都道府県立図書館の役目を知ってもらう展示「図書館の図書館」
東京都立中央図書館は1973年に開館しました。2023年で、開館50周年。
2024年3月6日(水)まで、開館50周年を記念した企画展示「図書館の図書館」が開催されています。
展示は、3つの章で構成されています。
図書館の歴史を知る
「第1章 中央図書館の今まで」は、東京都立中央図書館50年の歴史を、年表のパネル、出版物、 図書館のレトログッズや写真などで紹介しています。
私が図書館で過ごしたのは平成の30年間。
図書館司書になったのはコンピュータが導入され始めた頃で、2000年頃からは、インターネットによるサービスも始まります。本当にさまざまなことがありましたが、もしかしたら、公共図書館がダイナミックに変わった時期に図書館にいたと言えるかもしれません。
現在は、図書館の資料の検索はコンピュータで行いますが、1990年代頃までは目録カードや冊子目録で蔵書の有無を調査していました。(ちょっと、懐かしい……。)
50年間の世相を映すベストセラー本の展示もあって、これは、資料の保存機能も持つ都道府県立図書館ならではの展示だと思いました。
都道府県立図書館の役割を知る
「第2章 図書館の図書館って!?」では、都内の図書館を支える都立図書館の協力サービスを紹介しています。
おそらく、「図書館の図書館」と聞いて、図書館関係者以外の方には
「何、それ?」
と言われそうですが、都道府県立図書館には、各都道府県内の公立図書館を協力支援する役目を持っています。
大きく分けると、
1.協力貸出事業
2.図書館への支援事業
の2つがあります。
1つ目の「協力貸出事業」は、区市町村立図書館を資料の面からサポートする仕事です。
図書館といえば「本を貸してくれるところ」と思いつく人も多いと思いますが、区市町村立図書館の蔵書は、比較的新しい実用書が中心になります。
資料の保存スペースも限られているため、古い本や専門書は所蔵していない時もあります。利用者から自治体内に所蔵していない本-発行年が古い本や、専門書など-を利用したいという希望があった場合、ほかの図書館から本を借りて提供することもありますが、その場合、都道府県立図書館の本を協力貸出制度を利用して取り寄せて提供する場合が一番多いと思います。
都道府県立図書館によっては、協力車を運行して、区市町村立図書館間の資料の搬送なども行っています。
2つ目は、区市町村立図書館のサービスや運営をサポートする仕事で、
1.区市町村立図書館の職員向けの研修の実施
2.区市町村立図書館の蔵書をまとめて検索できる総合目録の提供
3.都道府県内の図書館の情報の集約、発信
4.区市町村立図書館のサービスの支援
などを行っています。
区市町村立図書館と都道府県立図書館は同じ公共図書館ですが、役目やサービスが異なります。図書館は、うまく使い分けるのが良いと思います。
さまざまな図書館がある
「第3章 東京図書館めぐり」では、 東京都内の区市町村立図書館と東京都立中央図書館近隣の専門図書館を紹介しています。
都内にはさまざまな図書館がありますが、それぞれの図書館に特徴があります。同じ自治体内の図書館でも蔵書構成が異なりますし、雰囲気も異なります。また、登録できるのは在住・在勤・在学を基本にしつつも、それ以外の人でも登録できる場合もあります。
自宅近くの図書館をメインとしつつ、アクセスしやすさ、蔵書構成、座席数などを考慮しながら複数の図書館を使うのが良いと思います。
また、専門分野に特化した専門図書館と呼ばれる図書館もあります。利用要件は図書館によっても異なりますが、調査したい内容によっては、専門図書館もうまく活用すると良いかもしれません。
レファレンスサービスの紹介もあると良かった?
私が展示を行った時は平日の午後でしたが、来場者はちらほら。図書館関係者や図書館に関心のある人にとっては面白い展示構成だとは思いましたが、展示としては、やや地味?
でも、東京都立中央図書館の役目を知ってもらうためにも、意義のある展示だと思います。終了まであと3日ですが、図書館に興味・関心のある方は見ておいた方が良い展示だと思いました。
今回の企画展示のテーマが「図書館の図書館」なのでやむを得ないと思うのですが、個人的には、東京都立中央図書館のサービスとして力を入れている「レファレンスサービス」をもっと取り上げて欲しかったと思いました。
展示されていた目録カードケースの1画に、記録票を発見し、つい確認してしまいました。東京都立中央図書館のレファレンスを支えていた歴史的遺産(?)です。
レファレンスサービスのために、さまざまなレファレンスツールを手作りしていました。こういうものに注目するのは、私くらい?
保管スペース的に難しいかもしれませんが、こういうものも、できれば残しておいて欲しいですね。
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