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骨盤と体幹の回旋について–歩行と走行の違い–

どうも、もっさんです。

今回は、歩行と走行における骨盤と体幹の回旋について書きます。

歩行と走行の移動速度変化における骨盤と体幹回旋運動の相互相関分析(西守ら,2006)を参考に、まとめて行きます。

まず前提として

先行研究;Elftmanは、骨盤を含めた体幹回旋運動を分析し、歩行中に体幹上部と体幹下部が逆回旋することにより、体幹内部の角運動量は打ち消しあい、歩行中に バランスが崩れないように平衡をとっていると述べている。
走行に関して、Slocumらは、歩行と同様に、バランスを維持するために、体幹下部が蹴り出している下肢側へ後方回旋して、体幹上部は逆に前方へ回旋すると述べているが、それを客観的にデータとして示していない 。

ということで、調べたのがこの論文。

この論文の目的は

歩行と走行の移動速度変化に対する骨盤、体幹回旋運動の角度変化や位相性変化を検討すること。

論文の紹介と、自分の解釈を含めて、まとめていきます。

被験者と方法

被験者;大学陸上競技部の男子短距離選手6名を対象とした被験者の平均身長は169.1 ± 8.7cm、平均身体質量は63.5 ± 6.3kg。

方法;歩行(1.3m/s,1.9m/s)の2条件と走行(2.5m/s,4.5m/s,6.5m/s,最大速度)の4条件で実施した。測定順序は、歩行、走行の順で行い、それぞれ低速度か ら徐々に速度を増加させた。被験者にはランニングアップシューズを着用させ、走路に沿って設置したスピードペースメーカーに合わせて行った。あとは、ハイスピードカメラを3台と体の各所にマーカーを付けて実施。というところ。

→ちなみに、1.3m/s▶︎4.7km/h、1.9m/s▶︎6.8km/h、2.5m/s▶︎9km/h、4.5m/s▶︎16.2km/h、6.5m/s▶︎23.4km/h、最大速度▶︎30〜32km/h。   32km/hは100mを11’25で走る速さ。(対象者のレベルは高くないかと)

体幹回旋と骨盤回旋の理解

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接地足(前方足)方法に骨盤ないし体幹が回旋することを内旋と言い、逆方向の動き(後方へ)は外旋と言います。

要するに中心線よりも前にある場合を内旋と言い、後ろにある場合を外旋と言います。

まずはここを理解しましょう。

結果と考察

結果

歩行と走行1サイクルにおける骨盤回旋運動と体幹回旋運動の振幅は、歩行で は移動速度の増加とともに直線的に増加した。走行では2次曲線を示し   6.5m /s 付近まで増大し、その後は逆に減少した。また、相互相関分析を行った結果、骨盤と体幹回旋運動は歩行では逆位相に近かったのに対し、走行では同位相に近いことを示した。

→回旋の大きさがロスに繋がるか。

考察

歩行に関しては、Elftmanの報告を支持するものとなった。

走行は、走速度増加における骨盤回旋運動と体幹回旋運動の振幅は2次曲線 を示し、 2.5m /sから6.5m/s付近まで増大し、それ以降の速度では逆に減少 した。最高速度に近い走行で、骨盤と体幹回旋運動の振幅減少は、より速い 速度で移動する地面にに対して短時問に大きな力を受け止め、また大きな力 を発揮しなくてはいけないため、地面反力に抗するように骨盤−体幹部の固定が必要になるためと考えられる。

→長距離選手が同条件で走った場合にどうなるのか。(最大速度に違いはあるが)短・長での走フォームの違いや専門性の様なものも見れるかも?と気になります。

おまけ

本研究では、歩行と走行共にどの移動速度でも、右脚接地の瞬間で、常に 体幹が外旋 (右肩が後方に回旋)していた。しかし骨盤回旋運動は、歩行では骨盤が内旋し、走行では外旋しており、骨盤回旋運動は移動速度の増加に伴 って先行する体幹回旋運動に近づいていく現象がみられた。

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→これはすごく興味深くて。考察のところの骨盤−体幹の固定・安定のところもそうですし、他の論文で紹介されている様な股関節屈曲の先行動作(足が後方に動いた際に、かなり早いタイミングで股関節の屈曲モーメントが働いている)によるのもなのかなと。骨盤動作(外旋)が先行して、股関節屈曲を誘導しているとも言えますが。あとは、接地時間の短縮をするためには、こういった効率的な動作を行う事にシステムがあるのかな。

こちらも参考にしていただければと思います。

https://note.com/trsakamoto/n/n54569ba11721


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