映画好きによるキングオブコント2022 個人的感想と採点。
みなさん、こんにちは。映画と同じくらいお笑いが大好きな20歳男子 トマトくんです。
今でこそ映画漬けの毎日を送る映画バカの僕ですが、今のようなご時世になる前はというと、毎月、いや多いときには毎週と言っていいほど難波にある吉本の劇場へと足を運んでいました。
しかも和歌山からなので、大体1時間半くらい。当時は中学生・高校生くらいだったはずなので、今思うとどこからそんな金が湧いてたんだって感じです。
今年のキングオブコント、審査員は昨年と同じく松本人志、飯塚悟志、小峠英二、秋山竜次、山内健司の5人が続投。
ファイナリストはいぬ、かが屋、クロコップ、コットン、最高の人間、ニッポンの社長、ネルソンズ、ビスケットブラザーズ、や団、ロングコートダディ(50音順)の10組。この中から今年最も面白いコントチャンピオンが誕生します。
事前に僕がTwitterで投稿した優勝予想はニッポンの社長でしたが、一般人による下馬評では最高の人間が、芸人界ではいぬが優勝候補ではないか…と囁かれていました。
ちなみに一般人が芸人のネタに対して点数を付けるなんてご法度なんですけど、あとから見返したときに当時の自分の感性を残しておきたいので、感想とともに点数もつけておきます。
なるべく上から目線にならないように、あくまで1人の観客としての見解を述べていきます。
それでは早速、1組目のネタから行きます。
1組目 クロコップ『あっち向いてホイ』 89点
おもしろ荘で「空手家の子」というネタを披露して、一時期ブレイク寸前まで行ったクロコップ。
あっち向いてホイをカードゲーム形式にして、遊戯王のBGMに合わせてホイホイする。しかも、使用するカードがバカバカしい効果ばかり…というめちゃくちゃクロコップらしいネタ。
あたかも一辺倒なシステムに見せかけて、観客を飽きさせないように、次々と新しいボケを持ってくる展開が素晴らしかったですね。
特にラストはあっち向いてホイの枠には収まらず、ヘリコプター+ハシゴでの退場。遊戯王のBGMを使用したことも相まって、「少年漫画的なボケ」をここで大きく回収して爆発させる。
また絶対にミスできないというライブ感が、会場に程よく緊張を促していて、これぞトップバッターに相応しいネタだったと思います。
ただこのネタは、事前VTRで「構成スゴイとか全捨て」「賛否どんとこい」という前置きをしたことによって、観客はとんでもないものが来るぞ…と身構えさせることができたので、この影響もかなり大きかった気がします。立ち回りが上手いです。
僕はむしろそこで期待値が爆上がりしてしまったので、面白かったとはいえ89点という位置に落ち着いてしまいましたが、出順が後半ならわんちゃん最終決戦もあったんじゃないかと思います。
ちなみに一緒に見てた友達の1人は、最後の最後までクロコップが一番面白いと言ってました。日付けが変わっても、ずっとあっち向いてホイしにきてウザかったです(楽しかったです)。
2組目 ネルソンズ『披露宴』87点
結婚式コントでありがちな「ちょっと待った!」のセリフと共に、男が花嫁を奪いに来る『卒業』(1967年)のラストシーンみたいなやつ。
オーソドックスな、ありがちな設定とはいえ、2人に翻弄される和田まんじゅうのキャラクターを上手く活かしたコントは、まさにネルソンズらしいコントだったと思います。
花嫁が着いて行くのか?行かないのか?と楽しませるハラハラ感はもちろんのこと、その後の「よかったぁ」「ドキドキしたぁ」というオチゼリフが毎回ハマっていたのが凄かったですね。
目の前でとんでもない事が起きているのに、意外と冷静なツッコミを入れる和田まんじゅうや、高身長でお金のある方より和田まんじゅうの方に惚れ込んでる花嫁など、こういうギャップのズレが上手く作用していて良いですね。
また、序盤で存在しないキャラクターを数人名指しすることで、舞台に奥行きを感じさせる演出力も巧みでした。
