熱男とビールとさがり串
タイトルは初めて野球を面白いと思ったときの象徴3つ。
学生時代、ずっと野球をしていた夫に付き合って「なんとなく」ドームに観戦に行った。
ソフトバンクと楽天の試合だったと思う。
選手もよく知らないし、暑いし、でドームの中で牛さがりの串を買って夫のビールをちょっともらった。
普段は人混みを嫌がる夫が、やけに楽しそうで、それだけで「ま、野球とか興味ないけど、たまにはいっか」と思った。
試合が始まった。
球場の熱量がすごい。
選手が登場するたびにどでかい入場曲が流れて、ドームが湧く。
あちこちに選手のタオルを持った観客がいて、ヒットを打てばタオルを振って応援している。
試合の途中、風船を膨らませて待機。
みんなで飛ばす。
試合の途中、ピッチャーのストライクが入らずフルカウントになった。
ドームのあちこちから「がんばれ」の掛け声が上がる。
私も気づけば「がんばれ!」と名前も知らないピッチャーを応援していた。
ピンチをしのぎ、夫とふたり声を出して喜んだ。
ホークス攻撃の回。
ひときわ会場をわかせる選手がいた。
「熱男~!」でおなじみ松田宣浩選手だった。
打っても打てなくても、チームを盛り上げるお祭り男。
私はひと目でこのお祭り男が大好きになった。
それから試合の流れとともに一喜一憂しながら、結局5時間以上野球をみた。
で、肝心の試合が勝ったかは覚えていない。
ただ帰り道「また来てもいいな。意外と楽しかった」と夫に話したことは覚えている。
先日、今季限りでソフトバンクを退団することになった松田選手のニュースを見た。
正直マッチのいないホークスなんて想像できない。
泣きたいくらい悲しい。
内川選手がヤクルトに移籍したときくらいショックだった。
野球に興味なかったはずなのに。
気づけば大好きになってしまった。
でも大好きなものが増えるのは単純に嬉しいし楽しい。
私に野球観戦の楽しさを教えてくれた松田選手。
この球場のお祭り男に、ありったけの感謝を送りたい。
本当にありがとう。
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