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順番は巡る

ずいぶん前、以前勤めていた会社の同期と、その後輩と、夜ご飯を食べた時の話。

「すごくいい子で、きっと気に入るだろうから。」と、ひとりの 可愛いらしい後輩を紹介してくれた。
私が退職してから、ずっと後に入社した後輩だった。
まだ社歴も浅いその子は、同期の話どおりに 可愛くて、少し頼りなさげで、何より初々しく感じた。
その子から漂う瑞々しさと、会社に対する悩みに、私もこの後輩くらいの年だったころ、こんな感じだったのかな?なんて思わせてくれた(可愛い を除いて、だけれど)。

その後輩は、いろんなことを私に相談してくれた。
そうだよねぇ、大変だったね、なんて相槌を打って その子が話し終えるまで話を聞いたり、
たまに、とても図々しいけれど、私なりのアドバイスっぽいことも伝えた。

その後輩は、何度も何度も、言葉を重ねて 私を褒め称えてくれた。
「会社のフォルダにある名前は 何度もみていて 馴染みがあるけれど、
 実際は顔も知らなくて、ずっとあこがれの先輩だった。」と、
目を輝かせて話してくれたのだ。

実際はそんなことないんだよ、と私が言っても、そんなことないです、の押し問答で、結局 気分良く帰る先輩の私。笑


ひとり歩く帰り道、「こうやって順番は巡っていくんだな」、と感じ、
背筋がシャンっと伸びた。

まだ入社1、2年目くらいの気持ちでいたけれど、気づけば順番は巡り、
中途入社した 今の会社でも、入社1年目の後輩の話を聞く先輩の立場になってしまった。


こんな話は、"先輩になる"ということをすでに経験された、人生の先輩方のラジオやテレビで何度も聞いていたし、本でも読んでいたけれど、
まさか自分がその立場になっているとは。
いろんな方が話されていたけれど、本当に、「気づけば」という言葉がこれほどしっくり くるものなのですね。
話されていた方々のお気持ちが痛いほどわかるけど、この感情は さらに歳を重ねるごとに、より身に沁みて感じていくのでしょう。

  私が若手の時に憧れていた先輩になれているかな?
  私が若手の時に苦手だった先輩のようになっていないかな?

何度も、あたたかな あの夜のひとときを思い出しては、シャンっと背筋を伸ばして、これからも精進していくしかないのですね。

片道通行の階段。
これまでの来し方を見下ろし、これから上り行く先を見据え、襟を正しながら、たまに休みながら、1歩ずつ進めていくしかないのですね。

私を形成した 諸先輩方、そして大切な師匠のように、
素敵な先輩になれるよう、明日も頑張って生き抜こうと思います。

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