プロ野球における選手のマネジメントとは?
先日の松尾選手の二軍降格の際にベイスターズの捕手三人体制が崩れる事に関して、取材を受けた三浦監督が「マネジメントは出来ている」とコメントした事が話題になりました。
ちょうど松尾選手抹消の次の試合がジャイアンツに1-11の大敗を喫し、その試合に山本祐大選手がフル出場する結果になったのもあって、「本当にマネジメントが出来ているのか?」と首脳陣の采配に疑問を呈する声もSNS上に出ていました。
私もプロ野球球団のスタッフではない素人ですから、あくまで様々な媒体で見聞きした情報を元にした個人的な意見という前提ですが…
それにしても今回の一件で、プロ野球における選手のマネジメントというものがあまりにも知られていないと思いましたので、私見を述べさせていただきます。
始めに結論から話しますと、ベイスターズ首脳陣の判断は【マネジメントとして非常に合理的で適切である】ということです。
まずプロ野球においては、一軍首脳陣の主な役割がマネジメント、二軍の首脳陣の主な役割が育成と大別することが出来ます。
もちろん一軍、二軍問わず、マネジメントと育成は行っていますが、どちらの比重がより大きくなるかという話です。
そして、マネジメントというものは短期的なマネジメントと中長期的なマネジメントに分けられます。
これはプロ野球に限らず一般社会でも変わりませんね。
具体的には「その日の業務を滞りなく進めるための管理」が短期的マネジメント。
そして「その業務を継続、成長させていくための管理」が中長期的なマネジメントです。
これをプロ野球に当てはめて考えると、「その試合を成立させる、あるいは勝つための管理」が短期的マネジメント。
そして「シーズンを戦い抜く、あるいはチームを成長させていくのに必要な管理」が中長期的なマネジメントという事になります。
今回の松尾選手の一件は当然、中長期的なマネジメントに含まれるわけですが、そう考えると非常に合理的な管理をしていると個人的には思います。
まず現状の松尾選手の中長期的な課題は「捕手としての基礎技術と実戦経験」です。
山本祐大選手が結果を残し、年齢的にも絶対的な存在になりつつある今、一軍で松尾選手に捕手としての実戦の機会は限られます。
また捕手としての基礎技術の向上は一軍でなくても出来ることです。
現状、松尾選手を一軍に残す理由があるとすれば「代打で結果を残す」必要がありますが、現時点の代打成績は19打数2安打。
であれば、一軍に松尾選手を残しておく事は中長期的には、実戦経験の不足でマイナスになりかねません。
それと、捕手2人体制で山本祐大選手がどんな試合でもフル出場する必要が出てくるという意見についても、中長期的にはむしろそうすべきだと回答したいです。
山本祐大選手はここまでの活躍でこれからレギュラー捕手としての階段を上っていくべき選手となりました。
そういう意味でこのシーズン終盤の試合をフル出場させていくことは中長期的に非常に意味のある事です。
正直、山本祐大選手の最近の状態を見ていると、かなり疲労が溜まりパフォーマンスにも影響しています。
しかし、その状態を経験し、克服していかなければ永遠にレギュラー捕手にはなれません。
今期12球団の中においても突出した成績を残している山本祐大選手が将来的に全試合フル出場できるように経験を積ませていくことが、短期的なマイナスよりも中長期的には最もプラスが大きいと判断した証でもあります。
そして、捕手2人体制ではアクシデントがあった時に捕手が足りなくなる可能性があるという事については、ベイスターズには佐野恵太選手がいるので、それほど大きな問題にはなりません。
そもそも現状、残り試合に山本祐大選手をほぼフル出場させていく予定なら、2人で十分です。
第三捕手という役割は非常に無駄が多いです。
序盤は戸柱選手、伊藤光選手共に打撃の状態が良く、山本祐大選手がどこまでやれるのかも不透明だったので、出場機会もある程度確保出来ましたし、代打としての役割も大きかった。
ですが、ベイスターズとして長年の課題であった正捕手問題にいよいよ山本祐大選手という目処が立ってきた今とあっては、第三捕手を置くよりも遥かに守備や打撃、走塁に汎用性の高い選手を一軍に置いておく方が適切なマネジメントです。
長々と話してきましたが、この一件だけ見ても、チーム状況や様々な選手への中長期的視点がなければマネジメントへの評価が出来ないということになります。
特に一軍、二軍の入れ替えというのはこのマネジメントの根幹にもあたる部分ですので、チーム内部の情報を把握していない限り、外側から出来るのは「なぜこの判断を最良と首脳陣はしたのだろうか?」という考察のみです。
少なくとも「この首脳陣の判断は間違っている」と断定する事は不可能です。
プロ野球をより深く見ていくためには一つ一つの試合に勝つための短期的なマネジメントだけでなくこの中長期的なマネジメントな視点を持つともっと面白くなります。
正確に言うと一つの采配や一試合の結果に一喜一憂しなくなるので、ストレスが減りますw
ここまでの長文を読んでくださった方ならそういう視点を持っている方も多いかと思いますので、ぜひプロ野球に関する情報を沢山集めてその視点でチームを眺めてみてくださいね。