
バタン島漂流記
「バタン島漂流記」(西條奈加 光文社)を読みました。
漂流モノが大好きで,新刊,古本で見つけ次第,購入し読んできました。
その流れで購入しました。
この物語は,実話に基づいて書かれています。
1668年,現在の愛知県常滑市にある大野港から材木を積んだ荷船が江戸へ向かいました。
無事に荷下ろしを終え帰路,三河沖付近で大嵐に遭遇しました。
そして漂流生活が始まります。約3ヶ月後,15名の乗組員はフィリピンの北方にある小さな島,バタン島に漂着しました。
この島では,奴隷のような過酷な生活が待っていました。
しかし,彼らは帰国への思いを忘れることはありませんでした。
材料や道具がほとんどない現地で,何と新しい船をつくり島を脱出するのです。
普通であれば,漂流生活の過酷さや悲惨さ,無情さを中心に描かれることが多いのですが,この物語が感動するのは,漂流後に自力で船をつくり日本へ無事に戻った点にあります。
1668年に15名が漂流し,3名が島で死亡,1名が島に残りました。
結局,無事に村へもどったのは11名でした。2年間の出来事でした。
この凄まじい2年間の出来事をこの小説は一気に読ませます。
漂流モノを読むと,毎回,生きることを絶対に忘れずに懸命にもがく人間の底力と命の強さを実感することができます。
現代人は,便利な生活にどっぷりとつかってしまい。生物が持っている生命力がどんどんと低下しているように思います。
次は,どんな漂流モノと出会えるか楽しみです。