Telos - Zedd を聴いて
8/30に約9年ぶりのリリースとなったZeddのフルアルバム。リリースされてまだ1週間も経ちませんが、10周近く聴いているのでその感想をつらつらと。ぼくは、コードとかを判別するのは1,2時間集中しないとできないレベルなので、ほんっとうに感覚的な感想です。
Zeddはロシア出身のプロデューサーです。この手の方たちをDJと呼ぶのは、個人的に憚られるので呼びません。
アルバム1作目 "Clarity" はきっついプログレッシブハウスの作品でした。2作目 "True Colors" でもその色は残りつつ、ポップスの色も入り始めました。キャッチーなボーカルによるメロディと分かりやすいドロップ(いわゆるサビ)。日本でもCM曲に採用されていた "Beautiful Now" がその代表です。この2作品がEDM全盛期を彩った作品であることには疑いの余地はないでしょう。フェスやクラブシーンを想定した曲尺、構成が特徴で、BPMはおおよそ120-130前後、4-8小節のビルドからドロップ、という曲がほとんど。
ぼく自身の洋楽ライフもこれらダンスミュージックから始まりました。様々なエフェクト、尖ったシンセライン、重い拍打ち。
じゃあ今作はというと。イントロは聴けばわかる、Zeddの曲〜。なんですけど、今までとは違う。
今までというのも、2作目のフルアルバムのリリースからはEDMの曲作りをベースとしたポップスが多くなりました。StayだったりFunnyはぼくも大好きな曲。
とは言っても、今作はポップスとは距離をとった作品だと感じてます。紛れもなくダンスジャンル。そして、Zeddのプログレッシブです。しかしながら、これまでの何重にも重なったサウンド、エフェクトらがより洗練されたものへと変化したと感じます。この変化は、近年のポップスをつくる中での変化なのかなと思ったり。
BPMも105〜140前後の範囲ではないでしょうか(正確には調べてません😅肌感覚です)。このテンポと言う観点のみでも、アルバムの中で抑揚を感じられます。全曲にダンスならではの繋がりがあったり、10曲目 "1685"のイントロのような素敵な演出があったり。ぼくはこういうの大好き。
他のアーティストのフルアルバムでは、曲の集まりとしか感じられない作品もある中で、1枚10曲で構成されたストーリーのようで、聴いていて満足感を得ます。
アコースティック、オーケストラなど、生演奏される音のつくり出す空気感は唯一無二です。と同時に、DTMでつくりだす音の定位やエフェクト、再現性も唯一無二です。一つ一つがコントロールされている。
そんな制作方法もメジャーになる中で、足し算になりがちとも感じる楽曲は、国内外問わず多くあります。それでも一度Zeddが自らの音楽から引き算を試みたのが、この作品なのかなと聴きながら考えてます。
目指す音楽像やジャンルによっては、まだ要素を無くしていくことはできるかもしれませんが、ダンスジャンル、そしてプログレッシブの中でこの聴き心地を作り出したのはすごいことなのではと思います。
Telosは、ギリシャ哲学における "終わり・完成" を示す言葉だそうです。ひとつこれからのモデルになるような作品なのかもしれません。でも、Zeddにとっての完成や終わりであっては欲しくないですね。ダンスミュージックに限っていえば、クラブやフェスを飛び越えて楽しむものに時代と共に変化しました。それ故に、プロデューサーとDJのイメージが重なってしまうということも起きてしまったんですけど。今後も全ての音楽ジャンルで、アーティストもリスナーも変化していくでしょう。その変化に対する答えを常にみせてほしいですね。
それに、ぼく個人の好みがポップスやオルタナに変わって、いい意味でも悪い意味でももうあの時のハウスは作らないのかと思っていたんですよ。そしたら、この作品と出会ったわけです。また何年かかっても、新しい驚くような音楽の進化を見せてほしいと、いちリスナーとして思います。
専門家でもなんでもない一般人による感想をここまで書きました📝あー、音楽大好きだー
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