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映画好きによるキングオブコント2024 個人的感想と採点。
みなさん、こんにちは。映画と同じくらいお笑いが大好きなトマトくんです。
過去3年に渡って史上最高得点が更新され続けているキングオブコントですが、今年の番組のテーマは「最高到達点」。いよいよ番組側も逆手にとってきましたね。別に点数がインフレしているからといって、クオリティが上がっているわけではありませんが、なぜか「何が起きるじゃないか…」と楽しみにしてしまいます。
今回の審査員は飯塚悟志、小峠英二、秋山竜次、山内健司の4人が続投。あの騒動でテレビ出演を自粛している審査員長・松本人志の代わりに、シソンヌのじろうが入るという形になりました。多分ですけど、松っちゃんのいないキングオブコントって初めてですよね。初の松本人志不在の優勝者が生まれます。
ファイナリストはcacao、コットン、シティホテル3号号、ダンビラムーチョ、ニッポンの社長、ファイヤーサンダー、や団、ラブレターズ、隣人、ロングコートダディ(50音順)の10組。このうちcacao、シティホテル3号室、ダンビラムーチョが初出場。ニッポンの社長は史上最多5回連続の出場となりました。この10組の中から今年最も面白いコントチャンピオンが誕生します。
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ちなみに僕の優勝予想はロングコートダディです。その一方、願望ではニッポンの社長を。お笑い界隈での前評判としては、ロングコートダディとファイヤーサンダーのどちらかが優勝するのではないか…と噂されている感覚でした。
ちなみに一般人が芸人のネタに対して点数を付けるなんてご法度なんですけど、あとから見返したときに当時の自分の感性を残しておきたいので、感想とともに点数もつけておきます。
なるべく上から目線にならないように、あくまで1人の観客としての見解を述べていきます。
ただこれは注意事項なのですが、感想を書く上でハマらなかったものに対しては、素直になぜ自分はハマらなかったのかを明確に説明しているため、人によっては不快になる可能性があります。
別に書かなければいい話なのですが、どうしても文字にしてどこかに残しておかないと多分爆発してしまうので、理解のある方のみ読んでもらえると助かります。
それでは早速、1組目のネタから行きます。
1組目 ロングコートダディ『花屋』93点
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2年連続でまさかの大本命がトップバッターというのが残酷ですね。去年はカゲヤマでしたが、カゲヤマは準優勝をしています。昨年のM-1グランプリでも令和ロマンがトップバッター優勝をして話題になりましたが、最近ではトップバッターにも優勝のチャンスがあるため、あまりネガティブに考える必要はないかもしれません。
彼女に花束のプレゼントをしたい男が、自分にはセンスがないため花屋の店員に素敵な花束を見繕ってもらうというネタです。始まってすぐ、男が自然に店員に向けて今回のコントの大まかな流れを説明するのが秀逸でしたね。
最初は「よろしくお願いします!」と腰が低かったのに、ピンクの花束を見た第一声「なるほど」で一気にこの男がどういう人間なのか、これからどういう展開になっていくのかを理解させるのも巧み。どれもこれも良い花束だけど、最初の「センスがない」という説明があったことで、じわじわと憎たらしさが効いてきていました。
それに別に言い返すわけでもないけど、花言葉などでしっかり反抗していく店員さんのキャラも立っているため、キャラクターコントとしてもよく出来ているし、花屋という設定を無駄にしない凄さを感じましたね。
普通の花を見てどう返すのか、という堂前の大喜利力。兎のリアリティあるサラリーマンの演技力。ロコディの全てが発揮された台本の構成力。ひたすらにすごかったです。
ラスト、車の衝突から店員さんを護って「まだマイナスです」の一言が本当に良くて、全てはこの瞬間のためにあったのか…と思うと鳥肌さえ立ちました。
個人的にはずっと面白かったけど、会場は盛り上がるまで少し時間がかかってるように思ったので、ちゃんと評価されて高得点だったのが嬉しかったです。でも会場が温まりきった状態だったらもっと点数高かったんだろうなあ。
