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インドネシアの学校視察で感じたこと

街が汚い、海洋ごみ排出量世界2位など
環境に関してはあまりいい話は聞かないここインドネシア。

でも実はインドネシアには、ADIWIYATAという環境教育優良校に対する表彰制度を
2006年より国の環境省が始めています。

このADIWIYATAという制度は、
環境に配慮し、将来を見据えられる人材教育をするべく、
ごみの分別や健康、緑化やリサイクルなどに配慮した学校運営をしている学校に対して、
市・州(日本で言うと中国地方などの地域・地方)・国の環境局によって与えられる表彰制度。
インドネシアでは学校内で校長先生の力が日本と比べ強く、
個々の学校がそれぞれの方針を強く持って運営されている印象を受けます。

このADIWIYATAという制度ですが、
獲得するチャンスは年に1回、
まずは市の認定を受けられると、翌年に州と、
一段階ずつ認証を受けていくような形になります。
認証までのステップは
書類提出→(OKであれば)現地確認→(OKであれば)認証獲得
となっており、項目やフォーマット、合格基準点等が決められている。

現地語の資料で項目や評価軸等を確認しているが、
学校の準備・提出すべき書類がかなり膨大。しかも項目はかなり厳しい。
例えば評価項目は大きく分けて下記の4つ。
①環境方針
  →教育方針の中に環境に関わる内容が含まれているか(予算含む)
②環境カリキュラムの実施
  →カリキュラムの中に環境に関わるものが入っているか
③参加型の環境活動
  →学校関係者全員で取り組み、課外活動等を取り入れているか
④環境にやさしい補助施設の管理
  →環境に関わる施設を保有し、適切に管理しているか


ざっくり簡単に言うと
教育方針・予算でちゃんと環境のことを配慮し決定し、
環境に関わる施設・設備をしっかり備えて管理しながら、
授業カリキュラムも環境に関してを含め、
それを全員参加できるような形で実施する、ということ。


この4項目の中でさらに細かい項目があり、
それぞれの達成度合いで点数がついていき、
全体の何%以上獲得出来れば認証獲得!という感じなんだけど、
この詳細の項目を見ていくと
結構細かい内容まで含まれていて。

例えば
環境に関わる予算(施設メンテナンス費も含む)が全体予算の20%以上あることや
環境に関わる学習成果をWebやメディアを通じてどのくらい伝えられたか、
生徒の何%が環境問題を理解しているか、
両親や地域住民を環境学習にどのくらい巻き込めたのか、
先生が他の学校に外部講師として行ったか、などなど。

これを記録・測定して膨大な役所向けの煩雑な資料に落とす。

ファイルの全てがこの認証の申請に必要な資料。膨大。


測定が難しい部分はどうやって判断しているのか不明な部分もありますが
とにかく学校にとっては超大変な作業に違いない。
それでもこれを取ったからといって、いいことがある訳でもありません。
マカッサル市としてはこれを義務(取るべきもの)としているようです。

マカッサル市には約500の学校があり、市の認定を受けているのは約200校程度。
多いのか少ないのか判断が微妙な部分はありますが、
まだまだ改善の余地があるのは事実。
教育局っぽい仕事内容ですが、なぜかメインは環境局。




昨日今日でADIWIYATAの州の認定の現地確認に同行させて頂き、
11校の学校の様子を見て回りました。
事務所に入って約3週間、ようやく仕事らしい仕事を見れる。



それぞれの学校で施設の確認や先生・生徒へのヒアリング等を行います。


焼却処分せずに全て最終処分場に行くのでインドネシアでは基本的にはごみの分別の必要はなし。ここまでごみ箱があるのは本当にすごい。



魚がいる池があるかも評価項目の一つ。どの学校にもありました。



生徒たちが各箇所を説明してくれる。



先生たちへのヒアリングがメイン。先生たちもしっかりと概念を理解し、各授業で実施していることが窺えた。




生徒の理解度の把握の為に、生徒の前で州の環境局の職員が環境に関することの色々な質問をしていきます。
「なんでごみをポイ捨てすると良くないの?」
「なんでタンブラー使った方がいいの?」
「何で植物が多いといいの?」 などなど。

学校によってうるさいくらいにみんなで答えるクラスもあれば
恥ずかしがってなかなか答えないクラスもあったり。



それでもみんなちゃんと分かってるんですよね。それらの答えを。
今回は州の認定にチャレンジしている学校なので、
既に環境教育が進んでいる学校なので当然なのかもしれませんが、
正直ビックリして。嬉しくて。


私はインドネシアに来る前に色々な人から
「インドネシアの人にポイ捨てしちゃダメ!って言っても、「なんでいけないの?」と言われる」
という話を聞いていて、実際街の様子を見てもそう感じていたんですが
少なくともこの子たちはちゃんと理解していて。

凄いなあ。自分が小学生の頃、
そういうこと、ちゃんと理解していたかなあ。

彼らがこれから正しく大人になれば、
この国の現状は変わるんだろうか。
そんなことを思った。


ただ相変わらず街は汚いし、小学校を一歩出ればゴミだらけ。
きっと彼らの両親もポイ捨てするだろうし、
生徒たちも学校を一歩出ればポイ捨てするのかも知れない。
頭で理解していることと、実際行動に移すことにはかなり大きな隔たりがあるように思う。
そしてそれを無意識に行える様になることにも。


今後はこういう学校で授業をさせてもらうことになると思うんだけど
基本的な部分をしっかり理解している生徒に対して
果たして何をするべきなのか。何を伝えるべきなのか。
日本であればおそらくそこまで違いはないが、環境に関しての理解はここインドネシアではおそらく学校によっての格差がかなりありそう。
それぞれの学校の理解度に応じた内容と、それらの力の入れ方の工夫が必要な気がする。

どうしたって語学力と、自分自身のインドネシアに沿った環境に関する勉強が必要。


いつも事務所に行っても仕事もなく時間を浪費する毎日が続いていたけど、
同行してただけだけど、初めて仕事で面白いと感じる一日でした。

少しずつだけど何か動けるヒントが見つけられつつあるような予感がする。

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