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433位:LCD Soundsystem 『Sound of Silver』(2007)【解説文翻訳】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選(2020年改訂版)

 このnoteでは2020年に、2003年版と2012年版に続き8年ぶりに改訂されたローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選本家サイトに載っているアルバム解説文の日本語翻訳をしています。本日はこちらのアルバムです。

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433位:LCD Soundsystem 『Sound of Silver』(DFA/Capitol, 2007)

<ローリングストーン誌による解説(翻訳)>
 ジェームス・マーフィーはクラブ界で、彼のカンフーこそが最もイケてるエレクトロ・パンクのプロデューサーであることをすでに証明していた。しかし、いくら熱狂的なファンであっても彼がSound of Silver』ほどの傑作を作るとは予想していなかった。このアルバムの全てのトラックは別々のバンドによる偉大なヒットのようで、政治性の強いパンクの“North American Scum” から、別れについて嘆くシンセ・ポップの“Someone Great”まで収められている。また歴史的名曲の“All My Friends”は、巨大で、圧倒的で、激しくエモーショナルな楽曲であり、ディスコ・キーボードとロック・ギターの躍動を背後にマーフィーは最高のパーティーたちといくつもの静寂な朝についての青春の記憶を振り返っている。
(翻訳:辻本秀太郎、 原文へはこちらから)

参考として、「このアーティストのアルバムが500枚のリストに合計何枚ランクインしていたか」と「このアルバムの順位が前回版(2012年版)ランキングと比べてどう変わっているか」についても以下に調べてまとめています。

<ランキングに関するデータまとめ>
【2020年度版】
同アルバムの今回順位:433位
同アーティストのランクイン枚数:1枚
【2012年度版】(前回版との比較)
同アルバムの前回順位:395位
同アーティストのランクイン枚数:1枚

<感想>
 The 1975のフロントマン、マシュー・ヒーリーはLCDの“All My Friends”について、「あの曲を聴いて『よし、これだ。僕にとっての永遠の曲を見つけた』と思ったのを覚えてるんだ。僕がそれからやっていくすべての1曲1曲を決定付けることになるって気づいたんだよ。」と語っている
 私がLCDのことをちゃんと聴き始めたのは、彼らの再結成後、2017年にフジロックでの来日が決まった時だったので全然後追いなのだが、当日は前の出番の小沢健二がステージを去った直後から急に豪雨になったホワイトステージのフロアで泥々ボロボロになりながらLCDを観て大層感動した記憶がある。それからも、その日のエレクトロパンクのビートやヘヴィでソリッドなシンセのことを思い出しながら、ジェームス・マーフィーの音楽をデビューアルバムから遡って聴いては悦に浸っていたのだが、The 1975のマシュー・ヒーリーの先述のコメントを読んでから、LCDの歌詞について真剣に読むようになりその素晴らしさに気づき、マーフィーのDFAレコーズのプロデューサーとしての活動も知り、さらに好きになっていった。ちなみに、The 1975のファーストアルバムの"Sex"は、「this is how it starts」という歌い出しで始まるが、LCDの“All My Friends”あの素晴らしいリリックの冒頭も「That's how it starts」と始まる。
 “All My Friends”の素晴らしさは翻訳した解説文にもある通りだが、この500枚のリストには入ってないLCDのデビューアルバムに入っている"Losing My Edge"の歌詞も、凄いのでぜひ聴いて読むことをオススメする。30代になってからLCDのプロジェクトを始めたマーフィーが、「俺はエッジを失っていく」と繰り返しているだけで感動があるのだが、音楽オタクであることの誇りとその知識をどうにも活かせない反省を歌うという主題にはどうも共感せずにはいられないし、ついに最後には自らのレコード棚にあるタイトルを読み上げ始めるというぶっ飛んだ展開にも衝撃を受ける。


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