情があり調子良くもあり。 ~ 舞台 ふるあめりかに袖はぬらさじ ~
ライフワークのような気持ちで、申し込む大竹しのぶさんの舞台。
今回も鼻息荒く、「当たりますように・・・」と強く念を送りながら抽選に参戦。しかも、席が前列の方の抽選合戦に参加していたので、競争は激しくなっていたと思われます。
強い念が通じたおかげで、抽選を勝ち抜き、張り切って新橋演舞場へ向かいました。
席は前から6列目の素晴らしい位置。
演者さんのお顔もしっかり見られますし、舞台全体も見渡せる絶好のお席♪
客席を見渡すと新橋演舞場ですが、年齢層がお若い。
それもそのはず、ジャニーズの薮宏太さんがご出演でした。
ここで抽選に勝ち抜けた自分を褒めました(自画自賛)。
以下よりネタバレがありますので、これから観劇予定の方は後日お読み頂けますと幸いです♪
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舞台は幕末の開港前の横浜。
遊郭の岩亀楼で、体調の優れない花魁の亀遊こと美村里江さんが、粗末は部屋で臥せっています。
吉原から流れて来た美村さんですが、同じく吉原から流れて来た芸者のお園こと大竹しのぶさんが甲斐甲斐しくが美村さんのお世話をしています。
芸達者であるのですが口も達者でお酒で失敗を重ねる大竹さんと、とても美しいのですが色々と訳ありで横浜へ流れて来た二人。
幸薄く、病床に臥せっている美村さんの美しさったら!!
白塗りに赤い紅が映えて、ゾっとするほどの美しさでした。
そんな美村さんにはもう1人、気にかけて忍んで訪れる人物が。
岩亀楼のお抱え通訳であり薬の調剤も出来る藤吉こと薮宏太さん。
この二人は密かに思いを通わせており、忍び愛の現場に遭遇した大竹さんが二人をからかいつつも、温かく見守ります。
薮さんは調剤薬を持参して忍び愛していますが、薮さんの思い、そして薬も功を奏して美村さんの体調は良くなります。
しかし、それは美村さんが「仕事」に復帰することも意味し、二人と大竹さんは複雑な思いで過ごします。
ある日の宴会。
アメリカから来た商人のイルウスを地元の商人が岩亀楼で接待しています。
遊郭では厳格に外人向けと日本人向けの遊女を分けています。
イルウスにあてがわれた遊女は、恰幅の良い女、年増の女、おてもやん風の女、がさつな女といった次第で、イルウスは不満を覚えます。
そこへ日本の商人向けに復帰した美村さんがあてがわれます。
ところが美村さんの美しさにフォーリンしたイルウスは、どうしても美村さんを欲します。
遊郭の主である風間杜夫さんは美村さんは日本人用であると断りますが、イルウスは「身請けする」と申し出ます。
風間さんが美村さんの借用書をチェックすると、吉原から流れて来てすぐに体調を崩していた美村さんは岩亀楼で殆ど働いておらず、おまけに岩亀楼では吉原から高く売りつけられており、借金は相当額あります。
風間さんはイルウスに「600両」という高額をふっかけますが、イルウスはこれを飲みます。しかも、翌日払うと言います。
接待の場から下がっていた美村さんを探しにいった大竹さんは、別の部屋でカミソリで喉を掻き切り死んでいる美村さんを発見します。
美村さんは薮さんとの恋を成就出来ないことを悲観して自害したのでした。
傷心する薮さん、そして仲良くしていた美村さんの自害を悲しむ大竹さん。
ところが、ある日出回る瓦版に驚きます。
そこには「異人に身体を許すならば自らの命を絶つことを選んだ“ 攘夷女郎” 」という、事実と違うストーリーがでっち上げられていたのです。
これを信じたアメリカ人を良く思わない攘夷派の地元の人間が、「美村さんの自害した部屋を見たい」と押し寄せて来ます。
本当は粗末な部屋で自害していたのに、「豪華な遊ぶ部屋」で自害したことにする風間さん。
部屋を妙にアップグレードして、瓦版の通りの硬い女だったと吹聴します。
大竹さんは第一発見者であり、昔馴染みであるため、客たちに根掘り葉掘り「その時の状況」を聞かれる内に、美村さんの身の上を語りつつ、瓦版に沿った話をまことしやかに語り、事実からはどんどん遠ざかります。
そんな日々を過ごすうちに、攘夷派の武士たちが客として訪れます。
大竹さんがお座敷に呼ばれ、歌って踊って「美村さん」について語ります。
呼ばれる度に演出も「語り」も派手にどんどんアップグレードしていた大竹さん。
吉原でお酒で色々と失敗していた大竹さんは、お座敷で武士たちにお酒をおねだりして飲ませて貰う内に、従来の調子の良さが出て、「語り」の中で単なる地元の商人たちなら気付かないボロを出してしまい・・・
終始、大竹さんのお調子者っぷりがクスクス笑いや、つい吹き出してしまう笑いを誘います。
とぼけてみたり、気風良くしてみたり、いけないと思いつつ調子良く話をしてしまい、お酒に飲まれてみたり。
大竹しのぶ劇場は見応えたっぷり♪
美村さんの薄幸な美しさは、客席でも静かな驚きを生んでいました。
薮さんも美村さんを思うひたむきさがありつつ、どうにもならないもどかしさを、ちょっと頼りない感じも織り交ぜて演じておられました。
風間さんと大竹さんの丁々発止のやり取りは、安定したおかしみを醸していて、プーっと吹いてしまう場面がしばしば。
脇の外人向け遊女の皆さんもイイ味を出していて、悲しい身の上でありつつ、生き抜くための強さを見せていました。
大筋は悲しいお話ですが、大竹さんのお調子者人生もサイドストーリーとして感じられる、終始楽しい舞台でした。
観劇のお帰りに銀ブラなんかもお楽しみいただけるかと!
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