akiko ookuni
ツォモリリ文庫での岩切章悟の個展「Buen viaje|良い旅を」は、「オオカミを描こうと思う」という画家の宣言から始まりました。 「うんうん、描いて、描いて!」。待ってました! この画法に出会って4年。お願いし続けてきたのだもの。−とんでもなく時間のかかる画法だと知ったのはあとのこと− モチーフには様々な存在理由があると思います。作家は細かいことを考えて作っているわけではないし狙っているわけでもない。そこは見る人に委ねられている部分なのだと思います。だからアートは楽しいの
コロナと共存する道を必死に探す2020夏の終わり。握手もハグもできない私たちの最終手段は対話なのではないか、と気づいた昨日の体験について記します。昨日、私は「ダイアログ・イン・ザ・ライト」を体験しました。 一筋の光もない暗闇を体験する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」についてはご存じの方も多いはず。視覚障害者に導かれ、歩き、食べ、対話する。そんな未知の領域に身を置き、新しい気づきを得ようと世界全体で800万人(2015年調べ)の人が暗闇のアトラクションに足を運んだそうです。け
朝目覚めると、今日のミッションがどっと頭に押し寄せる。やれやれ。それを一旦別の引き出しにしまって、今朝も淡々と太陽礼拝から始まった。 体が伸びる、縮む、を繰り返す。ゆっくりゆっくり5回。背骨の一つ一つがいろんな形になる。筋肉が動いている。三半規管がバランスを取ろうとする瞬間を感じる。じわーっと汗が出てきて、ふとしたポーズの中で自分の体から立ち上る体臭をかぐ。と、次の瞬間はシャワーで石鹸の香りに埋もれる欲求を想像する頭がある。 自分の体と向き合う永遠のような時間。しかし、こ
手漉き紙にシルクスクリーンで一枚一枚印刷する絵本で知られるタラブックスの本の中に、ゴンド族のスバーシュ・ヴィャムが描く『Water』という絵本がある。 人気絵本『夜の木』に比べてサイズも小さいし、オフセット印刷だからあまり目立たなけれど、この物語には、先住民の視点が示されていて、コロナ禍にいる私たちに突き刺さってくる。 ゴンド族は、前回の記事「一本の柱とココナツ。先住民の最強の神殿」で紹介したインド中部の森に住む先住民だ。https://note.com/tsomorir
今日はインド先住民の神様の話。ヨガの太陽礼拝をしていたら、なぜかその話を書きたくなったから。 朝から雨だったこともある。家族はまだ起きてこない。シンとしたリビングでヨガのポーズを続けていたら、雨音がしとしとと耳に響いて、そのままさーっと体に染み入ってきた。そして雨の向こうに太陽があった、と言うと引かれるかな。でもそこでなぜか全身に万能感が漲ってきた。太陽の光が暖かかった。人はなんて不思議な存在なんだろう。 2013年、ゴンド画で有名なゴンド族が住むパタンガル村を訪ねた。
インド先住民ワルリ族の村へ通い始めて9年。行くたびに強烈に自分の身体に刻まれるもの、それはワルリ族たちのダンスパワーだ。 ワルリ画は昔の暮らしを表現しているの? と聞かれることがあるけれど、そんなことはなくて、現代の暮らしがそこに描かれている。人々はかまどに薪をくべてご飯をつくるし、パチンコ(スリングショット)を手にジャングルを散歩して、ときに食糧の鳥を落とす。20代の友人たちの話だ。 ワルリ画のモチーフとなっているワルリダンスは、田植えの日から稲刈りまで毎晩のように繰り
本日20:00~オンライントークセッション「ノコチームのビヨンド・コロナ」をYou Tubeでライブ配信します。配信URLはこちら。番組登録してもらえるとスムーズにチャット参加していただけると思います。https://www.youtube.com/watch?v=W1F_6lg1Cdo ノコチームとは、ノコプロジェクトにコミットしている人たちのユルい集まりのチーム名です。 ノコプロジェクトとは、これまでこの記事で紹介してきたインド先住民ワルリ族の村で家を建ててみることか
インド先住民ワルリ族の村へ通いはじめて9年。ここまで読んでくださった方は、‘足るを知る’彼らの生活、早朝からの禅僧めいた掃除などストイックな人たちの村という印象かもしれない。しかし、実はここはヤシの木酒飲み放題。昼間、眉間にシワが寄るようなことが起きたとしても、夜はやいのやいのでハッピーハッピーなのである。 昼間から「ターリー(ヤシの木酒)、どうぞ」と言われることもある。「え? 昼間から?」と言う態度をとると、「わっはっは〜」と豪快に笑いながら、たっぷりついでくる。しかしそ
インド先住民ワルリ族の村にホームステイをさせてもらうようになって知ったこと。ニワトリのコケコッコ〜は、あたりが真っ暗なうちから響き渡るということ。そして土間で啼く声は鼓膜直撃の爆音だということ。 コケコッコ〜の次に訪れるのは、シャッシャッという終わりなき環境音。謎だった。しばらくして、執拗とも思える早朝のシャッシャッは、ホウキで掃く音だとわかった。 ワルリ族の村に訪れるようになって瞬く間に9年がすぎた。街のホテルから通ったのは初回だけで、再訪してからは、自然と村の中でホー
今このコロナの状況下、先住民をお手本にしたいことがたくさんある。その一つが牛糞の床だ。 インド先住民、ワルリ族の村へ最初に行ったのは2011年だから、瞬く間に9年。少なくとも年に2、3度は通ったし、ワルリ画家を日本に招いて壁画を描いてもらったこともある。狭い我が家に泊まったワルリ族もひとりやふたりじゃない。本当に長い付き合いになる。長すぎて、当たり前になってしまっていることもたくさんある。でも、10年近く通ってきているのだから、そろそろ書いても許されるのかな。自分の脳にしま
インド先住民ワルリ族の村に最初に行ったときに見せてもらった絵に、髪の毛がバサバサに長くて、空中を飛んでる人が描かれていた。 なんだろう? それはゴーストだよ、と画家。 楽しそうに輪になってダンスをしている人たちの横で空中浮遊しているオバケはどこか淋しそうだ。ときに火を吹いてみたりしているけれど、雨が降ってきて、かき消されている。 なんかカワイイな。 そんな絵を描く人たちが私はいっぺんに好きになった。 動物も、虫も、人も、木も、花も、そしてオバケも、ワルリ画の構成要
現在、ロックダウン中の村で、彼らは牛糞を塗ったキャンバスにこんな絵を描いた。ビヨンド・コロナ=コロナ禍を超えた先にあるものは何か、そんなテーマで描かれた絵。タイトルは『Recreation』。 なんて美しい村だろう。最初に村を訪れたときの印象だ。インド、先住民のワルリ族の村を最初に訪ねたのは2011年だった。 ワルリ画という壁画文化をもつ先住民ワルリ族の村。ムンバイからのアクセスということはわかっていたけれど、当時、彼らの住む場所については謎に包まれていたと言えるだろう。