そういえば、煽りVで堂前が「俺たちが決めてやりますよ、この番組の視聴率・形・評判」と言っていましたが、まさに有言実行だったんじゃないでしょうか。
2組目 ダンビラムーチョ『富安四発太鼓』88点
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馬鹿馬鹿しくて好きでした。M-1グランプリではカラオケのネタが不発でしたが、僕は結構ダンビラムーチョのことツボなんですよね〜。
煽りVで「細部は終わっているところがある」と言っていましたが、山内が言うよりに表面的なディテールは凄く良かったと思います。ガチガチの腕時計に説得力を持たせるのも面白かったし、謎の紙芝居が一人しかいないから鼻で支えている感じとかも笑いました。音楽を流しているのがプレステ2なのも良かったです。プレステ3や4ならあんなに面白くなってません。2だから面白いんです。
しかし、大原が言っていたのは見えない部分のディテールだと思います。台詞のひとつひとつや話の運び方は粗いため、要所要所で気になるところはありました。また音楽で原田フニャオのツッコミがかき消されている部分もあって勿体なかったです。
結果としてだいぶ好みだったんですけど、序盤の「太鼓を四発しか叩かない」という説明と、それを実際にやってみせるときの三発叩く裏切りがピークだったようにも思います。ソイヤ!
3組目 シティホテル3号室『テレビショッピング』87点
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タイタン所属の芸人がキングオブコント決勝に進んだのはシティホテル3号室が初めてみたいですね。それだけで価値がありますね。3組目にシティホテル3号室が来るという奇跡は、M-1グランプリにおけるキュウの9番目を思い出します。しかも、どちらもタイタンですね。
こういう通販番組系のネタってやり尽くされているはずなんですけど、この角度から切り込むのは凄かったです。山内が「完璧すぎる」という褒め言葉を使って批判していましたが、これは「綺麗に纏まりすぎているあまり、演劇になってしまっている」みたいなニュアンスに感じました。
また個人的には、実際に話題性のために派手なことをする通販番組や、それをいじるネタ系の動画はインターネットでよく見かけるため、やはり発想自体はそこまで突飛なものとは思いませんでした(ダイナミック通販や日光テレフォンショッピングと調べてもらえばすぐ出てくると思います)。もっと色々出来た気がします。
審査員の中では比較的若い方のじろうちゃんが93点で山内が92点。そのほか3名の点数が高いのが、そのインターネットの流れを象徴していると思いました。
結局「台本の内容が過激」って言うのと、「撮影の裏側の温度差」で起きる笑いばかりだったため、もっと掛け合いでその笑いを広げて欲しかったです。そのせいで、結局ネタばらしがこのコントの全てになっていた気がします。
でも、あの首を絞められて頭を掃除機で吸われたあとの床へ倒れ込む演技めちゃくちゃ良かったですよね。あれ好きでした。
4組目 や団『休憩室』89点
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や団、3年前のキングオブコントのネタを見たとき「これだけ安定していたらしばらく常連になるだろうな〜」と思ったら、まさか本当に常連になってきていてかっこいいですね〜。
これはネタはネタ番組か去年の準決勝だかで既に観たことあるネタだったんですけど、いや〜、何回見ても面白いです。や団は相変わらずサイコパス的なネタが多いけど、それも日本のじゃなくて、アメリカのサイコパスなのが良いですよね。しかもそれが二人いますからね。
ついカッとなってやり過ぎてしまうサイコパスと、何をされてもヘラヘラしてるサイコパス。なんか『プリズナーズ』のヒュー・ジャックマンとポール・ダノを思い出しました。
ピーマンの肉詰めを剥いで、ただのピーマンと肉にするのとか天才ですね。そんなところにあるはずもないのに。あとは誕生日のグッズが次々に出てくる流れも良かったですね。しっかりそこの正義感もあるのが愛おしかったです。
