泥酔記
金が無くて行きたいイベントに行けなかった。
着なくなったTシャツと読み終わった漫画をテキトーにリュックに突っ込んでバイト終わりにBOOKOFFに持って行ったけど、数百円にしかならなかった。これじゃエントランスも払えないから諦めるしかない。人生そんなに甘くなかった。涙がしょっぱいのはそういうことでしたか。
しょうがないからコンビニで発泡酒を買って、家で「反逆のパンクロック」を観ることで自分の反逆精神を収めようとした が、夜中になって前にメルカリに出してたバッグが売れた通知が来た。なら今日遊びに行けたやん。
三日後、この遊びたい欲が爆発することになった。
親友に「今日何しとる?」を送ったら「授業終わったら特に何も!」の返信が来た。今夜は大パーティー確定。美大生が集まる激安カオス居酒屋「村屋」へマンキンのチャリガチ漕ぎで向かった。
黒ラベル大瓶とトロトロレバーのお供に最近の話、アートの話、将来の話。
偶然隣の席に来たのが実家が酒蔵の友達だったのがまたアツくて、おうちの日本酒も何合かおろした。
さらにその隣に座ってた夫婦も一緒に乾杯してくれて、社会人のありがたい話を聞かせてくれた上に「学生よ、遊びまくれ!」と何故か2万も貰った。2万??マジで?????社会人ってマジでカッケーと初めて思った。
遊びまくれと貰った2万は今夜使い切るしかない。転びまくりながらチャリを押して友達の働いてるスナックに向かった。(真紫になった膝に気がついたのは次の日になってからだった)途中で親友が相棒に電話をかけてくれて、「どうせベロベロなんやろ、すぐ向かうゼ」とバイト終わりに駆けつけてくれた。スーパーヒーローかと思った。素敵なロン毛がいつもより艶がかって見えた。頭の中でSummer Eyeの「求婚」が流れた。
スナックに着くと、同じく既に出来上がっているクラスの友達がモーニング娘。のLOVEマシーンを歌っているところだった。アガった。私も明るい未来に就職希望です、ダンシングオールナイト。
行けるとこまで酔っ払ってもはや視界も虹色になりながら親友のシェアハウスに帰宅。親友の同居人(も親友なのが激アツ)がお客さんにタトゥーを掘り終わって2階から降りてきた。いつもの顔ぶれ、いつもの家。ちょっとお腹が空いてきたところで親友が(何だったか覚えてないけど)めちゃくちゃ美味い何かを作ってくれた。人生ってこんなに最高だったんだ、一生死にたくないと思った。
全てのあったかい人達と美味しいお酒に心から感謝した。最高の1日になった。あん時金がなくてイベント行けなかったおかげで今日が生まれたなら、金が無いのも良い。
貰った2万は全て使い切りました。本当にありがとうございます。
私もいつか社会人になって、金無しの学生が隣で楽しそうに飲んでたら
震える手でも5千円くらいはくれてやれるカッケー大人になりたいと思いました。
「学生よ、遊びまくれ!」今日のパンチライン。
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