これらはまさに彼らの真骨頂だったわけですが、ただ、キャラクターコントに重きを置きすぎていて、構成がかなり王道なものになっていました。そのため裏切りが少なく、それ以外のパートは観客が落ち着いてしまっていた印象でした。
なので、きっと本人たちはバシッと決めたかったであろう「二次会だぞ」というワードも、もう少しウケてもいいのにな…と感じましたし、「走りが早い」という設定を活かした展開も、結局ビーチフラッグという予想の範疇の落とし込み方で終わってしまいました。
後半も特に畳み掛けや爆発などもなかったので、純粋なウケの量でクロコップより2点少なくしました。ちなみにうちの母親は、ネルソンズが一番面白かったみたいです。
3組目 かが屋『ドM』91点
かが屋は演技が上手いし、構成も綺麗だし、あまりにもクオリティが高いせいで、逆にキングオブコント映えしないという特殊なコンビです。
そんな彼らですが、これまでは日常の些細なやり取りを切り取ったかのような、哀愁深く繊細で丁寧なコントを描いていたのですが、今回はまさにTHE コントなコント(裏を返せば、かが屋らしくないという側面も…)。
序盤に「なぜ女性はこんな喋り方なんだ?」という違和感を持たせて、割と早い段階でそれを回収し、すぐに次の展開に持っていき、また別の話に広がる広がる。この構成力が見事でしたね。しかも説明口調になりすぎない丁度良いラインで二人の関係性を理解させるのも巧い。
ただやはり、彼らのコントは綺麗にまとまりすぎていて、まだまだキングオブコント向けじゃないな…と感じてしまう部分も少々あり。
本人たちは「見た目が地味」と言ってましたけど、それこそが他のコンビニない圧倒的な魅力だとおもうので、今後もっとかが屋らしい独特の世界観を構築していってほしいです。
4組目 いぬ『パーソナルトレーナー』96点
ジムのパーソナルトレーナーと女性。2人はとんでもない夢を見ていたのだが…!?という説明の難しすぎるネタ。
これは間違いなく賛否別れるネタだと思いますが、点数を見てもらえばわかる通り、僕は大爆笑でした。なんなら涙が出るくらい笑いました。(とか言いつつ大爆笑しながらも、点数は高くないだろうな〜と思ってました)。
結果は残念ながら9位でしたが、今年最も爪痕を残したコンビは間違いなくここだったと思います。
点数が伸びなかった理由は言わずもがなですよね。東京03の飯塚が「キスは禁じ手」と仰ってましたが、まさにその通りだと思います。まあ言っても本当に「キスをするだけ」なのでね。
あまりにもキスを連発するので、途中お茶の間のことを考えて、笑っていいのかダメなのか戸惑ってしまう瞬間が何度かありました。もし自分がキングオブコントの審査員でも、確実に点数は低く付けていたと思います。
たば漫画のようなコミカルな見た目が「笑っていいですよ」「むしろ笑ってください」と言ってる気がして、気付いたら僕は初めてでんじゃらすじーさんを読んだときのような、あれに近い状態に陥っていました。まさにコロコロコミックみたいなネタですよ。
もはやクロコップよりこっちの方が構成や展開なんてフル無視、賛否なんてクソ喰らえな内容でしたね。今思えばキスが面白かったと言うより、地上波でなんてことしてんだ!という笑いだった気もします。
5組目 ロングコートダディ『料理頂上決戦』93点
門をくぐるたびにコック帽が看板に当たって落ちてしまうというシンプルなネタ。
「コック帽が当たらないようにする」それだけでここまで話を広げられる腕がまずすごいですよね。これは設定がテレビの収録スタジオで、ツッコミを入れるのがADという細かい要素も上手かったなと思います。
やってることはめちゃくちゃ古典的なんですけど、それを全く感じさせない構成力、キャラクター性、セリフの言い回しに、演出が素晴らしいです。
ロングコートダディはお笑いの五角形が均等に大きいオールラウンダー的なコンビなので、まさにそれを象徴するようなネタだったと思います。
中でもコックを演じる兎が秀逸で、料理長なのにめちゃくちゃポンコツというギャップが良くて、また「本当にこんなやつが居てそう…」と思わせるリアリティを兼ね備えている。これは彼の生まれ持った才能なんだなと改めて思いました。堂前も兎も、お互い良い相方を持ったと常々思ってそうです。
