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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ)感想

🍀ベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ)を読みました。
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🍀イギリス南部の都市ブライトンで生まれ育った、アイルランド人父と日本人母の息子の中学生の少年は、人種だけでなく階級(家柄)や宗教も「るつぼ」状態の複雑な多様性社会の中、時に差別や偏見にぶつかり疑問を持ちながら、自分なりに考えて壁を乗り越え成長する。それを母の目線で綴ったノンフィクション。今年読んだ中ではベスト3に入る素晴らしい本でした。
(ブライトンと言えば、オースティンの『高慢と偏見』に出てくる町だよね…と思いましたが、現代のブライトンはこういう感じなんですね)

🍀イギリスの義務教育では、中学校でCitizenship Educationという教科があるそうです。この教科の試験で"empathyとは何か?"という問題が出た時、主人公の少年は「自分で誰かの靴を履いてみること」と書いたとのこと。なんて豊かな表現力を持つ中学生なのでしょう。

🍀~"Please be in my shoes."(お願い、私の立場になって考えて)~
"be in someone's shoes"で「~の靴を履く=~の気持ちに立って考える」という定番化した表現があります。
”In Her Shoes"という、私も大好きな小説があります(キャメロン・ディアス主演で映画化されていました。) 弁護士で頭は良いけれど、自分の容姿にコンプレックスを持つ姉と、美人だけれど失読症で自分の学力にコンプレックスを持つ妹が、成長していく物語でした。
相手の立場に立って考えること。難しいけれど、本当に大切だと思います。

★小説"In Her Shoes" https://amzn.to/3eHySjC

🍀「多様性ってやつは物事をややこしくするし、ケンカや衝突が絶えないし、ないほうが楽だけれど、楽ばっかりしていると無知になる。だから多様性は良いもの」・・・という、ものすごく深くて考えさせる名言もあり、ズシンと考えさせられました。

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