ただ流れとしては去年の稽古のネタもこんな感じだったので、3年連続となると流石に目新しさはない(むしろ去年の灰皿がインパクト強すぎた)けど、凄まじい完成度だったと思います。
5組目 コットン『おままごと』91点
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コットン、コアなお笑いファンにはよく舐められてる印象ですけど、個人的には彼らはめちゃくちゃコントが上手い芸人だと思ってます。構成力や演技力はあの世代の芸人の中では頭ひとつ抜けています。本来なら2年前に優勝しておくべきだったとさえ思っています。
今回のネタも「子供のおままごとが上手い」という、コントとしてはかなりありきたりな題材です。面白いかどうかは置いておいて、大学生お笑いの延長線上みたいなネタをするくせに、コントという枠組みを内側から見事に破壊してくるんですよ。このネタ。
というのも、「演じること」で成立するコントという枠組みの中で、更に「演じること」で成立するおままごとを取り入れて、その外側にいる人間(コント側)がおままごとの中に介入してくるというタブーを冒すんです。
基本的にコントってツッコミが見ている人の気持ちを代弁するために居るものなので、ボケの流れを邪魔しないために常に蚊帳の外だったりしますからね。漫才でも最近そういうの増えてますし。
また子供からすれば第四の壁を破壊されたようなものですけど、おままごとの枠外(コント側)にいる人間から見ればそれが滑稽で面白い。チャップリンの「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」という言葉がありますが、このネタはまさにそれでしたね。しかも、ぬいぐるみ視点の悲劇と子供視点の喜劇、子供視点の悲劇とおじさん視点の喜劇の二重構造になっているのも良かったです。
一方で、結局笑える点って「子供のするおままごとがよく出来ている」という部分だけですし、ラストの救出以外はほとんどおままごとの中で展開されているため、二人の掛け合いがなく、点数が低かったのも仕方ないとは思います。ほぼ人形劇の面白さですからね。やはりコントもナマモノですから、人と人との面白さが出ていた方がそりゃ良いに決まってます。
それ以外にも、おままごとに公園でするイメージがないことや、真横でおじさんが騒いでるのに子供が気にしないところはリアリティは無かったかもしれません。あと、かなりカメラワークに助けられてたのもあるのかもしれないですね。あの広い舞台だと審査員席からじゃ遠くて分かりづらいし、かなりミニマムなネタに見えてたと思います。
ただ西村の長台詞はもっと評価されてもいいと思いました。元アナウンサーというのもあって、ひとつひとつの言葉が聞き取りやすいし、なぜか練習量が見えないんですよ。すごく良いコントだったと思いますよ。
6組目 ニッポンの社長『新入部員』96点
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毎年言ってる気がしますけど、僕はニッポンの社長が大好きです。どんなネタをされても無条件で笑ってしまう。ケツの表情、辻の声、全てが面白い。あの馬鹿馬鹿しさがたまらないです。
ケツの声が小さいだけで面白いし、声小さいのに激しく動けるのも面白いし、あの感じで野球が上手いのも面白いし、野球が上手いのに声が小さいという理由で殴られるのももっと面白い。
水を飲む許可を貰ったのに、声の小ささで聞こえてなくて怒られる理不尽さも好きですし、なぜ勝手に水を飲んでどつかれるのかも分からなくて好きです。後ろのバットの分だけ笑えるんだなって思うとさらに笑いが込み上げてきました。ギャグ漫画みたいなオチも最高でしたね。
ニッポンの社長は、辻がめちゃくちゃケツのこと好きなんだなっていうのが分かるのがいいですよね。どうすればケツが面白くなるのかしっかり理解している感じ。過去に辻がケツのことを「プロの被害者」と言ってましたが、まさにそういうネタでした。
フリとオチがしっかり効いている古典的なお笑いなのに、それをニッポンの社長がするとなぜか新しく見える。やってることは単調で、ずっと一緒なのに、全く飽きさせない魔法を持ってます。大谷翔平一強時代を象徴する時事的なネタなのも好きでした。もっと評価されてほしかったですね。
7組目 ファイヤーサンダー『毒舌散歩』95点
