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第1回SDGs担い手育成講座(2021年度)
第1回SDGs担い手育成講座を開催しました。この講座の概要につきましては、以前記事を作りましたので、こちらをご覧ください。
・トヨタ白川郷自然學校概要
第1回SDGs担い手育成講座のご報告
狙い
第1回:白川村の現場を見て、サスティナビリティを考える
SDGs担い手育成講座では、「現場体験(フィールドワーク)」を大事にしております。第1回では、数百年前から同じ風景を守り続け、サスティナビリティを体現してきた白川村 をまずしっかり見てもらいます。また、ゲストにNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤寿一氏をお迎えし、SDGsを俯瞰的に捉える視点を提供します。
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参加者
第1回講座は8都県12大学から16名の若者が参加しました。世代も10代~30代、大学1年生~大学院生と様々で、多様な地域から様々な想いを持った若者が集まりました。また、専攻も人間社会システム研究科、国際環境経済学科、地域科学部、医学部など、多様な分野の方がおりました。
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スケジュール
【1 日目】
PM 開会・オリエンテーション
ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
夜 懇親会
【2 日目】
AM 世界遺産合掌集落散策
PM ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
地元青年部と共に景観保全活動&青年部との意見交換
夜 ナイトハイク
【3 日目】
AM 森のなかでふりかえり
合掌家屋で意見共有
PM クロージング
活動の様子
①開会・オリエンテーション
開会の挨拶では、山田学校長から「"SDGsの担い手としてどうあるべきか?"という問いに対して、まだ社会的に正解はありません。でも、私たちはその問いに答えていく必要があります。SDGs担い手として、こうありたい、こうあるべきということを、自身の言葉で話せるようになってほしい」と参加者へ挨拶がありました。
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その後、全体ファシリテーターの黒坂より、3日間のスケジュール紹介がありました。さらに「この1年、数回ですが縁あって一緒に活動する皆さん同士がお互いの名前や人柄が少しでもわかる時間となれば。」ということで、4マス自己紹介を行いました。ここでは「①名前(ニックネーム)、②どこで何を学んでいるか、③今回の講座で期待していること、④今の素直な気持ち」をお互いに紹介しあいました。
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②ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
山間地域の智恵と技の継承をテーマにするNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤先生に「里の暮らしを未来へ活かす」と題して、SDG sについて俯瞰的な視点でお話しいただきました。日本の資本主義経済の歴史やエコロジカル・フットプリント、環境・社会・経済の調和実現の困難さなどを具体的にお話しいただき、便利な社会ではなく、豊かな社会をいかに実現すれば良いのか、難解の”問い”に参加者は頭を悩ませていました。
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③懇親会
「皆さん、宿題の“長年、愛用しているもの”は持ってきていただけましたか?」この問いから始まった一風変わった懇親会。各自、実物を見せながら「長年、愛用している理由」も合わせて発表しあいました。ほんの少し、各々の人となりが垣間見え、自然と和気藹々とした雰囲気となりました。
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④世界遺産合掌集落散策
2日目、世界遺産白川郷に来た実感を持っていただくこと、そして、村の中にある暮らしに目を向けていただくため、実際に合掌集落を歩きました。「数百年前から同じ風景を守り続けてきた 白川村ですが、これからの未来を考えるヒントとしてどんなことがあるのか、ぜひ自分の目で見て、確かめてみてください。」
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まずは個人ワークです。「皆さんに1つ課題があります。他の人が気づかないような“友人に伝えたくなるもの”を探してきて下さい。」「“これだ!”というものがあれば、写真に撮って来て下さい。」「写真には、自分なりの友人に伝える際のコメントも用意してください。」
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次はグループワークです。「今、見つけてきた“友人に伝えたいもの”の場所に、同じグループの人を連れて行って、紹介してあげてください。また、なぜ伝えたいと思ったのか、理由も合わせてお伝えください。」参加者同士で“友人に伝えたいもの”を共有するうちに、自然とお互いのコミュニケーションが深まっていきます。
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⑤ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
昼食休憩をとった後、「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」の会長、和田正人氏にお話していただき、景観を維持してきた人たちの想いに触れていただきました。参加者は話を聞いた後、少人数で感想や意見を共有し、白川村で暮らす人々への想いを深めておりました。
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⑥地元青年部と共に景観保全活動&青年部との意見交換
和田氏のお話を伺った後、実際に地元の青年部の方々と協働で、景観保全活動を行いました。具体的には、青年部の方々が毎年この時期に作業している外来種除去作業(オオハンゴンソウ除去)や、集落内のゴミ拾い活動をグループに分かれ、共に汗をかきました。
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また、その後、集落内の公民館で地元青年部のメンバーと参加者の学生でざっくばらんに意見交換を行いました。一緒に作業してみての感想共有を行い、参加者からは「青年部の方々の取組みは私たちの目には写らない。それでも、継続されていることがすごいと思った。」などの意見が出ていました。また、グループによっては、普段の1日の過ごし方や、20歳の時どこで何をしてたか、人生のターニングポイント等、様々な話題となっていました。
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⑦ナイトハイク
最終日の夜は白川郷の豊かな自然に触れていただくため、夜の森へ出かけました。人工的な灯りを使わず夜の森を歩いていると、自然と暗闇に目が慣れてきて、所々でホタルや満天の星空に出会いました。「生まれて初めて流れ星を見ることができ、感動しました。」「自然のなかで気配を消して、本当に自分が自然の一部となって無心になることができました。」など、感動の声が上がっていました。
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⑧森のなかでふりかえり
2日間で感じたことや気づいたことを整理するため、一人のふりかえりの時間を過ごしました。合掌家屋のなかで、森のなかでなど、参加者自身が居心地の良い場所を選び、自然の中に身を置いて、これまでの活動をふりかえっていただきました。
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⑨合掌家屋で意見共有
2日間のふりかえりと共に、「もしあなたがこれから70年白川村で生きていくとしたら、何をして生きていきますか?」という問いもありました。この問いに対して、少人数に分かれ、意見交換しました。
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⑩クロージング
最後は、「今、ここ」の自身の想い(気持ち)を忘れないようにするため、1人1分スピーチの動画を撮影し、記録に残しました。この時、1つキーワードを書いていただき、そのキーワードを元にお話ししていただきました。
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実施結果(主催者所見)
第1回目の講座の目標は達成できたと考えます。ゲストトークの澁澤先生のおかげで、参加者にSDG s担い手にとって必要な“視点”と“問い”を提供できたと感じました。また、白川郷荻町集落の自然環境を守る会の和田さんのお話しや地元青年部の方々との景観保全活動と意見交換は、参加者にとって、白川村を肌で感じる貴重な機会となったと感じました。
参加者の声
「想像していたよりも地元住民の方々と対話する時間が沢山あり、様々な価値観と触れ合うとても良い機会になりました。2泊3日でこんなに濃い体験ができるとは思わなかったです!」
「澁澤先生の話を聞いて、経済・社会・環境を調和させることがどれほど難しいのか改めて認識することができた。」
「“SDGs”については言葉とロゴしか知らなかったけれど、“つながり”、“幸せ”“生きがい”といった私がずっとモヤモヤしていることと、まさかここでつながるとは、びっくりしました。」
「普段、自分が抱いていたSDGsのイメージとは違い、もっと根底にある人の心の話だったり、現代の経済が突出した社会における暮らしの変化などを聞けて、とても貴重な機会だったと思います。」
参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。参加者の皆さんが今後どのように変わっていくのか楽しみです!
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第1回講座に実際に参加された小幡成輝くんの声はこちら↓