“オープンイノベーション”が中小企業の生き残り策(その10) ~“新しい知”は『既存の知』と別の『既存の知』の新しい組み合わせ”~
日本では全企業に占める中小企業の割合が非常に大きい
中小企業庁のデータによると、国内の企業数は421万社あり
大 企 業:約1.2万社(0.3%)
中小企業:約419.8万社(99.7%)
従業員数は
大 企 業:約1,229万人(約30%)
中小企業:約2,784万人(約70%)
日本では全企業に占める中小企業の割合が非常に大きく、従業員数の数も中小企業が圧倒的に多い。
中小企業の生産性が向上しなければ、国全体の生産性もあまり向上しないといわれているのは当然だろう。
では、中小企業の生産性を高める第一歩は?
「成功体験が失敗のもとになる。成功はそのときに上手くいっているということであり、時代が変われば同じ手法ではダメだということ。」 (By 鈴木敏文元セブン&アイ・ホールディングス会長)
正にこのフレーズが、生産性が高まらない要因を言い表している。
外部環境が変化した時の新しいチャレンジへの大きな妨げとなっているのが 【経営者の“思い込み”】 だ。
経営者が、まずやらなければならないことは「言うは易く行うは難し」の次の3点
● 過去の成功体験を捨てる。
● プライドを捨てる。
● 固定観念を排除して、既成概念、常識・当たり前を疑う。
経営者自身で自分を社内における
『批判されたり、注意されたり、指示・命令されたりすることがない立場』
にしてしまったのだから、社内内部からの提言を待っているのは“時間の無駄”。
自分よりも目線もパフォーマンスも高い人達と交流することによっ て、自分のアスピレーション*を引き上げていくしかない。
*アスピレーション(aspiration):熱望の意味で、仕事を漠然と希望するのではなくやりたい仕事を強く希望すること
【両利き経営】が経営の本質
“知の深化”=組織にすでに存在している知の基盤に基づいたもの
『精錬』 『選択』 『生産』 『効率』 『選択』 『導入』 『実行』
“知の探究”=組織の現在の知の基盤と技術からの逸脱
『サーチ』 『変化』 『リスク・テイキング』 『実験』 『遊び』 『柔軟性』 『発見』 『イノベーション』
(引用:入山 章栄氏 著「世界標準の経営理論」)
ジョゼフ・シュンペーター曰く
「“新しい知”とは常に、『既存の知』と、別の『既存の知』の“新しい組み合わせ”で生まれる」
企業は成功すればするほど、深堀りし、利益を確保していく“深化”に傾きやすい。
新規事業には不確実性が高く、コストとリスクを伴う“探索”が必要である。
本業転換の事例として、コダックvs富士フィルム
【 コダック 】
本業の写真フィルム事業に拘って、デジタル化戦略に出遅れ経営破綻
(失敗要因1)・・・ 収益源をフィルムに依存する短期的な経営判断
(失敗要因2)・・・ 写真フィルムの需要予測の甘さ
【 富士フィルム 】
医療機器分野・ヘルスケア分野といった新しい事業へのチャレンジで成長~存続
(成功要因1)・・・ 市場縮小が急務だったので思い切ったことができた
(成功要因2)・・・ 変革に対する組織の柔軟性と実行力
一般的に“本業の衰退”の大きな2つの要因は、【技術革新】と【ユーザーニーズの変化】である。
コロナ禍の今だからこそ、中小企業にとって“知の探究”と“知の深化”が必要。
“よそ者”視点・発想による本業の魅力再発見
企業は“知の探究”が怠りがちになり、“知の深化”に傾きがちだ。
どうしても今まで確実に儲かってきた目の前の事業に予算を回してしまい、新機能・サービスの追加という“足し算”を行ってしまう。
「灯台下暗し」というのか?不都合な真実という足元が見えなくなってしまっている。
だからこそ、既成概念や先入観のない“よそ者”の視点・発想によって
“引き算”による【新しい魅力】の発見
【遠いようで近い】分野への展開
も考えられようになる。
これこそ私が提言している【“よそ者”によるオープンイノベーション】の利点だ。
CVC投資*といった大仰なことや、スタートアップ企業との提携に踏み切る前に、自社を知ることだ。
自社を知ってこそ、本業転換という選択肢が出てくる。
“よそ者”の“他者評価”は重要なのだ。
*CVC投資:既存の事業会社がスタートアップ企業に投資しながら、時に連携を図ること。
経営者はイノベーターであれ
考えているだけ、思っているだけ、知識として知っているだけで成果はあがるはずがない。
それを“実行”してはじめて成果はあがる。
やってみなければ、成功するのか?失敗のするのか?わからない。
事業に“リスク”は絶対にある。
最大の“リスク”は【何も変革しないこと】
世の中の劇的な変化は、顧客ニーズも一瞬のうちに変貌させてしまう。
“変革力”を持たない企業に『顧客の創造』を実現できない。
仕事はチームで行うもので、一人で出来る事などたかが知れている。
【“よそ者”の“知】を入れた新しいチーム作りも経営者が実行力のひとつ。
諦めた瞬間に老いが始まる
さあ、“よそ者”とのオープンイノベーション!
「思い立ったが吉日」
「善は急げ」
Never put off till tomorrow what you can do today.
There is no time like the present.
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