ただ今回のネタはどちらかと言うと、掛け合いで笑いを取る、限りなく漫才に近いコントだったので、大掛かりのセットの割には動きが「帽子を落とす」だけだったのが、そこまで舞台映えしなかったという点も。この帽子の天丼も、後半は若干尻すぼみ感がありました。
今大会で、クロコップやいぬがあまり評価されなかったことから見ても、今年のキングオブコントでは天丼ネタがあまり通用しないみたいです。審査員が変わった影響かもしれないですね。
あとナレーションで紹介しながら登場し、オチでセリフを一言添えて暗転する…という構成が、僕の中でモンスターエンジンの『Mr.メタリック』や2700の『キリンスマッシュ』を彷彿としてしまった部分も…。
今や伝説のコントのように扱われていますし、この世代の芸人たちは無意識下に影響を受けているかもしれないですね。
ちなみに一緒に見た友達の1人は、このネタで涙を流して笑ってました。なんなら笑いすぎて腹筋つってましたね。
6組目 や団『死体ドッキリ』85点
川にやってきた男3人組のうち1人が死体のフリをして、仲間を驚かせようとするネタ。
いや、凄かった。まるでドラマを観ているような満足感が得られるネタ。片方を殺人鬼と思わせておいて、意外ともう片方もかなりの異常者なんじゃ?と思わせる。あまりにも達者すぎて、むしろ地上波でやるにはブラックすぎるんじゃないか?という不安すら抱きましたね。
M-1グランプリ2018で、スーパーマラドーナが人を殺すネタをして、会場がざわついた。あのときの再来なんじゃないか…とハラハラ。
謎に不安になっていたせいで、ひとりで勝手に「笑いづらい」状況を作ってしまった結果の85点でした。
正直、やってることはそこまで目新しさはないベーシックなコントですよね。エンタの神様でも見れそうな割と普通のトリオコント。スタイルも「裏の東京03」みたいな、どこか既視感のある3人の立ち回り。
男が殺人鬼と分からせるために「なんでそんなこと知ってんだよ」という知識を振りまいていくわけですけど、それもベタ中のベタ。ベッタベタです。あと40代のおっさんたちが、大学生みたいなノリのキャラクターを演じるのも違和感凄かったですね。
ただそんなことは関係ないのがや団です。日々更新されるコントの形式や流行、スタイルなんてフル無視。殴りたければ殴るし、殺したければ殺す。とにかくやりたいことをやる。自分たちは面白いから!と信じてるのが伝わってきます。
実際、見事なや団ワールドでしたし、審査員たちは彼らの苦労も知ってるわけですから、そりゃこんな良いコントを見せられたら点数も高く付けちゃうよな〜という。最終決戦進出も納得のクオリティでした。
7組目 コットン『浮気証拠バスター』95点
いつの間にかラフレクランからコットンに改名していたコンビ。
NHK新人お笑い大賞を優勝したり、ABCお笑いグランプリの常連だったりで、割と賞レースではよく見かけるコンビなので、そういえばキングオブコントは初出場だったんだ…と驚きました。
今回のネタは、浮気の証拠を全て消すことができる浮気証拠バスター。ツッコミの西村が結婚発表した日に、よくこんなネタをしたなぁ〜と、その段階から既に面白かったです。
まぁここはもう設定の勝利というか、浮気証拠バスターという意味不明な仕事を思いついた段階で、その範疇で出来ることを全て詰め込んだフルコースのような凝縮度のネタ。しかも、存在しない職種への解像度がえぐすぎる(語彙力)。
さらにはキャラクターコントである上に、小道具コントでもあり、二人の掛け合いまでしっかり面白いという。また「もうすぐ彼女が帰ってくる」という設定も程よい緊張感を保てていて、ドラマ性まであるんですよ。
また女形のきょんが男の声を出したり、カツラを外して坊主になったり、何度も大きな裏切りがあったりして、女ウケ全開の芸風なのに男コンビならではの切り口まで見せてくる。この衝撃が凄まじかったです。
個人的に「スミノフ、澪、ほろよいは、男性が1人で飲むときには存在しないお酒」というキラーワードがたまらなく好きでした。