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前回モノマネ芸人をいじったメタ的なコントをやっていたので、今回は霜降り明星・粗品やウエストランド・井口へのアンチテーゼ的なネタかなと思っていたら、まさかの方向に転がっていく奇妙なネタでした。芸人が向いてなくて他の仕事に手を出す人たちに対する皮肉も効いていたと思います。
最初のネタばらしの一撃だけに終わらず、その後も二転三転していく展開が素晴らしかったですし、アニメみたいな有り得ない設定をここまで臨場感たっぷりに展開し、リアリティすら持たせる構成力も圧巻でした。
「あなたがやっていたのはロケではなく巡回です」や「今は群馬の山奥に隠れてんのか!」「そうなんですか!?」みたいなやり取りも面白かったし、「君は例えすぎた」とかいう馬鹿馬鹿しい台詞も最高です。「君みたいな勘の良すぎるツッコミは嫌いだよ」とかはモロ『鋼の錬金術師』からの引用ですけど、それも今の時代のコントらしくて良かったです。
こてつのニンの面白さも出ていて、全く非の打ち所がなかったですね。強いて言うなら、そんな才能があって逆になんで今まで気づかなかったんだ…とは思ったけど、上手くそこのポンコツさも表現できていた気がします。
予知能力を駆使して犯罪者を捕まえるという、設定だけで見たらほぼ『マイノリティ・リポート』なのも映画好きとしては高評価でしたね。
8組目 cacao『部屋練』85点
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本日2本目の野球ネタ。ニッポンの社長が野球道具をバチボコに破壊しまくったあとで、何がなんでも絶対に物を壊さない野球部のネタを見せられるというこの流れが奇跡みたいで好きです。
一種のリズムネタのような面白さもあり、沢山動きがあって若さを感じるコントだったと思います。ただ部屋の中で野球をするというアイデアの面白さだけで、キャラクターの面白さ、掛け合いの面白さ、展開の面白さなどは無かったため、他のコントと比べてしまうと見劣りして見えるのは仕方ないのかなと思いました。
飯塚も言ってましたけど、風呂敷の畳み方が分からなくて最後に無理矢理落としたように見えたのも確かに「え?おわり?」ってなりました。
あと、これは完全に自分の好みでしかないんですけど、野球以外のことで「部室の中における自分たちの能力の高さ」にもっと気付けたら最高でしたね。スパイダーマン1作目で、ぶちまけられた給食を片手で全部受け止めるアレみたいなね。
また映画の話ですけど、終盤の三つ巴は『レザボア・ドッグス』みたいで超かっこよかったです。
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9組目 隣人『天才チンパンジー』84点
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まず始まった瞬間から「隣人ってなんでこんなにチンパンジー好きなんだよ!」という笑いが込み上げてきて良かったですね。キングオブコントで前年のネタをフリにしたネタをするのは初めてなんじゃないですか?
チンパンジーが音声入力で会話するというのはそこまで特別面白かったわけではないですが、その中で敬語だったり関西弁だったりが入り交じる言葉の吸収力が好きでした。
ただ結局その「言葉が巧み」である部分しか表現できていないので、もっとチンパンジーの成長における怖さを演出してほしかったです。終盤の姿勢が急に良くなるところとか大好きだったんですけど、ああいうのがもっとほしかったですね。
やはり成長に対する恐怖という点で言うと、3年前の蛙亭の『ホムンクルス』に劣るし、もっと言えば『猿の惑星』シリーズが既にそれをやってくれているしなぁ…となりました。
笑いと恐怖は紙一重って言うから、もっと色んな怖さを見せてほしかったですね。でも隣人らしくて好きでしたよ。
10組目 ラブレターズ『息子』83点
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2年連続でトリかい!ラブレターズって本当に好き嫌いが別れるんですよね。二人とも声をひしって騒ぎ回るし、途中からカオスになるネタが多いため、苦手な人は苦手だと思います。
