人間失格
著者:太宰治
出版社:新潮
初版:1952年
あらすじ
葉蔵は幼いころから人目を気にする性質で、常に他人の目にどう映るかを計算する道化だった。東京で悪友堀木と遊んで暮らしながらも将来への不安と自らの心理問題が絡み合う。
印象に残ったセンテンスなど
ツネ子との顛末。
巻末の解説など
奥野健男:太宰治の出身と絡めて考察。東北地方の地主のもとに生まれたことによる特権意識と、相反する罪悪感。あなた、君、読者よと語りかけることで太宰治の独白と二人きりであるかのような錯覚に陥る。自分だけが理解者だと思わせる。
感想
有名な著者の有名な作品であったが、太宰治の小説を読むのは初めてだった。独白形式で非常にセンシティブな展開が続き、精神に多大な影響を与える力を持っていた。一通り読んだ後に巻末の解説を見たが、自分だけが太宰の理解者だと思わせる能力があるとの指摘は本当に的を得ていると思う。