、まんだらと言えば、曼荼羅が出てくるくらいで、果たしてそこに何があるのかまでは想像できない。想像できないものに触れたくなる性分なので、その瞬間に「この場所へ行ってみたい」という気持ちに駆られました。はっきり見えている目的地よりも 行くまでわからない その場に辿り着いたからこそ感じられる景色を魂が望んでしまっている。
そんな「まんだら堂やぐら群」ですが、"やぐら"とは、鎌倉時代から室町時代に鎌倉やその周辺の崖地につくられた、横穴式の墳墓又は供養の場。つまり、お墓です。そして、その中でも約150穴ものやぐらがこんなにも密集している場は大変珍しく、近年は初夏と秋冬それぞれ1〜2ヶ月間程度の土日月と祝日のみ期間限定公開されているとのこと。
"まんだら堂"に関しては、その明確な文献は発見されておらず、未だ幻の名前で謎に包み込まれているのだそう。そう。訳もなく心が惹かれて辿り着いた景色は、神秘的に謎に包み込まれた生命が眠る空間だった。きっとこういう場所はイメージだと怖かったり、寒そうだったり、近寄り難かったりするのだろうと思う。それは「死」へのイメージでもあったり、自分自身も昔はそういうイメージを創り上げていたから、そういう空気感をやっぱり感じていた。でも、この場所へ辿り着いた時、清々しいほどの風が身体を透過していき、ほんのりあたたかい陽だまりのような、優しくも静かな気持ちになった。死生観はセンシティブな分野でもあるから多くは触れないけれども、この"まんだら堂やぐら群"に関しては死してもなお生活が送られているような、生き続けているようなそんな景色が広がっていた。
こうして肉体がありながらも、色々な景色に触れられることが何よりありがたいことだと感じる時間だった。鎌倉はまだまだ色々な場所にこうした歴史の流れが生き続けている空間があって、きっと今日という日が12月のワークショップへと繋がってゆくのだとあらためて今からワクワクしています。