世界最古のSFファンタジー
🎑 今日は中秋の名月。そこで、月にちなんだ「 #翻訳本 」2冊をご紹介します。秋の夜長に読むのにぴったり!
『 #竹取物語 』は、言ってみれば異星人が登場するSFファンタジーの古典です。それをショートショートの神様と呼ばれる星新一と、ファンタジー・SF作家の森見登美彦が現代語に訳すとどうなるか・・・
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『竹取物語』 #星新一 訳(角川文庫)
『竹取物語』 #森見登美彦 訳
(池澤夏樹編集 「日本文学全集03」に収録/河出書房新社)
読み方としては邪道かもしれませんが、それぞれの作家の個性というフィルターを通して浮かび上がる世界観の違いを楽しみました。
たとえば、星新一の訳で思わずクスっと笑ったのは、以下のくだり。
🍁📗🍂📕🌾
あかりに照らされたそれは、つばめの古いフンだった。それを見て、中納言はがっかり。
「貝はなしか」
むなしい結果。
🌾🍡🌕🌾🍡
「むなしい結果」のたった一語で、星新一ワールドのイメジャリーが広がります。「~だった。~がっかり。~結果。」という畳みかけが、「エヌ氏」がしくじるシーンを彷彿とさせます。
糞をフンと綴るといった、平たい言葉遣いも星新一らしい。エヌ氏がN氏でないように、帝もミカドとして語られます。
その一方、全集の編者である #池澤夏樹 が『竹取物語』の訳者に森見登美彦を抜擢したのは、しかるべき人選という感じがします。森見氏の「竹愛」とかぐや姫に寄せる熱い想いは、そのエッセー『美女と竹林』にも詳しいです。
全体としては正攻法の訳文ながら、なにげない言葉の端々にポップで、テンポの好い森見節が透けてみえます。
では、なぜ翻訳者の私がこんな小学生のような読書感想文を書いているのか?
少し大げさにいうと、業界の勢力図を塗り替えつつある #機械翻訳 へのささやかなアンチテーゼのつもり。
古典作品の陰にチラつく、もう一人の作者の存在と共鳴するイメージ 🌌 を読む、そんな読書体験はコレクティブな作者である生成AIには決して提供できないと思うからです。
もちろん、「星新一風に竹取物語を訳せ」という課題の与え方もあるのでしょう。しかし、その回答としてAIが吐き出した翻訳を人が読んで面白いと思うかどうかは疑問です。🤔
そもそも個性のある訳文をオツだと思うのは、 #訳者 の意図( = 思考する人間の息吹💨)をそこに感じるからではないでしょうか。
・・・と、つい能書きが長くなりましたが、どちらも味のある訳本です。満月を愛でながら古の綺譚を「趣のある」現代語で楽しんではいかかでしょうか。
#翻訳 #月見 #十五夜 #現代語 #AI #MT
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