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英語を勉強したおかげで、日本語力を鍛え直した話

「後天的に学習した外国語の能力は、母国語の能力を越えません。母国語が出来ない人が、英語ができるはずがありません。」
~『AI時代の読む力』
(著:出口汪先生・木村達哉先生)
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「読解力を鍛えたければ、出口先生の『メキメキ力が付く現代文』を読むと良いよ!」
今年の5月、親友にzoomで相談したら、本を教えてもらいましたが、読まないまま7月になっていました。
ところが、英語界のカリスマ、木村達哉先生の英語教育のセミナーを受講し、先生の本を読み漁っていたら、木村先生と出口先生の共著に出会いました。「外国語と母国語の学習は繋がっている」-そう確信した瞬間でした。

かく言う私は、英語を勉強しながら、自分の母国語の日本語を鍛え直すことに成功した一人です。「英語を勉強したお蔭で、国語の読解力が上がった」…これだけは間違いないと思います。だから英語に感謝しています。
これは、冒頭の木村先生の名言と矛盾するのでは?…と思う人もいらっしゃるでしょう。でも私の中では、同じように思います。

小学校時代に、一番得意で大好きだった国語が、中学・高校では一番成績の低い科目になりました。模試を受けると、英語の偏差値が70で国語が30、というのもザラでした。英語も国語も、同じくらい勉強しているのに…。

学校の先生は「あなたはよく努力しているから、国語もそのうち伸びますよ。あせらず、じっくりね」と励ましてくれましたが、自分でも「読書も国語も好きで、文を書くのが好きなのに、なぜ国語のテストの成績がこんなに悪いのだろう・・・」
と悶々としながら、理由も対策もわからないまま、大人になってしまいました。

しかし大人になってから、ある日ふと気付きました。「もしかして英語の話し方を、日本語に応用すれば良いのでは?」・・・ということに。

大学時代に英語弁論部で「まず結論を話す。次に根拠を二点言う。最後にもう一度結論を言う」という話し方の訓練を、これでもかというくらい徹底的にやりました。
この話し方は、日本語の「起承転結」と若干違っているように思いますが、(※実は私は、恥ずかしいことに「起承転結」の意味をいまだに理解していません。)
日本語でも、英語を話すときと同じようにスピーチを組み立てているうちに、頭の中がクリアに整理整頓され、
「もっと理路整然と、かっこいい日本語で話したい!」
・・・という願望が、どんどん強くなり、日本語の言葉を吸収するのが楽しくなったのです。

毎日、趣味で英語の新聞を読んで、一文の英語で要約する習慣がありましたが、一文の日本語要約文も書くようにしました。(最初は自分だけが読む日記帳に書いていましたが、3年前からFacebookの掲示板にアップしたら、友達が読んでくれてますます楽しくなりました)

この5年間、毎月1冊の課題図書を読み、日本語で2000字程度の感想文を書いてきたこと(※今はお休み中)、読書友達がたくさんできたことも、大きな力となりました。どんなに国語の成績が悪くても、美しい日本語の文を書くことが、ずっと自分の憧れだったのです。

海外の友人と話していると、「シェイクスピアの中で、どれが一番好き?」という話題になることがあります。
私が「実は英語のオリジナルテキストで読んだのはHamletだけで、他は日本語訳で読んだけど・・・」と、恥ずかしがりながら言った時、
友人達は全員「日本語でシェイクスピアを読んだの!?すごい!尊敬する!!」と言いました。

私はぽかんとしました。一体何がすごいのでしょうか?
3人の友人は、それぞれ、スイス人、インドネシア人、香港人です。
すごいのは、母国語だけでなく、4つ以上の複数の言語を自由に操り、英語の原書(16世紀の古典英語なのに)でシェイクスピアを読める彼らであって、母国語の日本語で読書をした私は、全く、すごくないからです。しかし、彼らは言いました。

「シェイクスピアの戯曲は、私/僕の母国語には、翻訳されていないんだ。だから、読書をしたければ、英語で読むしかない」
「日本語のような美しくて難解な言語で本が読めるなんて、ユキはすごいよ。日本語でシェイクスピアが読めるなんて、うらやましいよ」

この3人の友達がそう言った時、彼らがむさぼるように読書をし、勉強している理由が、初めて分かりました。そして、彼らをますます尊敬しました。
私は日本語と英語、二つの言語で本が読めて、勉強ができて、すごく幸せなんだな…。
心からそう思いました。

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