そのカオスをどう捉えるかによって評価が変わるイメージがあります。多分テレビで見ると伝わらないけど、キングオブコントのステージだとそれがより一層映えるんじゃないでしょうか。
個人的にはそこまで嫌いなネタではなかったですが、たかだか2年ひきこもってるだけか…と考えてしまって、どんぐりひとつでここまで騒げる両親にあまり共感できなかったんですよね。
それに、そんな大声で話してたらお風呂にいる息子に聞こえるんじゃない?とか、あんなに大量にどんぐり集めて、YouTubeまでしてて、遠出までしているのに全く気付けない両親ってなんなんだ?とか。あれだけ息子のことを思ってるのならそんなはずないですからね。でも、その「ありえなさ」が面白いんですよね〜。まさにコントという感じで。不思議なネタです。
構成自体は気になる点が多かったんですけど、ラブレターズのことは好きだし、終盤に関してはもうどんぐりをぶち撒けたいだけだろ!とか思って余計に笑えてきました。
相変わらず無骨だなぁとは思うんですけど、別にそれがマイナスにならないのがラブレターズですよね。自分たちのやりたいことを貫く意地と信念がかっこよかったです。
ファイナルステージ
というわけで、ファイナルステージに残った3組は「ファイヤーサンダー」「ロングコートダディ」「ラブレターズ」となりました。 純粋なウケ量では割と納得の3組だと思います。
ちなみに僕は上から「ニッポンの社長」「ファイヤーサンダー」「ロングコートダディ」が好きだったので、そこまで異論はありませんでした。それに前評判に近い結果になりましたね。
というわけで、最後の三組までしっかり感想と点数を書かせて頂きます。
1組目 ラブレターズ『ナンパ』82点
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澤口の(本当はナンパ師じゃないけど)ナンパ師らしい説得力がぷんぷん醸し出されていて良かったです。が、良かったのはそれだけでした。1本目もそうだったけど、とにかく構成が無骨すぎますね。
「キウイフルーツみたいでかっこいいね」みたいなナンパ師らしいワードセンスをもっと見たかったんですけど、結局女性の方の狂気に頼りきってしまっていたのが個人的に好みに合わなかったです…。それに、話しかけたのはナンパ師の方からなのにあんなに怖がるなんて酷い話ですよ笑
また、片方は釣りをして、片方は髪を剃る。多分うお座と山羊座だからだと思いますが、この突拍子のない、緩急のない混沌さも評価の分かれ目ですよね。ああいうのが好きな人はとことん好きだと思います。
審査員にはウケてましたが、かなり受け入れられない人も多いんじゃないでしょうか。じろうちゃんも言っていましたけど、あそこで釣りをしている必要は全くなかったですからね。でもその必要のない笑いが魅力なんでしょう。
個人的には、あくまで個人的にはですが、わざとカオスにするのはいいんですけど、笑わせたいならせめて状況がしっかり整理された上での整合性のつくカオスをやってほしかったです。流れの上で仕方なく起きてしまったカオスが理想でした。「あれをしたい」が先行してしまって、そこまでの道筋が無いに等しかったですからね。
審査員にコメントを振るたびにダメ出しが出てくるわ出てくるわだったので、このネタで優勝してしまうのもラブレターズらしかったです。
2組目 ロングコートダディ『死の呪い』97点
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『ロード・オブ・ザ・リング』のホビット族みたいな服装をしている堂前がめちゃくちゃ良いですね。似合ってます。兎の顔はめちゃくちゃ『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』の月に似てますよね。
岩壁に封印されしアグリのウィザードが異言語でしか話せないため、伝えたいことが伝わらないというアンジャッシュの亜種のような、進化系のようなすれ違いコント。
話を聞かないという点では、2018年チョコレートプラネットの『監禁ゲーム』にも近いですね。それなのに設定から何から唯一無二で誰とも被らない新しさがありました。むしろロコディのネタの方が親切心で伝えている分、哀愁が増していましたね。
「ウィザードは今何を言ってるんだろう」と思わせてからの答え合わせで笑いを取るタイプのネタなので、これも一種の大喜利ですよね〜。「立つな」=「テツナ」や、「やめて!」=「ウヴォケ」みたいな馬鹿馬鹿しさも良かったですね。
