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【映画感想】The Dress
一枚のドレスが次々と災難を招くという呪いのドレス不条理ダークコメディ。
あらすじ
スランプ中のテキスタイルデザイナーが、たまたま目撃したインド人の女性が着ていた服のパターン(葉柄)をパクり、それを巨大な家ブタと同居しているファッションデザイナーがワンピースにデザイン、それは大量生産されて市場へと。
あるショップで老婦人の目に止まった葉柄のドレス。
試着してお買い上げ。
彼女を発端にしてこのドレスが巻き起こす不条理災難話。
オランダ、1996年の作品。
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最初の老婦人から妙齢の女性の手に渡り、それは古着屋に流れ10代の少女へ、やがて布切れ、そして絵画、そして土へ還るのですが、人から人へ渡り歩く間に、災難が次から次へとやってくる。
そのドレスを着ると見た男達の性的な欲望が表出するらしく、最初の老婦人のケースは夫に欲望の火がつき"取り敢えず良かったねぇ"なケースに落ち着きますが、次に手にした女性は車掌の男にストーキングされたうえに寝込みを襲われる。
抵抗する彼女に「君を愛してる」「君より美しい人はいない」とかいう男の戯言に彼女も何だかその気になり翌日男と逢引するというアホさ。
しかしそこでも災難に巻き込まれる。
一難去ってまた一難、今度はバスに乗ったら運転手に襲われ……これまた際どいところで何とか回避。
翌日彼女はドレスを寄付に。
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次にドレスを手にした少女も着ているところを例の車掌が目撃し、自宅までストーキングされ「キスをしろ」だの「〇〇と言え」だのキモいおっさんの性的ドリームを強制的にやらされる。理不尽。
劇中におけるキングオブ変態の車掌ですが「俺はノーマルだ」をずーっと連呼する。
何処がノーマルなんだおっさん!!!
充分変態だ!しかも犯罪者だってば!
(たぶんこれが笑いところなんだろうけど)
変態さんは監督が演じています。
彼の下着姿、白タンクトップに白パン姿が目に焼き付いてしまい大変に困惑。
登場人物周りがやたらとアグレッシブ。
他人の家にはいってオーディオ機器をぶん投げるわ、運送途中のオルゴールを海に落とすわ、上司を引っ叩くわ、すぐショットガンで撃ちまくるわで、物騒このうえない。
……このドレス、大量生産されたデザインなのでオランダ中で売られたとすると、一体どのくらいの災難を巻き起こしたのか考えると頭が痛くなるwww
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冒頭の綿花が収穫されるシーンから始まり、工場で生地に柄をプリントされミシン工場でドレスに仕上がる流れは、エルザ・ケプハート監督『キラー・ジーンズ』で扱っていたファストファッションの裏側を彷彿させますが、今作は大量生産されたドレスの呪いの発動がヘンテコ……流石オランダというべきか……流石『ボーグマン』の監督作というべきか……😅
おしまい。