僕はバカバカしいネタがツボなので、本来ならこういう作り込まれたものは評価しないタイプの人間なんですけど、この構成力には流石に心を掴まれましたね、理想的なコントだったと思います。すぐに優勝を願いましたね。
8組目 ビスケットブラザーズ『野犬退治』88点
山で野犬に襲われた男が、セーラー服を着たブリーフ姿の人(こち亀の月光刑事みたいなやつ)に助けてもらうネタ。
リアリティもクオリティも段違いのコントを2本連続で見たせいで、ビスブラにはあまり乗れませんでした。
優勝コンビのネタに80点台を付ける自分が情けないです。面白かったんですよ。面白かったんですけど、そんなに「ビスケットブラザーズらしさ」を感じなくて、置いていかれたんです。
これまでのキングオブコントチャンピオンの踏襲というか、ファンタジー的なぶっ飛んだ内容のネタの割に、しっかり色んなネタ見て、勉強して、仕上げてきたんだな…っていうのが見えてきちゃったんです。
この見た目で、この音楽の使い方をして、それに合わせてこの動きをして、このタイミングでこういうセリフを言えば評価のポイントになる…。彼らはこういう技巧な要素が見えてはいけない芸風だと思うんですよ。
だって白ブリーフで救出するのは去年の空気階段の『火事』だし、2人で戦うところなんか、もろ2015年のコロコロチキチキペッパーズの『卓球』ですよ。型にハマりすぎじゃないですか?
必ずしも勉強することが悪いとか思ってるわけじゃなくて、むしろ自分たちの芸風を殺さずに、よくここまでキングオブコント向けのネタに仕上げてきたな…と関心すらしてます。ただ、何度も言いますが、この芸風で努力を見せてしまうと笑いづらいです…。
別に歴代最高得点というのはいいんですよ。いいんですけど、ただあまりにも高すぎる気がしてならないです。空気階段のことを思うと少し寂しい気持ちになります。(とは言っても、ファーストステージとファイナルステージの合計が歴代最高なだけで、単体での得点は空気階段の方が歴代最高だが)。
まぁ、こういうのって相対的なものじゃないので、トップバッターのクロコップが素晴らしかったと言えばそれまでなんですけど。
それにしても「あなたが沢山いる方が怖いんで」「山で何もしてなかった」「高校も行ってるし、大学も行ってる」「さっき拾ったお気に入りの棒」「こっちが前さ」「小さな俺が君の細胞の代わりをしてる」「まだ奨学金も払い終えてねえのによお」「国とは関係ない公務員」と、発するワードが全てハマっていたので、最終決戦に進出したことは納得でした。
9組目 ニッポンの社長『エヴァンゲリヲン』84点
色んな意味でガーンってなるネタ。(ニッポンの社長の公式YouTubeだと、タイトルが『人類再生計画』なのめちゃくちゃ面白い)
これね、審査員の点数的には最下位なんですけど、もう9組目なので、暫定ボックスの順位を変動させないためにも、みんな点数を低くつけてしまう傾向があるんですよ。
それに下馬評では優勝候補とも謳われていたので、その期待値を上回ることができなかった部分もあるはずなんです。
まあどう考えても9組目にやるネタじゃないですし、もっと言えば、決勝進出3回目ですよ。優勝も狙える位置にいるんですよ。
M-1グランプリの敗者復活戦で、出順が一番最後だったときもそうでしたけど、なんでこういう大事なところでいつもネタ選び失敗しちゃうんだ〜って。
もう一本の用意していたネタがどういうものかは分からないですけど、少なくともこっちのネタでは無かっただろうなって言うのは僕でも分かりました。(まあM-1と違って、キングオブコントはネタを直前に変更できないはずなので、とても気の毒です)。
しかも、ビスケットブラザーズが往年のキングオブコントの技を凝縮したかのようなコントを披露した後に、こんなスローテンポで暗転オチのみの天丼ネタ。観客にオチを予想させる余裕を持たせてはそりゃ負けます。