個人的には今回一番笑ったネタだったんですけど、小峠や飯塚の点数が低かった理由も分かるんですよね。字幕を読みながら話の流れを理解するのが少し大変だったり、生の掛け合いがないor顔が見えない着ぐるみ系のコントは邪道だから評価されづらいなど色々ありますね。
でも一番の問題は別にこれならピンネタでも出来るというところでしょうね。あと、あれだけ人間語を聞き取れるのならウィザードももう少し話せてもいいだろ、というツッコミも。まぁこれは野暮か。
個人的にはモンスターエンジンの『Mr.メタリック』や、2700の『キリンスマッシュ』、ニッポンの社長の『ケンタウロス』のような着ぐるみコントが大好物なので、正直優勝決まった!と思っていただけに残念でした。
3組目 ファイヤーサンダー『全裸マラソン』90点
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本日3本目の野球ネタですね。悪いやつに見えて実は良いやつというファイヤーサンダーのお家芸のようなコント。
「全裸マラソンしてやるよ」というワードが出てきたときは、これ一体どう展開していくんだろう…とワクワクしたんですけど、思ったより王道のコントでしたね。
全体を通して見ると面白かったんですけど、つい昨日まで赤の他人だった人間が、なぜ突然あそこまで野球部に肩入れしだしたのかが若干理解できなかったので、何かひとつ小さなことでもいいのできっかけが欲しかったです。
また「俺に合うユニフォームはあるか?」のあとの流れが一番見たいところだったので、そこで終わっちゃうんだ…という呆気なさも少しありました。
でも全然優勝してもいいネタだったと思うんですけどね〜。不思議だなあ。
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というわけで、全組終了しました。優勝はご存知の通り、ラブレターズが歴代優勝者の中で最多5回目の決勝進出で優勝を果たしました。おめでとうございます!過去の決勝でロバートやシソンヌと戦ったコンビが、秋山やじろうちゃんの審査で優勝するのはドラマがありますね。
今大会は審査員に対する批判がめちゃくちゃ多いように感じるんですけど、正直それも無理はないかと思います。審査員がみんな94点から96点ばかりを付けるため、一人の1点で順位が大きく変わってしまうのが今回の問題点ですね。
審査としてはある程度振り幅がある方が理想的なのに、団子状態なせいで振り幅をつける審査員(今回で言えば飯塚)が悪目立ちしてしまっていたのが可哀想でした。あと少し、ほんの少しでいいのでなるべく差をつけてほしい。いくらネタの水準が上がっているとはいえ、そこに差をつけるのも審査員の仕事だと思うので。
しかし、一方で例年は1位がずば抜けて高い点数を記録するため、キングオブコントの性質上セカンドステージが始まる前の段階から優勝者が読めてしまうという事象があったため、これはこれで面白いセカンドステージにはなっていたと思います。結局どこを評価するかでしょう。
少し酷い言い方にはなるのですが、個人的にはおじさんがするコントってどれもこれも勢いだけで古臭くて好きじゃないんですけど、そもそも審査員がみんなおじさんなので、そりゃハマるよなあっていう部分はあります。
とは言っても、お笑いのプロが審査しているので審査員たちの評価には一切文句は言いませんが、もっと若い層のお笑いが評価されるシステムになってほしいと願うばかりです。玄人受けばかり意識しすぎても良くないと思うので。
最後に僕の個人的採点表を載せておきます!
また次回お会いしましょう!👋
個人的採点表
97点 ロングコートダディ『死の呪い』(2本目)
96点 ニッポンの社長『新入部員』
95点 ファイヤーサンダー『毒舌芸人』
93点 ロングコートダディ『花屋』
91点 コットン『おままごと』
90点 ファイヤーサンダー『全裸マラソン』(2本目)
89点 や団『休憩室』
88点 ダンビラムーチョ『冨安四発太鼓』
97点 シティホテル3号室『テレビショッピング』
85点 cacao『部屋練』
84点 隣人『天才チンパンジー』
83点 ラブレターズ『息子』
82点 ラブレターズ『ナンパ師』(2本目)