自分の中にマネジャーモードを作る「タスク管理2.0」
誤解を恐れず、極端な言い方をすると、「タスクを細かく分解しよう」というノウハウは、タスク管理と呼ぶに値しないと考えている。(そういった類のノウハウを、敢えて「タスク管理1.0」と呼ぶことにする)
確かに個別の仕事を処理するために、タスクを細かく分解することが有効なケースは多いが、それはオペレーションの次元の話しであって、マネジメント(管理)の次元ではない。
タスク管理と呼ぶに値するのは、膨大且つ多様な仕事が押し寄せる中、未来を見据える時間をなんとか確保して、ぎりぎりのところでバランスをとって仕事を回すためのマネジメントである。
このようなマネジメントの次元にあるタスク管理を「タスク管理2.0」と呼ぶことにしよう。
「タスク管理2.0」が、「タスク管理1.0」より偉いとか新しいとか言いたいわけではない。
実際のところ、誰しもが「タスク管理1.0」にも「タスク管理2.0」にも、それぞれのやり方で取組んでいるはずである。
にも関わらず、一般にタスク管理について書かれているものは、「タスク管理1.0」に偏り過ぎているように感じる。
だから、敢えて「タスク管理2.0」と呼ぶことで、マネジメントの次元の重要性を思い起こすことには、多少、意味があるのではないかと思う。
「タスク管理2.0」でやるべきことは、組織のマネジャーの仕事と非常に似ている。
膨大且つ多様な仕事が押し寄せる状況でぎりぎりバランスをとるためには、細部に入り込む前に、俯瞰でものごとを見て、大きな絵を描く必要がある。
優れたマネジャーがそうであるように、細部に入り込むのは、それが必要な場合だけであって、まず必要なのは、大きな絵を描くことである。
(何でもかんでも細部に入り込む余裕はマネジャーにはないからである)
具体的にどうすればよいのか?
それはケースバイケースとしか言いようがなく、答えはない。
私が「タスク管理2.0」を実行する際の、ざっくりとしたイメージは次のようなものになる。
これは決して、時間割を作っているわけではない。
大括りの仕事としては何があるのか、それぞれにどれぐらい時間を割けるのかを俯瞰で検証しているのである。
実際にそれぞれの仕事をする際には、作業が漏れないように、ノートにタスクを書き出したりはするが、私はそれをタスク管理だとは思っていないし、そのタスクをタスク管理ツールで管理しようとも思わない。
担当者としての私が十分こなせることを、マネジメントとしての私にやらせることは、単に時間の無駄である。
時間の無駄であるだけではなく、マネジャーにやらなくていい仕事までやらせると、マネジャーがボトルネックになって仕事が進まなくなる。
もちろん担当者としての私が困っているときは、マネジメントの出番である。
どう考えても時間が足りなければ、仕事に割り当てる時間のリバランスが必要である。
先が見通せない仕事においては、マイルストーンを決めるリーダーシップが必要だろう。
「タスク管理1.0」が重要でないと主張しているわけではない。
「タスク管理2.0」を無視して、「タスク管理1.0」だけでは到底やっていけないだろうと思うのである。