また、ロングコートダディのときにも書いた通り、今年のキングオブコントでは天丼ネタがあまり通用しないんですよ。しかも、いぬが既に暗転を多用するネタもしてるので、まあ既視感の嵐(こちらもモンスターエンジンの『Mr.メタリック』の影響を無意識下に受けている気がします)。
唯一の面白いところはケツの表情のみ。いや、正直僕からしたらこれだけでも充分なくらい面白いんですよ。ニッポンの社長には、お客さん自ら笑いに行ってしまうような魅力があるんです。
ただキングオブコントという大会として見ると…、こうなってしまうのは仕方ないわけなんですよね。また来年頑張ってほしいです。
10組目 最高の人間『テーマパーク』86点
お互いピン芸人である吉住と岡野陽一のユニットコンビ。二人の良いところをギュッと詰め込んだかのような見事なコント。いや、むしろコントというよりも、演劇を見ている気分でした。
まず特筆するべきは吉住の演技力。彼女のポップなキャラクターと、その後のギャップがキングオブコント映えするんですよ。特に「逃げて…」のワードは大爆発してましたし、やってることは岡野なんですけど、しっかり吉住ワールドでもあるんですよね。
また「脳の羞恥心を司る部分を切除する」という気持ち悪い発想も、まあ如何にも岡野なわけなんですけど、それを観客に引かさないために吉住の可愛げを利用するのがまあ上手い。下品さと上品さがお互いを殺さないように見事に混ざりあってるんですよね。
ユニットになるべくしてなったかのような相性の良さですけど、敗因は少なくともキングオブコント向けのネタではなかったことだと思います。
そもそも「恐怖と笑いは紙一重」なんて言うよに、「テーマパークという楽しい場所が、本当はめっちゃ怖い場所」というのは割と想定できる展開なんですよ。ホラー映画でもよくありますし。それにサイコパス系のネタは、や団と比べてしまうと構成やボケ数で見劣りする部分も…。
まあ一番の敗因は、小峠や吉住が言ったとおり「暗転」だと思いです。2組連続の暗転ネタ。しかも最高の人間の暗転は、ボケとしてのギミックではなく、過去の振り返るためだけの演出。
後半は特に爆発的なボケもなかったので(実際に爆発するオチではありましたけど)、この暗転がストッパーになってしまって、その後の点数に尾を引いてしまいましたね。
あと誰も触れなかったんですけど、岡野が右胸のところにジャグラーのワッペンを付けているところがめちゃくちゃツボでした。
ファイナルステージ
というわけで、ファイナルステージに残った3組は「ビスケットブラザーズ」「コットン」「や団」となりました。僕の好みは置いておいて、純粋なウケ量や技術面では納得の3組だと思います。
この段階で、既にビスケットブラザーが2位のコットンとや団に11点差つけているので、ロッチ現象が起こらない限りはもう優勝だな…という空気でしたね。こうなってくると賞レース特有のワクワク感は薄れてました。
ちなみに僕が審査員だと「いぬ」「コットン」「ロングコートダディ」(本当ならクロコップを入れたい)なので、やはりキングオブコントの審査員は技巧なコントを選ぶし、本質を見抜く力があるのだなぁと。
まあそんなことはどうでも良いや。最後の三組までしっかり感想と点数を書かせて頂きます。
や団 『雨宿り』90点
雨宿りをした先で、全てを諦めたびしょびしょの男が現れるというコント。見事でした。1本目と遜色ないクオリティのコント。
こちらも「天気予報が外れてびしょ濡れ」+「雨宿りをしている男は天気予報士」+「その腹いせと言わんばかりに、自分が雨宿りしていることに罪悪感を植え付けてくる」という文字で起こすと割とありきたりな設定。やってることも古臭いっちゃ古臭いんですよ。
でもその分、細かい伏線や叙述トリックなどでテンポを崩すことなく、発する言葉の全てを笑いに変えているんです。しかもちょっとした小さいボケも外さない。これといって爆発という爆発はしてないんですけど、ずっと安定して60点から70点くらいの笑いを取り続ける。いやはや芸歴15年の意地を見せつけられたような気がしましたね…。
