GOTH 僕の章
著者:乙一
出版社:角川
初版:2005年
あらすじ
殺人願望のある僕と、殺人鬼を魅了してしまうクラスメイト森野夜。
化学教師の篠原は生物の手に執着しており、地域の動物だけでなく人間の手を切断して収集している。しかしあるとき自宅の冷蔵庫から手がなくなっていた(リストカット事件)。
佐伯は人を棺桶に入れて生き埋めにする欲求を持っていた。あるとき通りがかった森野に惹かれた佐伯は車で拉致して生き埋めにする。行方不明となった森野を探す僕は道路わきに落ちた手帳を発見し…(土)。
廃墟で北沢博子が殺害された。博子の妹である夏海はとある少年からカセットテープを渡される。それは姉が生前に記録した音声だった(声)。
印象に残ったセンテンスなど
夜の章と比較して全体的に暗く、殺人という行為が引き起こすネガティブな面についてフォーカスされていたように感じる。
巻末の解説など
あとがき:夜の章と同様。
感想
今作は僕のほうに焦点を合わせた3篇をまとめたものであり、森野は登場するものの、語り手は僕ともう一人の重要人物という構成になっている。夜の章では殺人鬼に好かれる少女”森野夜”と殺人願望をもつ少年”僕”がタッグを組んだり、2人の歪な疑似恋愛関係を描いていた。今作では僕がメインで行動するのみならず、僕の暗黒面について深く踏み込んでいる。