研究室20周年を迎えて-② [甲斐広文教授の活躍]
こんにちは。第1回目に引き続き、第2回目の記事を書かせていただきました。
今回の第2回目の記事では、私の20年間の研究室生活の中で、最も影響力のあった人物、つまり、甲斐先生自身に焦点を当て、甲斐先生の研究・教育・社会貢献などに対する信条について、私自身が学んだことについて、共有できれば良いと思います。
第1回目の記事は、こちら。
(記念事業の趣旨説明、この記事(note)で何を目指すか?)
1. 甲斐広文教授について
(熊本大学教育学部美術教育、松永拓己准教授 作)
[研究や教育などに対する信条]
甲斐広文教授のご略歴や人となり、研究や教育などに対する信条については、下記の様々なWebページをご覧ください。
甲斐先生のこれまでの人生で得られた格言集。何度見ても「学び」があります。
・よい教育はよい人財を生み出し、良い研究を生み出し、世の中に貢献する!
研究室の基本的方針です。人は全ての宝です。
薬学会の記事より。甲斐先生の信条の中でも最も重要な言葉「運を運びたければ足を運べ」を題材に記されています。
日々の出来事や社会情勢に応じて、様々な思いを綴られています。研究室の毎朝7:30からの最先端論文セミナーの解説もアップされています。
研究室で公表した論文や学会発表や受賞等の情報、毎朝7:30からの最先端論文セミナーの日程などが閲覧できます。
・研究者データ(日本の研究.comより)
幅広いテーマで、科研費等の外部資金を断続的に獲得しています。特に、頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラムや頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラムなどの大型グラントやアルポート症候群に関する国際グラントの獲得は、特筆すべき成果です。
[熊大薬学部長としての国際化・社会連携・ブランディング戦略]
甲斐教授は、現在、熊大薬学部の学部長もされています。数々の仕掛けやガバナンスには定評があり、その行動力とセンスには、いつもそばにいて、深い感銘を受けます。最近では、有用な天然物の有効活用で、世界の人々の幸せを目指すとともに、薬学部の国際化・社会連携・ブランディング戦略に精力的に取り組みされています。
薬学部長を3期5年間務めてこられています。薬学部HPでの皆さんへのメッセージです。
バーチャルオープンキャンパスでのWelcomeメッセージです。
熊本大学「フィロソフィアの扉」での薬学部の紹介ビデオです。
・薬を創り、薬を育て、生命を衛る-アートとサイエンスの融合を目指す、熊本大学薬学部
熊本地震後に、元気な熊本を発信するために作った、薬学部の紹介パンフレットです。キャンパス内は数々のアートであふれています。
新型コロナウイルス感染症の流行で実施できなかったオープンキャンパス。バーチャル会場に、様々な企画を詰め込みました。
<地上から見る熊薬>
甲斐教授自身のGoPro撮影の動画です。
<空から見る熊薬>
早朝の薬学部、ドローン撮影の動画です。
熊大薬学部のキャンパスブランディングプロジェクトの一環です。キャンパス整備とアート作品の充実で、学生。卒業生、一般の皆様の憩いのオアシスを目指しています。
天然資源を有する世界各国と連携し、温故創新の精神で、現代科学の視点から天然資源を見つめ直し、それに関わる人財を育成し、世界の健康に寄与することを目指す、熊大発プロジェクト「有用植物×創薬システムインテグレーション拠点推進事業(UpRod)」での取り組みです。
・世界の薬草を感じるミュージアム-自然を活用した国際貢献を考える
薬草ミュージアムを設立し、自然と向きあうことで、世界全体をハッピーにしていきたいという思いが綴られています。
・熊本大学「産業イノベーションラボラトリー」開所記念式典を開催
文部科学省への提案により実現した事業により、「産業イノベーションラボラトリー」の建設に至りました。本施設では、主に「自然共生型産業」に取り組みますが、今後、全学的に利用可能な運用を図り、「地方創生活動」及び「産学連携活動」に取り組んでいきます。
第7回アフリカ開発会議(TICAD7)のポストフォーラムとして、熊本大学の目線と有識者の議論から、アフリカのヘルスケア向上のための提言を発信する取り組みとして、第7回アフリカ開発会議のポストフォーラムを熊本で開催しました。
甲斐教授のアフリカへの想いは、特筆するべきものがあります。これまでにも、ご自身で何度もアフリカ諸国を訪問されており、現地の絶大なる信頼のもとに繋がるネットワークがあります。このような背景があるからこそ、政府主導の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)のポストフォーラムを開催することができたのです。
<甲斐教授のこれまでの数々のアフリカ訪問のようす>
・熊本大学とロシナンテスのスー ダンでの取り組み(第6回 アフリカで活躍する日本人医師・医学研究会者の連絡会議、アフリカ開発協会)
熊大のアフリカ戦略について、アフリカ開発協会にて講演しました。
[熊本大学とロシナンテスのスーダンでの取り組みに関する資料はこちら]
・熊本大学と海洋研究開発機構が連携協定を締結しました― オープンイノベーション体制によって深海に眠る未知の創薬シーズを探索 ―
JAMSTEC 海洋生命理工学研究開発センターが保有する深海微生物に関する知識基盤と熊本大学薬学部の技術基盤のシナジーで、未だ人の手がほとんど及んでいない深海に生息する微生物が持つ創薬ポテンシャルを明らかにする取り組みです。
