第1章 花をはじめてみたいけど。
花に興味を持っていて、華道に多少なりとも関心があり、この本を手に取っていただいているのがあなたではないかと私自身は思っています。そのみなさんに、いきなり
「お盆で剣山を置く位置」
「筒の花器での花の留め方」
といったテクニックをお教えすることは避けます。もちろん話が進んでからお教えしますが、せっかく興味を持っていただいたのに、専門用語や難しい技術論を聞かされても辟易することでしょう。
私は最初のステップとして、今回は
「お気に入りになりそうな花瓶を選んで買う」
ところから始めてみてはいかがかなと考えました。
この本になる前の私の執筆の記録だと、場所選びが一番だ、などと話してきました。ですが、器がなければ、いける所も生まれませんし、加えて花を水につける方法がありません。そしてお気に入りの器であれば、何も刺さっていない「花瓶だけ」の状態を寂しく感じることもあるでしょう。そして花が刺さった状態で部屋に置いておくと、なんだか掃除をしたくなるかもしれません。
掃除をするかどうかは別として、一輪の花だけでも部屋が明るくなるはずです。この空気を存分に味わって、花の世界への一歩を踏み出しましょう。