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箱根駅伝までの心理状態の変化と競技成績の関係
どうも、さかもとです。
年始と言えば「箱根駅伝」
今回は、2013年に箱根駅伝に出場したチームに対して、予選会から箱根駅伝までの11週間の心理状態の変化と競技成績の関係について記事にします。
引用論文は↓↓
「東京箱根間往復大学駅伝競走までの11週間にわたる心理状態の経時的変化と競技成績との関係」
https://sports-performance.jp/paper/1402/1402.pdf
箱根駅伝を控えるこの期間に、11週にも渡り調査されている研究は非常に貴重です。
試合期全体として、心理的状態は一定ではなく、特に注目度の高い、箱根駅伝ともなると我々の想像出来ないほどの緊張やプレッシャーがあると思います。
その中で、いわゆる強い選手とそうでない選手の心理的相違とは。
チーム単位なので、サンプル数は少なくなりますが、面白い調査かと思います。
研究概要
○対象
関東学生陸上競技連盟に所属する大学陸上競技部門に所属し、第89回の箱根駅伝に出場した男子大学生10名
○期間
2012年10月18日〜2013年1月3日
・箱根駅伝予選会:10/20
・全日本大学駅伝:11/4
・箱根駅伝:1/2〜1/3
○調査
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POMS:11回
DIPS-B.1:11回
DIPCA.3:2回
を実施しています。
■POMS
30の質問に回答し、6尺度(緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、および混乱)ごとの得点を算出
■DIPS-B.1
競技前心理状態の把握
20の質問に回答し、9尺度(忍耐度、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、リラックス度、集中力、自信、作戦思考度、および協調度)ごとの得点を算出
■DIPCA.3
スポーツの試合場面の状態把握
52の質問に回答し、12尺度(忍耐度、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、リラックス能力、集中力、自己コントロール能力、自信、決断力、予想力、判断力、協調性)ごとに得点を合計し、総合得点を算出
評価方法
POMS,DIPS-B.1,DIPCA.3の算出に加え、競技成績指標にて評価。
競技成績指標は
①選手個人の自己評価
②監督評価
から構成されます。
①は、競技成績に対してVASで評価。0を最も低いパフォーマンスとし、10を最も良いパフォーマンスと設定。また、競技後のインタビューにて、自身のパフォーマンスへの満足度を点数化し、また、目標タイムと区間タイムの差分で評価する。
②は、監督の主観の中で、0〜10で点数化し評価する。
結果
成績指標は、選手個人評価も監督評価も成績の良かった上位5名が数値は高いかった。監督評価は、競技成績上位5名の方が、下位5名に比較して、優位に高かったが、個人評価なおいては、上位5名の方が高かったが、統計的な優位差はなしとの結果に。
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心理指標においては
箱根駅伝1週間前においては、選手間に優位差なしであったが、POMSとDIPS-B.1の「忍耐度」の変動幅のみ成績上位5名と下位5名に、優位差が見られた。
また、成績下位者は、自信の低下と勝利意欲の低下に関連が見られた。
まとめ
今回は、箱根駅伝出場チームにおける心理状態の変化と競技成績の関係を調査した論文を取り扱った。
端的にまとめると、パフォーマンスの高い選手ほど、忍耐度が高く、様々なストレス要因に抵抗出来ている可能性がある。
こう言うものを読むと、根性論も捨てたもんじゃないなと思いますし、強い選手ほど忍耐力が高いんだなと改めて感じます。
トレーナーとしては、疲労度や怪我の管理を行い、練習を継続できるサポートが重要だと感じました。
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