・「それぞれの強み補完」 宮大農学部と熊大薬学部、創薬などで /熊本
世間では珍しい薬農連携の仕掛けです。農業県である熊本県及び宮崎県の農林水産業の発展に寄与するとともに、薬用植物の栽培や創薬につながる新たなビジネス連携の展開を目指しています。下記のニュース等でも取り上げられました。
[熊本地震や新型コロナウイルス感染症の対応]
熊本地震や新型コロナウイルス感染症の際にも、冷静な判断と、皆の幸せファーストの姿勢で、学部長の立場から真摯に取り組まれています。
未曾有の災害をもたらした熊本地震。その時、熊薬は?避難所の開設の経緯と、それらの経験から感じた記憶を、次世代に残す記録として。
・立ち上がり、考え、行動した。 熊大と「熊本地震」(熊大通信61号)
熊大全体としての地震後の取り組みを紹介した熊大通信記事。薬学部では、学生がいかに自分で考え、行動したか?日頃の人財教育の成果が表れているように感じます。
薬学部だからこそ、新型コロナウイルス感染症について、世の中に発信できることがあります。誤解のある感染症に関する考え方を、一般の皆様にわかりやすく解説しました。
・学びを止めない~新型コロナウイルス感染症拡大防止対策下の熊本大学~(熊大通信77号)
新型コロナウイルス感染症拡大時、大学人として、最も気になった学生の「学び」の環境。感染症を正しく理解することができれば、最も良い方法で「学び」を提供できるはず。遠隔講義の充実は、素晴らしいことですが、一方、新1年生にとっては、初めての大学生活で、全て遠隔というのは寂しいです。特集1のカバー写真は、甲斐教授の5月連休明けの講義風景。感染拡大防止措置に注力し、「対面講義+遠隔配信+オンデマンド配信」の3点セットを受講学生に提供することで、どの学生にも満足のいく講義を実施することができました。
・新型コロナウイルス感染症拡大で熊本に行けない! でも、遠隔授業で大学の授業が受けられるようになりました!(熊大なう)
今年度、薬学部新1年生の留学生チェさんの遠隔講義の模様を取り上げました。楽しみにしていた日本での生活ができない留学生に寄り添い、遠隔講義、入手不可能な教科書の提供、遠隔テストの実施などを通じて、母国にいながら熊本大学の講義が受講できるようになりました。
[オンリーワンの大学のためのガバナンス]
大学人としての数々のキャリアも積まれ、オンリーワンの大学をいかに創るか?そのような思いで、大学のガバナンスに対しても、日々取り組まれています。
熊本の2大学の首脳陣が集まる中で、「アフリカの今」と題して甲斐薬学部長が講演しました。
文部科学省「イノベーション経営人材育成システム構築事業」のもと、「国立大学改革の最前線」をテーマに政策研究大学院大学において大学トップマネジメント研修が行われ、甲斐教授が参加されました。その模様をスライドショーにしたのが以下の動画です。
<大学トップマネジメント研修の様子>
<総括シンポジウム報告の動画>
[20周年記念動画の完成]
最後に、今回の20周年記念事業(甲斐教授就任20周年事業)の一環で、作成した動画です。この動画では、"甲斐広文教授が、どのような発想で、人財育成、先端研究、社会貢献、国際貢献、ガバナンス、アート推進を行っているのか"について、インタビュー形式でご紹介しています。
以上、この記事では、これまでの経験で、私が甲斐先生から学んだ研究・教育・社会貢献などに対する信条について、共有させていただきました。ここで書かれている内容は、決して、「薬学部にだけ通用する」という限られた話題ではありません。
甲斐先生の良さは、これまで関わった人々の多くが、実際肌で感じていることと思いますが、"人々への優しさと対応力"と”真に物事を動かす直感力・実行力・前向きさ”だと思います。具体的には、1) 成果やモチベーションを上げるための人財育成やアピールする力、2) オリジナリティを醸成するアート思考と行動力、3) 組織の枠組みを越えて、個々の強みを発揮して作り上げる、新たな価値を生み出す風土づくり、4) 他者への貢献を基盤とした倫理観、5) 必ず物事をやり遂げる責任感とリーダーシップ、6) ブランディングを意識したグローバル・グローカル視点、など、たくさんあります。私自身が全てを理解できているわけではないとは思いますが、上記内容は、この世の中のいかなる分野の方々にとっても、意味のあることになり得ます。ぜひ、この記事を読んだ、皆様方の懐にも落ちる話題となれば幸いです。
次回は、私たちの研究室の研究内容を紹介しながら、 創薬研究の醍醐味と物理療法について、ご紹介いたします。
次回を、お楽しみに〜!
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"研究室20周年を迎えて(熊本大薬・遺伝子機能応用学)"の全シリーズのリンク
第1回目の記事は、こちら。
(記念事業の趣旨説明、この記事(note)で何を目指すか?)
第2回目の記事は、こちら。
(甲斐広文教授について)
第3回目の記事は、こちら。
(創薬研究の醍醐味と物理療法)
第4回目の記事は、こちら。
(難治性遺伝性肺疾患研究からCOPD研究への道のり、国際共同研究の展開)
第5回目の記事は、こちら。
(細胞内品質管理・分子シャペロン研究からプロテインフォールディング病研究のメッカへ)
第6回目の記事は、こちら。
(基礎研究の醸成から、ミッション・ビジョン戦略の導入で、本気の創薬や事業の出口化を目指すステージへ)
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