「大人の発達障がい」って?
最近、「大人の発達障がい」という言葉を耳にすることがありますが、
これはいったいどのような状態のことをいうのでしょうか。
「大人の発達障がい」とは?
発達障がいとは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、
その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現」する状態です。
精神障がいと違って発達障がいは先天的なものであり、大人になってから発症するのではありません。
ただ、知的障がいを伴わない場合が多いので、幼少期に特性が顕在化しないことが多くあります。
例えば、コミュニケーションが苦手でも勉強ができるなどして、なんとか環境に適応するようなことです。
しかし、社会に出てより複雑で高度なコミュニケーションが要求されるようになって、初めて顕著化されてくるケースがあります。
このようにして、大人になってから発達障がいと診断されることはありますが、障がい自体は生まれもってのものなのです。
発達障がいの人を理解する4つのカギ
1.安易に言動と診断名を結びつけない
発達障がいの中にもさまざまな診断名があます。
ただ、このような診断名だからこういう特性があるのではないかと安易に考えるのは危険です。
「何が起こっているのか」、
「どのような困ることが生じているのか」、
「困ることはどう工夫すれば解消できるのか」
という視点で考えることが重要です。
2.頑張りの極端さ
定型発達の方が生活の中で自然に身についたスキルを使ってできることを、
発達障がいの特性を持つ人は、一生懸命努力し、労力を費やして、何とかこなそうとします。
それを続けているうちに頑張りが追いつかなくなって、自覚がないままに疲労してしまうということになります。
3.うつ病などの二次障がいの影響
発達障がいの特性を何とか克服しようと本人は一生懸命努力しているのに、なぜかうまくいかないという日々の積み重ねや人間関係の軋轢は、多大なストレスとなってしまいます。
疲労が蓄積されれば、眠れない、食欲がない、何もやる気がしない、朝起きられない、仕事に行けない、
などの状態に陥る危険もあります。
4.自分を認める気持ち(自己肯定感)が低い
常に感じる他者への違和感や、他者から受け入れられない、誤解されてしまう体験を繰り返すうちに、「自分はダメな人間だ」という大きな自己否定感を抱えるようになります。
そうした自己否定感は、他者に対する劣等感となり、それが過剰な防御態勢にもなってしまいます。
参考:もし部下が発達障害だったら (ディスカヴァー携書)
まとめ
大人になって大きく特性が顕在化する大人の発達障がい。
まずは周りの方が本人の気持ちや状況をよく理解することが大切です。
そして今「何が起こっているのか」、「どのような困ることが生じているのか」、「困ることはどう工夫すれば解消できるのか」
という視点で考えることが重要です。