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短気をやめよう

神谷美恵子の「いきがいについて」の備忘録

著者は、いきがいを失ったひとは、知性の面から言えば価値体系が崩れてしまっているために、ものの価値判断がつけられなくなっている。個々の具体的な事項を大きな文脈のなかでとらえることや、あたらいい事態に対処する方針をたてるというのような能力が失われている、と指摘している。

たしかにうつ状態の人が落ち込んでいて、価値体系が崩壊しているから、よけいに悪い方向に進んでしますのがよく見受けられる。

彼女は、自暴自棄になっている人の共通点として、「我慢のなさ」と「時間に対する不信の念」、つまり「短気」な点を挙げている。生きがいを失った人、私も含めて、よく「短絡的反応」に出てします。よく考えもせずに行動したり、言葉を出したりして、事態を余計に悪くさせてしまうのが常だ。

プラトンも「国家論」の中で以下のように言っている。

不幸な時にはできるだけ静かにしているのがいい。そして不満の感情はすべて抑える方がいい。というのは、こうした出来事のなかにどれだけの善いものと悪いものがふくまれているか、われわれには評価できないからである。また同時に、短気を起こしても何の助けにもならないからである。

プラトン「国家論」

我々日本人にも親しみのある仏教や儒教でも同じように戒めている。私自身も怒りを戒めるお題目は単なる為政者の都合のよいものだと考えていたが、どうもそうではないらしい。怒りは自分自身と他者をも傷つけ、破壊的で建設的なものではないと考え始めてきた。
特に、仏教においては怒りについての対処法が多く語られているの参考にしたい。

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