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Photo by
raminagrobis
村上春樹の書く赤ワイン
ごきげんよう、國枝志帆です。
冬は赤ワインが飲みたくなります。
赤ワインといえば、
私の中では村上春樹のこの文章。
エッセイ『遠い太鼓』の一節で、
ワイン作りをしている
インノチェンティさんの章です。
「いちばんいい畑のいちばんいい年のワインだったんだ」とインノチェンティさんは言った。「でももうなくなってしまった」
彼はまるで一月前に最愛の妻を亡くしたかのようにそう言った。それで僕らは説明した。それは大変に残念ではあるが、二番めのでも構わないから譲っていただきたいのだと。(中略)
どこまでも続く畑と葡萄園。あれが私の葡萄園です、とインノチェンティさんは教えてくれる。あそこのも私の葡萄園。自分の葡萄園を指さしているときの彼の顔は至福に満ちている。(中略)
後味がとても良くて、舌先に残った味が自然にすうっと抜けていく。これが二番めの出来なら一番めはどんなだったんだろうと思う。
村上春樹『遠い太鼓』
インノチェンティさんの
ワイン作りに対する愛情が伝わってきて、
読んでいるだけで幸せになります。
最後まで読んでくださって感謝します。
あなたの今日が、
幸せな一日でありますように。
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