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22日目:ほうげん【方言】→エッセイ
ほうげん【方言】
一国語が地域によって異なる発達をし、音韻・語彙・語法の上でいくつかの言語集団に分かれるときの、それぞれの集団の言語体系。
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自分の育った町を離れるまで、自分の言葉の訛りなんて、大したことないと思っていた。
けれど今、ふとしたときに出てくる方言を止めようとすると、次の言葉を継ぐことができなくなる。
「うるかしといて」と「水に入れてふやかしといて」は、私の脳みそのなかでは違う箱の中に入っているし、
(主に食器の汚れものに使う言葉です)
「押ささんない」という言葉の、物に責任を押し付けたニュアンスは、「押しているのに反応しない」という固い言葉では表現できない。
(私のせいじゃない、物がダメになってて困っちゃうぜ、やれやれという感じ)
猫の爪で引っかかれたときは、考えるより先に、「かっちゃかれた!」という言葉が口から飛び出してくる。
生まれ育った土地に縛られていないと思っても、こんな風に、いろんな部分に、あの町の名残を染み付けているんだろう。
いろんな名残を染み付けた他者だらけの世界で、今日も概ね平和に一日を終えられることが、奇跡に感じる。
「違い」を楽しめるように、他者の「染み」を素敵と思えるように。
自分に染みついたものを、大切にしながら、縛られない。そんな風にできたらいいのかもしれない。
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