「雨に濡れて開き直った人の可動域舐めんなよ」というキラーワードも良かったですし、白パンツで地面を這いずり回ったり、彼女に振られたのも雨のせいにしたり、部下っぽいやつが実は着ぐるみの中身だったり、オーソドックスな展開ながらもや団らしさがある。1本目もそうですけど、お笑いの教科書のようなコントでした。
コットン『煙草』94点
お見合いで出会った女性が、実はめちゃくちゃヘビースモーカーだったというネタ。
圧巻。こちらも1本目と同様に、女ウケフルスロットルなコントだったんですが、「女性が煙草を吸う」という設定だけでここまでボケを広げられるというのは評価せざるを得ないわけですよ。
今だと時代錯誤とかフェミニズムどうこうとかで叩かれそうなテーマですけど、男性側が女性を否定することなく受け入れようとする姿勢がそのトゲを消してるんですよね。
その上でめちゃくちゃ面白いんですから、もう文句の言いようがないです。中でも「タバコで大きな輪っかを作ることができる」。これは彼女がどれほどヘビースモーカーなのかを一瞬でお客さんに理解させる効果があるんですけど、それと同時にその後の指輪へと展開が繋がるという。この構成力が凄まじすぎる。
伏線回収なのに伏線回収と思わせない、自然な流れでオチに持ってくる。まじで上手い。単純にコントの構成が、演技が、何もかもが上手い。しかも2人とも可愛げがあって、その後の恋路を応援したくなるんですよ。そして、2人の優勝を応援したくなるんですよね…。
ちなみに、うちのおばあちゃんもヘビースモーカーなんですけど、このネタで信じられないくらい笑ってましたね。喫煙者の方が「あるあるネタ」の詰め合わせみたいな感覚で笑えるのかもしれないてすね。
ビスケットブラザーズ『バイト先の友達』92点
バイト先の友達と思っていた女性が…実は。
こちらも凄かったです。正直カツラを脱いで「男」になったときは、コットンの1本目とボケが被ってるやん…ってなったんですけど、その後の展開が秀逸で上手く差別化できてましたね。
というのも、コントというのは女性のカツラを被っていれば、中身が男でもあの世界の中だけは「女性」として扱われるわけなんですよ。そのメタ的な要素を根本から破壊して、女性を演じることをボケに転換するという。上手い。
あと1本目は衣装や演出に頼った見せかけだけの気持ち悪さだったんですけど、こっちは根っからの気持ち悪さ。このゾワゾワッとくるようなヤバいやつ感が、本来のビスケットブラザーズに戻った感じがして好きでした。
ただ途中で尺を埋めるためなのか、「ダイスケが来るよ」辺りからお互い言いたいこと言って、やりたいことして、セリフや行動がごちゃごちゃってなってる部分があったんですけど、あれはなんだったんですかね。
なんか聞き取れなくて考えてる間に、カツラ投げたり、それを追いかけて変な走り方したりしてたんですけど…。あそこいりました?
面白かったけど、あまりまとまっていないように感じるコントで、最後の最後まで僕の中で小さな違和感だけが残り続けてました。
というわけで、全組終了しました。優勝はご存知の通り、ビスケットブラザーズが歴代最高得点の963点を記録しての優勝。面白かったのは事実ですので、特に異議のない圧倒的な優勝だったと思います!おめでとうございます!
そして、このnoteを最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
最後に僕の個人的採点表を載せておきます!
また次回お会いしましょう!👋
個人的採点表
96点 いぬ『パーソナルトレーナー』
95点 コットン『浮気証拠バスター』
94点 コットン『タバコ』(2本目)
93点 ロングコートダディ『料理頂上決戦』
92点 ビスケットブラザーズ『バイトの友達』(2本目)
91点 かが屋『ドM』
90点 や団『雨宿り』(2本目)
89点 クロコップ『あっち向いてホイ』
88点 ビスケットブラザーズ『野犬退治』
87点 ネルソンズ『披露宴』
86点 最高の人間『テーマパーク』
85点 や団『死体ドッキリ』
84点 ニッポンの社長『エヴァンゲリヲン』
リアルタイムで採点したはずなんですが、奇跡的に全て1点差になりました。 -完-