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長距離選手に筋トレは必要か?という話
今回は、長距離ランナーに筋トレは必要か。と言うテーマで投稿します。
筋の形態的特徴が長距離走パフォーマンスに及ぼす影響(吉岡ら2009)を読んでのまとめです。リンクは↓から。
今回の論文だけで決定するのは難しいと思うので、論文を読むたびまとめとして投稿できればと思います。
長距離ランナーにも筋トレは必要
結論から言うと、長距離ランナーにも筋トレは必要で、効果的とのです。
短距離選手同様に、ハムストリングスの横断面積が大きいものほどパフォーマンスが高いと言う相関関係が見られた。
大腿四頭筋に対するハムストリングスの相対的な筋量を増やすことで、パフォーマンス向上に繋がる可能性がある。
3つの要素から考える
この論文では、①走の経済性(ランニングエコノミー)②1000mパフォーマンス③VO2maxの観点から様々な筋横断面積の大きさが関係するかが書かれています。
ここは、短距離選手と長距離選手で違いがあり、とても興味深い内容でした。
高校陸上競技部の指導をしていますが、短距離・長距離が一つのグループとして動き、練習の専門性は別々でと言う形が多いかと思います。指導者が一人しかいないことも多い為に致し方ないかとは思います。(最近は、完全に分けて指導している学校も多いかもしれませんが。)
当然ですが、短・長が同じトレーニングをすると言うのは誤りかと考えます。
3つの要素それぞれの相関
あくまで、今回は長距離ランナー における相関関係についてまとめています。
①走の経済性
・内転筋群の横断面積が大きい程、走の経済性は低い。
・腓腹筋の横断面積が大きい程、走の経済性は低いがヒラメ筋の横断面積の大きさと走の経済性ついては同様の変化は見られなかった。
・大腿部全体の横断面積が大きい程、走の経済性は低い。
②1000mパフォーマンス
・ハムストリングスの横断面積が大きい程、1000mのパフォーマンスは高い。
・大腿直筋の横断面積が大きい程、1000mのパフォーマンスは低い。
・ハムストリングスに対する大腿直筋の横断面積の割合が大きい程、1000mのパフォーマンスは低い。
③VO2max
・大内転筋の横断面積が大きい程、VO2maxが高い。
・大腿部の横断面積が大きい程、VO2maxが高い。
要素によって、必要・不必要があるということが言えますね。
走パフォーマンス向上には
走パフォーマンスの向上には、必要な筋群の肥大と、ランニングにおける活動の低い筋群の肥大抑制が必要不可欠です。
先ほどの3要素で、大腿直筋がマイナスに働く印象があります。
大腿直筋は大腿四頭筋の一つで、他には外側・内側・中間広筋があります。
大腿直筋のみ2関節筋(2つの関節をまたぐ)です。
スプリント中の筋活動を評価した馬場ほか(2000)の研究でも、大腿直筋の活動は、その他広筋群に比べて著しく小さいとしています。
大腿部の横断面積がプラスに働くと言う結果もありましたが、ハムストリングスと広筋群の横断面積がそれらの一因になっているものと推測されます。
まとめ
今回の論文は、筋肥大を伴うトレーニングは未実施であり、競技による筋の横断面積の評価です。したがって、走の経済性の低いフォームが慣性モーメントの大きい筋形態を作り上げたのか、慣性モーメントの大きい筋形態が走の経済性を低下させたのかは明らかではないとしています。
なので、トレーニングを導入するメリットや価値はあると思いますし、本論文で有効とされた筋群に関してはアプローチするべきと考えます。
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